冷たい風のような火

メモ書きですが、それにしても何で公開の場で書くんでしょうね。

北アルプス表銀座逆縦走 その3

2017-09-28 20:02:48 | 旅行

早朝にヒュッテ西岳のテント場を出発後、大天井岳に到着。この素晴らしい展望台で自撮りなどもして十分楽しんだら、山頂を後にして縦走を再開します。ホント、人の少ない静かな山頂で、これだけの景色が楽しめるのはとてもお得ですね。大天井岳は100名山には選定されておらず(200名山ではある)、山頂も10分程度とはいっても縦走路から外れているから人気が今一つなのでしょうか。標高も2,922メートルとかなり高くて威厳のあるいい山だと思いました。
さて、逆縦走再開。大天井岳から燕岳までは3時間40分ほどのコースタイムで、途中に大下りという大きなアップダウンがありますが、既にこの程度のアップダウンはこの縦走中に出てきているのであまり気になりません。それより、東鎌尾根のようなやや厳しいハシゴやガレた道ではないということで、標高差はともかく歩きやすそうなので安心です。下の写真のように、これから行く道をパッと見たところ、休憩をかなり長く取っても3時間はかからないように見えました。


ウラシマツツジの草紅葉は始まっていました。これにチングルマやイワベンケイが加わると、真っ赤になって綺麗なんだよな。


なお、進行方向左手には黒部・裏銀座がずっと見えているという贅沢な道です。


この画像で縦走路を見るとよく分かるのですが、道はとてもなだらかですよね。そして、方向的に左手に黒部・裏銀座が見えるというパラダイスコースです。前日の東鎌尾根もそうですが、アルプスの縦走路は岩が多かったりガレ・ザレで注意を要する部分が多かったりするものですが、表銀座の大天井岳~燕岳の間は極めて歩きやすい縦走路でした。


振り返ると大天井岳と槍ヶ岳。






黒部・裏銀座もずっと美しい。


お花は相変わらずオヤマリンドウなどが中心です。基本的に花より景色を楽しむ山行ですね。9月になると。






さて、燕岳までのルートで最後の頑張りどころ、大下りです。どちらの方向から歩いても、いったん200メートルくらい下って登り返します。時間的には相当いいペースで来ているので、その前に水を補給しつつ景色を楽しみます。








花も草紅葉も悪くないです。






なお、ここでドイツ人の若い男性旅行者と遭いました。京都や東京より、日本の山岳風景に興味があって旅行しているとのこと。こういう旅行者増えましたよね。ネットで情報が伝わっているのです。2年前に黒部五郎小舎でもスイス人男女4、5人のパーティと会話したし、鬼怒沼ではテント or 監視小屋泊した5人のうち2人はフランス人だったし。
さて、十分休んだら大下りを越えていきます。燕岳が近づき、花崗岩質の土壌になっているのが分かります。奇岩も増えてきました。




そして、大下りの登り返しもほぼ終わるころ、ライチョウさんの親子に遭遇です。晴れている日は警戒してなかなか出てこないライチョウさん。この日は大きく育った2羽の雛と母鳥が出てきてくれました。ありがとう。






その後もサクサク進んで、人気#1山小屋と名高い燕山荘に到着です。早速テントの受付をしました。700円。水は1リットル200円の別売りです。この時点で12時頃だったので、時間的には十分下山できるのですが、月曜も特に予定がなかったので山の中でテントを張ってまったり過ごすというプランです。働き過ぎを改める生活スタイルを意識しています。


小屋の前から見る燕岳。とても人気のある山ですね。これまで色んなウェブサイトで紹介されている写真を見てきましたが、本物は初めて。第一印象は、意外と小さいということでしょうか。


2時までランチをやっているということなので、せっかくなら評判のよいランチも体験しようと思い、サッサとテントを張って山頂往復を済ませてしまいましょう。テント場からは場所によっては山頂も見えてよいのですが、トイレが非常に旧式で臭いがきつかったのがマイナスイメージ。燕山荘は小屋が立派だし、サービスにも相当お金をかけていると思うのですが、テント場トイレも改修するか、古いタイプならせめて大量の芳香剤で対応して欲しいです。南アの大門沢小屋みたいに。


まあ、それはともかく、山歩きを始めて5年目にして初の燕岳です。槍ヶ岳もそうでしたが、人気があって混む山を露骨に避けていましたね。でも、やはり綺麗で絵になる山だと思います。大町側からちょっとガスが出始めましたけど。


途中にある有名なイルカ岩。観光スポットを押さえます。


振り返ると槍ヶ岳が見えます。大分遠くなりましたね。1日半歩いてきていますからね。雲が信州の大町側から上がってきて、稜線を越えると西側からの風で押し戻されているのが分かります。


イルカ岩と槍ヶ岳のコラボ。


途中、コマクサの群生地があり、幾つか比較的形の良いものが残っていてくれました。




メガネ岩も観光スポット。これに登らないようにという注意書きがありました。


山頂が近づいてきました。花崗岩質の山は、鳳凰三山や甲斐駒ヶ岳など、イケメン系が多いですね。燕岳は北アの女王ということで、女性的とされるようです。


やはり鳳凰三山に似ているように思う。それは禁句なのだろうか。


そんで、サクサク進んで山頂です。


北方には登山道が続いていて、北燕岳を経て餓鬼岳・唐沢岳に至ります。そっちはかなり厳しい道だと聞きます。


槍ヶ岳方面を振り返ります。見える角度が全然違いますね。ここからだと、沢の刻んだ深い谷が印象的です。


水晶岳、裏銀座方面も見え方が違う。


山頂には続々と人がやって来ます。数時間前に独占していた大天井岳の山頂とはえらい違いだ。邪魔になっても悪いし、燕山荘でランチを食べたかったので暫く楽しんだら山頂を後にします。戻る途中で見つけた小鳥さん。イワヒバリでしょうか。


ナナカマドはここでも実だけ赤くなっていて、紅葉はまだ。お彼岸を過ぎた9月後半からが見頃でしょうね。


燕山荘に戻って食堂です。この清潔さと広さ。さすがに噂通りの下界レベル。


カツカレーにしようかと思いましたが、自分の担いでいる食料もまだ結構残っていたので、軽めのチキンカレーにしました。普通に美味しかったです。鶏肉は柔らかかった。柔らかすぎて骨から離れて崩れていることもなく、丁度よい感じ。ご馳走様です。


燕山荘のケーキは有名ですが、小屋の裏手のテラス席では多くの人がビールや紅茶・ケーキセットなどを楽しんでいました。まあ、私も誰かと一緒に来ていれば頼むのでしょう。一人だとちょっと寂しい瞬間ですね。


午後3時10分頃から30分間ほど、ブロッケン現象が見られました。山歩きを始めて5年、初めて見ました。東側から雲(ガス)が上がり、西側から太陽がある角度で差し込むと見られるらしいです。もちろん、方向は東と西と逆でもいいのでしょうけど、夏雲が上がっている午後の方がチャンスは圧倒的に多いでしょうから、太陽が西にいるタイミングなのでしょうね。




これで人生初のオコジョにでも会えれば完璧でしたが、それは叶いませんでした。この後は夕焼けに期待したのですが、残念ながらこの縦走では朝夕のお日様には微笑んでもらえませんでした。丸い大きな夕日は見られず、当然夕焼けもなし。徐々に山々の色が青から黒く変わっていくのを眺めていました。それでも、迫力ある山々なのでとてもいい景色ですけどね。
槍ヶ岳方面と黒部・裏銀座方面。




拡大すると迫力の槍ヶ岳。


水晶岳。


野口五郎岳。


燕岳。


ちょっとずらして、奥に見える立山と一緒に。


立山から見える景色は少し焼けているのでしょうか。8月に縦走した懐かしい山域です。


これは逆側の後立山連峰。こちらも鹿島槍ヶ岳辺りから見る景色は焼けているのかな。


最後に、夕暮れ時で青っぽくなった燕岳。


ということで、夕焼けは残念でしたが朝日に期待して就寝です。で、翌朝。これも夕暮れ時と似たようなパターンでした。全体的には晴れているのですが、雲が地平線というか太陽の出るところに薄い層を作って滞留している感じで、綺麗な丸いご来光は拝むことができませんでした。当然朝焼けもなし。テント場の東側に雲海ができていて格好いいですが。


後立山方面は雲海をまとっています。


そして槍ヶ岳。


太陽が上がってくると思われるところはオレンジ色になりつつあるんですけどね。これ以上のパフォーマンスがない日でした。


だいぶ明るくなってきてしまい、もう実質的には夜明けで太陽が昇っている時間です。綺麗な朝日は拝めず。諦めて最後に燕岳を臨む。


同じく、諦めて最後に大天井岳と槍ヶ岳を臨む。表銀座逆縦走の見納めです。






テントを撤収し、下山です。麓の中房温泉は幾つかの施設があるようで、8時過ぎには入れる温泉もある模様。下山に3時間はかからないと思うので、6時前にはに出発しました。燕山荘の直下のお花畑は、秋の花であるアザミなども既に終盤。この後二週間ほどで紅葉が本格的に始まったようです。見頃は9月末~10月の第一週なのだと思います。


テント場直下も秋の色が濃い。


下山途中、餓鬼岳方面の縦走路が見えました。確かに険しそうだ。




大天井岳も。この山は常念岳のように安曇野の町から見えないし、槍ヶ岳のような圧倒的な格好良さもないのだけど、コマクサも咲いていたし展望台としてもいい所にあるし、もっと人気が出もいいと思う。


下山路は、合戦小屋までは極めて歩きやすい。と言うか、全体的に歩きやすい。登山者が多くてよく踏まれているせいでしょうね。時々花崗岩質の山らしいえぐれた部分が出てきますが、滑りやすい岩や石の道ではないので危険はほぼ皆無。




標高が低くなってきて樹林帯に入るとさすがに暑いし、展望もないし、登ってくる人がとても多くてすれ違いが大変だったりしましたが、全体的には特に問題なく下山しました。それにしても、翌日の天気予報は激しい風と雨だったと思うけど、明らかに日帰りではない団体とか結構多かったです。皆さん、アグレッシブですね。樹林帯はクロベと思われる針葉樹が多く、標高が下がってくるとシラカバなどの広葉樹が増えて紅葉や新緑の時期は綺麗だろうと思わせてくれました。苔も意外なほど多かった。








で、8時10分頃中房温泉の登山口に下山し、温泉です。日帰り温泉施設の湯原の湯。700円だったかな。


露天風呂だけの小さい施設でしたが、他にはもう一人の下山者がいただけなので余裕を持って入浴できました。




帰りは、乗り合いタクシー(バス)にて穂高駅に出ます。1,700円。


交通費を浮かせる&シートが比較的楽なので、高速バスで松本から新宿に帰りました。そのため、昼食は松本で。Twitterなどでも時々登山者の方が下山後に利用されている投稿がありますが、松本から揚げセンターにて山賊焼き定食+ミニ鶏ラーメンのセットを頼みました。まったくミニではなく、完全にラーメン1杯とガッツリ山賊焼き定食だったので苦戦しましたが、ちゃんと完食しました。美味しかったからね。


表銀座縦走路が人気なのは納得ですね。燕岳も、規模感では鳳凰三山などに劣ると思いますが、花崗岩質の山独特の美しさが際立ちます。大天井岳へのルートは歩きやすい絶景ルート。大天井岳そのものが名山だと思うし、そこから東鎌尾根を槍ヶ岳までは、それなりに歩き甲斐もあるし何と言っても槍ヶ岳がイケメン。距離的にも、普通は2泊で十分でしょうし、健脚なら1泊でも可能でしょう。今回は逆走なのでちょっと勝手が違いましたが、それでも十分楽しめました。北アルプス、来年は裏銀座に行けるといいと思います。


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