ふと、テントが揺さぶられている気がして目を覚ます。
強い風が吹いているようだ。
真っ暗闇の中、手探りで時計を探す。夜中の1時を少し過ぎたところだ。
起こされてしまったため、しばらく寝付けない。風は強さを増していく。
波音も、寝た頃よりもはるかに大きい。
ここは浜辺から50mくらい離れた、少し盛り上がった堅い砂地。
さえぎるものが何もないから、テントは湖面を走る突風をまともに受ける。
やや、ヤバい、経験したことのない強風だ。
一応サボらずペグ(固定用釘)打っといたけど大丈夫かな?
肖も起きたみたいで、何か言ってるけど聞こえない。
じきに雨が降り出す。そして閃光。あぁ雷だ。嵐が来る。
夕方あんなに晴れてたのに…。
当然逃げ場はない。国道から1キロも離れた原野の只中。
国道に戻ったところで村までは遠い。建物もない。
だいたい荷物をおいて逃げるわけには行かないし、
逃げたところで原野を進むのが安全なわけもない。
選択肢は一つ。やり過ごすのみ…。
徐々に狭まる閃光と雷鳴の間隔、激しさを増す風雨。
肖は外に出て、しまってなかった荷物を集めている。
「テントが飛ぶから中にいろ!」と叫ぶが通じるわけもなく。
震えが止まらなかった。寒いわけじゃない。恐怖感からくる震えだ。
こんなの初めてだ。
何でテント泊にしたのか、なんでこんな湖畔を選んだのか、
考えてみても後の祭り。これで雷直撃したら万事休すか…
あぁ…。
なんて思ってても仕方ないので、音楽を聴こう。
こんなときは賑やかなのがいいけど…そうだ、出発直前に、何となく
元気出るかなーと思って「ワンピース」の歌集を借りていた。
懐かし、バンプのsailing day。
♪精一杯 運命に抵抗 ~
~ 嵐の中嬉しそうに 帆(テント)を張った 愚かなdreamer♪
ハマる。おれ愚か過ぎる。
肖は湖面ぎりぎりに張ろうとしてたけど、制止しておいて良かった。
なんかよく分からんけど、終盤で声優たちがワイワイ言ってる
トラックがあった。
ルフィ「海族王に、おれはなる!」
ゾロ「世界一の剣豪になるぜ!」
ナミ「世界中の海図を描くわ!」
チョッパー「世界を、…この目で見るんだ!」
…おいおい、いい年しておれはまだチョッパーレベルかよ。
ちぃせーなぁ…スケールも心臓も…。
どれだけ時間が経っただろう。心なしか、雷が遠ざかってく気がする。
助かった?とりあえず、もうしんどいから寝よう。
耳栓とアイマスク持ってこればよかった…。
ふと気がつくと明るくなり始めている。
5時半。
波の音と、鳥の鳴き声だけが聞こえる。
ファスナーから顔を出してあたりを確認。浸水はゼロ。
ペグも昨日打ったまま。
表には肖の荷物が散乱している。
彼のテントには、どこから持ってきたのか、でかい石が
いくつものっかっている。
起きた肖と顔を見合わせて、大笑いした。
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強い風が吹いているようだ。
真っ暗闇の中、手探りで時計を探す。夜中の1時を少し過ぎたところだ。
起こされてしまったため、しばらく寝付けない。風は強さを増していく。
波音も、寝た頃よりもはるかに大きい。
ここは浜辺から50mくらい離れた、少し盛り上がった堅い砂地。
さえぎるものが何もないから、テントは湖面を走る突風をまともに受ける。
やや、ヤバい、経験したことのない強風だ。
一応サボらずペグ(固定用釘)打っといたけど大丈夫かな?
肖も起きたみたいで、何か言ってるけど聞こえない。
じきに雨が降り出す。そして閃光。あぁ雷だ。嵐が来る。
夕方あんなに晴れてたのに…。
当然逃げ場はない。国道から1キロも離れた原野の只中。
国道に戻ったところで村までは遠い。建物もない。
だいたい荷物をおいて逃げるわけには行かないし、
逃げたところで原野を進むのが安全なわけもない。
選択肢は一つ。やり過ごすのみ…。
徐々に狭まる閃光と雷鳴の間隔、激しさを増す風雨。
肖は外に出て、しまってなかった荷物を集めている。
「テントが飛ぶから中にいろ!」と叫ぶが通じるわけもなく。
震えが止まらなかった。寒いわけじゃない。恐怖感からくる震えだ。
こんなの初めてだ。
何でテント泊にしたのか、なんでこんな湖畔を選んだのか、
考えてみても後の祭り。これで雷直撃したら万事休すか…
あぁ…。
なんて思ってても仕方ないので、音楽を聴こう。
こんなときは賑やかなのがいいけど…そうだ、出発直前に、何となく
元気出るかなーと思って「ワンピース」の歌集を借りていた。
懐かし、バンプのsailing day。
♪精一杯 運命に抵抗 ~
~ 嵐の中嬉しそうに 帆(テント)を張った 愚かなdreamer♪
ハマる。おれ愚か過ぎる。
肖は湖面ぎりぎりに張ろうとしてたけど、制止しておいて良かった。
なんかよく分からんけど、終盤で声優たちがワイワイ言ってる
トラックがあった。
ルフィ「海族王に、おれはなる!」
ゾロ「世界一の剣豪になるぜ!」
ナミ「世界中の海図を描くわ!」
チョッパー「世界を、…この目で見るんだ!」
…おいおい、いい年しておれはまだチョッパーレベルかよ。
ちぃせーなぁ…スケールも心臓も…。
どれだけ時間が経っただろう。心なしか、雷が遠ざかってく気がする。
助かった?とりあえず、もうしんどいから寝よう。
耳栓とアイマスク持ってこればよかった…。
ふと気がつくと明るくなり始めている。
5時半。
波の音と、鳥の鳴き声だけが聞こえる。
ファスナーから顔を出してあたりを確認。浸水はゼロ。
ペグも昨日打ったまま。
表には肖の荷物が散乱している。
彼のテントには、どこから持ってきたのか、でかい石が
いくつものっかっている。
起きた肖と顔を見合わせて、大笑いした。
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