JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

「地獄」(1999)

2010-09-17 | 映画(DVD)
「石井輝男 怒涛の30本勝負!!」

「地獄」1999年 石井プロダクション 監督:石井輝男

遅々として進まぬオウム裁判に業を煮やした石井輝男が、極悪人に自ら鉄槌をくだすため自腹を切って作り上げた作品。犯罪人たちは地獄に落ち、毒物カレー事件のM・Hは糞尿の刑、連続幼女殺害事件のT・Mはノコギリ引きの刑、そしてモロS・Aのカルト教団教祖は皮剥ぎの刑に!!

中川信夫、神代辰巳と見てきた「地獄」
残った石井輝男監督の「地獄」に関しては前田通子の出演程度しか事前知識が無かったので、ちょっと面食らった。

ほとんどが極悪事件のノンフィクションではないですか。
宮崎事件、オウム事件、登場人物の名は劇中変えられているが、あまり有名な役者は使わずそっくりさんによる再現ドラマ。
当時テレビで散々流されたであろう再現ドラマの記憶が蘇る。特にオウム事件に多くの時間が割かれます。
これを1999年に撮ったという所に石井輝男の気概を感じる。今、変換ミスで「危害」と出たが、ホントそんなような恐怖がまだまだあったでしょうね。

当時、世間の憎悪の的、極悪非道の最低教祖。裁判が長引くことが確定的で、遺族のみならず、なんとも歯がゆい思いがあったでしょう。そんな思いを地獄で嫌と言うほど懲らしめる事で溜飲を下げる?
もし、そんな意図があったとしたら(実際、被害者の人権を無視するような弁護団まで舌を抜かれてます)それではちょっと手ぬるいんじゃないんですか。
個人個人の死生観にも関わる事でしょうが、中川作品でも神代作品でもグロテスクで残虐な地獄描写以上にこの世のパートの方がよっぽど地獄じゃないかと感じさせられたものでした。
いくら、あの世の地獄で繰り返し身体を八つ裂きにされたって、死後の話となれば残酷さは薄れてしまいます。

「信じないと来世で蛆虫になるぞ」
別に来世で何になろうと知ったこっちゃないでしょ。現世の意識が継続される事はないのですから。
あの地獄の残虐な刑罰というのは、この世で生きているうちに為されてこそなのです。

だから、やっぱり根本敬の「生きる」に出てくる村田藤吉への刑罰が最も相応しいと思うのですね。

松本被告に村田藤吉の刑を!

地獄で延々と続く八つ裂き刑、八つ裂きにされては再生、また八つ裂き。ここには再生の苦しみが欠如してるんですよね。

地獄巡りツアーとしては、予算の少ないチープ感が逆に功を奏して充分楽しめます。

そして、石井監督、終盤にとても素敵なサービスをしてくれちゃってます。
忘八者(丹波哲郎)登場!これには心の中で快哉!嬉しくなっちゃいました。

さて、前田通子さんですが、閻魔大王のメイクはともかく、現世にお婆ちゃんとなってリカ(佐藤美樹)を地獄巡りへと誘う。
この婆さんが尋常でない品格と美貌。やや舌足らずの科白回しも可愛い・・・

現在、ラピュタで前田通子特集をやっておりますが、若い頃の美しい肢体の作品に混じって、仮にこの「地獄」がライナップされたとしても、当方としては全く異存なく、歓迎しますよ。

シネマヴェーラ渋谷

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