花の四日市スワマエ商店街

表参道スワマエ商店街会長のひとり愚痴

小津安二郎の「麦秋」

2011年05月23日 | 諏訪商店街振興組合のこと
昭和26年、小津監督が「晩春」につづき原節子を紀子役として起用した2作目の作品で、この頃、二人の仲が噂されていたそうであります。(ドウデモイイコトデスガ・・・)
「麦秋」とは、初夏の芽吹きの季節に麦は刈入れを迎える、そんな幸せの中にちょっぴり寂しさをにおわせたおはなしで、この映画の題にふさわしい感がします。
     
     
(前回おはなしの、小津監督好みの縦縞の急須・・・)
北鎌倉に住む、両親(菅井一郎と東山千栄子)と息子夫婦(笠 智衆と三宅邦子)と子供たち、そして婚期を逸しかけている妹(原節子)の大家族(・・笠智衆は東京に勤める医者で、原節子も東京のオフイスガール。家族の生活は裕福そう・・)の物語で、これも家族が心配する中、紀子が嫁ぐまでのお話です。「埴生の宿」のオルゴールとともに北鎌倉の閑静なたたずまいが印象的です。
戦災後、ようやく立ち直りかけてきた中で、平和を堪能するかのように静かに、穏やかに時が流れていきます。
     
     
ひょんなきっかけで、家族同様に付き合ってきた健吉との結婚を承諾する紀子。母親役の杉村春子との対話シーンは感動的です。医者の健吉には子供が一人居るバツイチなのです。原節子が献身的な聖母のようで、彼女の魅力が充分映し出されます。
紀子の結婚を期に、両親は奈良へ移り住むこととなり、大家族が離れ離れになっていく、そんなセンチメンタルな小津作品です。
     
(ここにも縦縞の湯飲みを発見!)
コメント
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