JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

「怪異談 生きてゐる小平次」

2009-09-05 | 映画(DVD)
「没後25周年 中川信夫レトロスペクティブ」

「怪異談 生きてゐる小平次」1982年 ATG 監督:中川信夫

役者の小平次、囃子方の太九郎の若い二人は、今はしがない緞帳芝居に身を任しているが志は大きい。小平次、太九郎とその女房のおちかの三人は幼馴染の仲だが、以前から小平次はおちかに想いを寄せていた。旅芝居の暇に、沼で釣をする小平次と太九朗。小平次は「おちかをくれ」と迫り、もみ合ううちに・・・

原作は大正13年に発表された鈴木泉三郎の戯曲。
この映画を見る前に八千草薫の「生きている小平次」を見るはずだった。八千草薫の前に未だ聴いていない林家彦六(正蔵)の「生きている小平次」を聴きたかった。図書館やレンタル屋でCDを探したが無かった・・・

登場人物は3人のみ。カメラは全て固定で決して動かさないと決め撮った。
カメラ固定は室内の場面よりも屋外に出てその効果を発揮している。画面の上手から下手へ人が遮ることの繰り返しで旅の情景。舟がゆっくり上手から下手へ流れる。このカメラワークによって作品世界に講釈や人情噺のような趣が生まれる。
低予算でいかに映画を作るかの工夫は作品の選定まで考えられている事が理解できる。

3人の言葉遊び、芝居遊びの段、聴いていないから解らないが彦六が演じる根多としても相応しそう。

小平次を殺したんだか殺し損ねたんだか太九郎(石橋正次)の狼狽ぶりを叱咤するおちか(宮下順子)
愛想が尽きて三行半、去り状を要求するけど腐れ縁で離れない。
太九郎がすっかり狼狽口調になってもおちかは芝居っ気の台詞の抑揚を保つ。
宮下順子が好演。睨める女優。
サービスは行水シーンがちょっとだけ。

旅先の釣り舟で太九郎に小平次が「おちかを俺にくれろ」と告げる。後ろ姿の二人のシーンがとても印象的。

題字、天知茂のクレジットにて追い出しの太鼓でEND

見聞する順番が予定と変わってしまったが、それが吉と出るか凶と出るか。
次はシネマヴェーラにて八千草版。

やはり林家のは聴いておくべきかと・・・中古探すか。

シネマート六本木

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