三無主義

 ~ディスパレートな日々~   耶馬英彦

映画「君の膵臓をたべたい」

2017年08月01日 | 映画・舞台・コンサート

 映画「君の膵臓をたべたい」を観た。
 http://kimisui.jp/

 猟奇ものみたいなタイトルは果して作品の内容と合っているのかは議論の分かれるところだが、インパクトのあるタイトルであることは確かだ。予告編では、見ればタイトルの意味に涙するとあったが、涙するかどうかは微妙なところだ。
 高校生たちの台詞には整合性のない部分も見られるが、その世代の精神性としてはむしろリアリティがあるといっていい。大人を演じた小栗旬の台詞は少なく抑えられている。そこに13年間の年月を感じさせるいい演出だ。
 主演の浜辺美波をはじめ、女子高生役の演技はそこそこだったが、相手役の男子高生を演じた北村匠海の演技には光るものがあった。彼が演じた、人と相容れないが自分の殻に閉じ籠る訳でもない自由でニュートラルな精神を持つ稀有な高校生は、その姿を見ているだけでとても清々しい。自称「人を見る目がある」主人公が彼に夢中になるのは必然だ。
 過去のシーンも現在のシーンも、男子高生役の演技は総じてレベルが高かった。ガムをくれる友達を演じた矢本悠馬の悠揚迫らぬ態度には大物感さえ漂う。この人はいいバイプレイヤーになるだろう。
 ストーリーや世界観は月並みだが、実写版としてのリアリティは十分だ。観客の誰もが自分の学生時代を思い出す。