3月議会最終日、私が行った政党助成金の廃止を求める意見書賛成討論です。
安倍政権のもとで、相次ぐ首相や閣僚の「政治とカネ」の問題など国民の中での政治不信が高まり、沖縄の基地建設に関わっては、意に沿わない自治体に対する高圧的な対応、憲法改正に伴うナチス発言、文官統制に関する「生まれる前で知らなかった」発言、首相席から質問議員に野次を飛ばすなど、これまでなら国会が空転し、大問題になるような事態はじめ、政治劣化は目を覆いたくなる状況が続いています。
このような政治の腐敗、政治劣化の大元には20年前から始まった民意を大きく歪める小選挙区制度と国民の血税を政党が山分けする政党助成金にあると私たちは考えます。
政党助成金は、毎年320億円が日本共産党以外の政党に支給され、導入以降6311億円にのぼります。この制度が導入された背景には、政財官を巻き込んだ大規模汚職事件リクルート事件や建設業界からの巨額の収賄など企業団体献金が温床となった醜悪な政治腐敗の状況がありました。企業団体献金を禁止すべきという世論が高まり、政府や自民党も政治資金の流れを「政党中心」にすると言わざるを得なくなり、議員個人への献金禁止をするとともに、企業団体献金の禁止を前提に政党財政を支援する政党助成金の導入が持ち出されました。制度導入時に「税金に過度に依存しないことが必要」との議論がありましたが、政党助成金を受け取っている各党の本部収入に占める割合は、自民6割、民主8割、維新7割などいまや各党は運営資金の大半を依存しているのが実態です。また年末の恒例行事となった感もありますが、5人以上の国会議員を集めれば政党助成金をもらえることから、この20年間、理念も政策もぬきにおびただしい数の新党の設立と解散、消滅が繰り返されてきました。
政党助成金は税金でありながら、法律で「その使途を制限しない」ことを規定されており、高級料亭の飲食費や、親族会社への物品発注など国民の政治不信をひろげています。また選挙資金の名目で800万円、1000万円と“自分あて”に寄付を行い、その総額は3億4400万円を超えています。何に使おうと自由、資金の行方も不透明、労せずしてお金が入ることがカネに対する感覚を麻痺させ、政治腐敗をなくすどころか政治とカネの問題は後をたたず、日本の民主主義を破壊しています。
各国の状況はといえば、アメリカでは“国からカネをもらうと紐つき、国家の介入を認めることになり、政党が堕落する。政党は私的結社として、国家から自由でなければならない”という、政党の自由結社の考え方が非常に強く残っており制度はありません。イタリアでは国民投票の結果93年に廃止、2010年の資料ではドイツは日本の約2分の1の174億2300万円、フランスは、日本の約3分の1の98億円、イギリスは、日本の110分の1の2億9200円となっています。日本はダントツの高さです。
どの政党も「身を切る改革」といいますが、国会議員一人当たりの費用は歳費や調査費、公設秘書など約7360万円ですから、政党助成金制度を廃止すれば国会議員6割以上の460人分の費用に匹敵します。私たちは民意を削り、政府のチェック機能を低下させる国会議員削減に反対の立場を取っていますが、政党助成金こそきっぱりと廃止すべきです。
90年に答申された第8次選挙制度審議会では将来の姿として、「政党の政治資金も個人の拠出により支えられるようになることが望ましい」と指摘しています。支持政党に関わりなく国民に一律に負担させる政党助成金は、憲法の保障する国民の「思想信条の自由」や「政党支持の自由」に反するもので日本共産党は発足以来1円も受け取っていませんが、諸外国の多くの政党同様、個人寄付や機関紙購読料など国民に支えられた財政で運営しています。政党活動は国民一人ひとりに支えられて行うという本来の政治の姿を取り戻し、政治への信頼を回復するために政党助成金の廃止を求めるものです。見識ある同僚各議員の賛同を求め討論といたします。