ブログ人気投票にクリックいただけると幸いです。
乳がんで闘病中だったフリーアナウンサーの小林麻央さんが亡くなって、多くの方に様々なことを考えさせました。一タレントの死が、社会現象とも言えるほど多くの方に影響を与えたことは、特筆すべきことです。歌舞伎俳優・市川海老蔵の妻だったこと、闘病中に精力的にブログで考えや状況を綴ったことが、その理由でしょう。
闘病中にブログを開設し、2017年6月20日まで500回以上更新し、250万人以上の読者を集めたそうです。ブログで積極的に病状の情報発信を行い、多くの人に影響を与えたことが評価され、2016年11月21日、英国放送協会(BBC)の「今年の女性100人」の一人に選出されました。
小林麻央さんの余命が「夏までの3ヶ月」と医師から告げられ、入院している病院から自宅に戻ったという情報もあったそうですが、関心が薄かった私は、今回の退院が、病状に若干の改善があったのだろうと勘違いしていました。しかし、ブログの愛読者は、麻央さんと並走しながら、様々なことを考えていたようです。
「・・・病気になったことが私の人生を代表する出来事ではないからです。私の人生は、夢を叶え、時に苦しみもがき、愛する人に出会い、2人の宝物を授かり、家族に愛され、愛した、色どり豊かな人生だからです。だから、与えられた時間を、病気の色だけに支配されることは、やめました。なりたい自分になる。人生をより色どり豊かなものにするために。だって、人生は一度きりだから。」(BBCに思いを寄稿した内容の一部)
突然に襲ってくる病魔。そんな不幸な出来事さえも乗り越えて、人生に真摯に取り組む姿勢は、多くの人に感動と励ましを与えたことでしょう。そして、今は元気な多くの人たちにも、素晴らしい示唆を与えたはずです。
海老蔵さんは、「おとついまでは喋れたが、きのうは喋れなかった。息を引き取る瞬間、『愛している』と言って、本当にそのまま旅立った」と話しました。この出来事も、涙無くして受け取れない話です。
市川海老蔵のブログによると、長男・勸玄(かんげん)くん(4)が、麻央さんが亡くなった後、その母のために毎日、花を生けているそうです。無論、母の死を本当に理解しているかどうかは疑問です。けれども、自分の身に起きた大変な出来事であることを理解し、母を追慕する想いが現れた話です。
がん患者の末期に、在宅療養を選択することの意味も、今回の出来事で再認識しました。「家族の中で最期の日々を過ごすことは、患者本人や家族にとってとても良いことだ」と言う専門家の意見もあります。緊急時の医療行為や日常の世話など、家族に負担はかかるでしょうが、 「厳しい痛みを抱えながらでも、家族と一緒に自宅で過ごしたいという希望を周囲が支えられてよかった」と言うのが、大方の考えでしょう。
母が亡くなった後の、子どもたちの話などは、やはり涙無くして聞くことができません。しかし、亡くなった後でさえ、多くの人に貴重な教訓を与え続けるこの女性は、極めて稀な人物だったのでしょう。病との係り方・家族の在り方・夫婦の在り方など、多くの事を考えさせられたはずです。
ところで、麻央さんが亡くなった後、市川海老蔵がブログを頻繁に更新していることに対して、批判もあるようですが、私はそれでいいと思います。このように、苦しいことを隠さずに述べて来た夫婦であり、多くの人と連帯して、苦難を乗り越えて来たのですから。最後になりましたが、麻央さんのご冥福をお祈りいたします。(合掌)