hoppenの韓的な日々♪

2004年・夏、イ・ビョンホンssiに出会ってから韓流へ~韓国映画&ドラマで刺激的になった日々を綴ります。

東京フィルメックス:トークイベント「釜山国際映画祭と韓国映画の躍進」

2006-11-24 01:35:55 | 東京フィルメックス・11月


第7回東京フィルメックス
公式HP:http://www.filmex.net/index.htm


17日から26日まで開催されている東京フィルメックス。
いくつかのトークイベントが、無料で催されています。
23日に行われたのは、
釜山映画祭ディレクターのキム・ドンホ氏、
『甘い人生』などのプロデューサー、オ・ジョンワン氏、
『拳がなく』などのリュ・スンワン監督の三人が招かれました。

早めに現地に行って、友人としゃべっていたおかげで、最前列で拝見してきました。
2メートル前にスンワン監督。
色白で、小柄。
この監督が、パワフルな映画を作り出してる人なんですね。

イベント終了後は、がっちり握手してくれました。


『甘い人生』をはじめ、『反則王』『スキャンダル』『情事』『ユア・マイ・サンシャイン』など、芸術性と興行性を兼ね備えた作品を生み出しているオ・ジョンワン氏。

他人から見ると成功するか不安に思える作品を選ぶことで、韓国映画界の多様性を生み出したいと語っていました。
釜山映画祭では、何より観客の情熱が強く、彼らに見せるために映画を作っているんだという、自負心と責任感を感じるそうです。


そして、11回を数える釜山映画祭の生みの親であり育ての親であるキム・ドンホ氏。
キム・ドンホ←ピン写真を撮ってなかったので公式HPからコピー。
スンワン監督曰く。
この方の健康こそ、釜山映画祭が、これからも、若くて個性的で魅力的な映画祭であり続ける秘訣だそうです。
フィルメックスの市山ディレクターも、「キム氏が、今年からお酒をやめたそうなので、みんな安心しました」と言ってました。

キム氏が語る釜山映画祭の成功の要因は4つ。

①韓国で初の国際映画祭
  普段見れない、ヨーロッパや、アジア、日本の映画を欲する観客が集まり、
  第1回目から、18万人が集まったそうです。

②映画祭の目標→アジアの新人監督や、新作を世に送り出す映画祭
  既に、高い評価を受けていた東京と香港の国際映画祭との差別化のためにも、
  コンペなしでスタート。
  3回目よりPPP(釜山・プロモーション・プラン)を開催。
  これは、新人監督が企画を発表し、制作費を集める場です。
  前回からは、アジア・フィルム・マーケットを開催。
  アジアの映画の売買の場です。
  今回からは、5人の監督を選び、映画教育をするプロジェクトを発足。

③民間財政なので、政府の干渉を受けない。
  開催費用22億ウォンのうち、釜山市からの援助は3億ウォンのみ。
  初回から、6人のディレクターが中心に、
  自立的にスポンサーから資金を調達し、運営している。
  行政の援助を受けていると、その財政悪化によって、存続の危機が懸念される。

④市民と、韓国の映画人の、全面的な支援。
  市民が、観客として楽しんでくれる。
  映画人は、自分たちの映画祭として、積極的に参加してくれる。
  オ・ジョンワンPDは、
  「釜山映画祭は、映画人が集まり、語り合い、一同に遊べる場」と言ってました。

いい作品を生み出すには、いい観客を育てることが大切
常に、観客を念頭に、作品を選ぶそうです。
難しい映画も上映されますが、それは、観客の水準を高めることにつながる。
常に、観客が中心となり、観客が楽しめる映画祭を目指したいと語っていました。


スンワン監督にとっての釜山映画祭は・・・。

2度、短編映画を出したのに、落ちたそうです。
だから、「尊敬よりも復讐の対象」なんですって。
第1回目の1996年頃は、映画界自体が発展途上。
当時、スンワン監督は、パク・チャヌク監督の失敗作(!?)『三人組』の助監督。
『甘い人生』キム・ジウン監督は、フリーター
『グエムル』ポン・ジュノ監督は、資格取りの勉強に勤しんでいたそうです。
映画界が不安な時代に、映画祭も存続できるのか危ぶんでいたそうです。
でも、観客として参加した映画祭は、熱気が高く、上映される映画も水準が高くて、
「僕が、監督としてデビューするまでは、存続するだろう」と安心したとか^^。
「映画祭で、他監督を、どんどん海外へ輸出し、自分だけが韓国に残れるようにしてほしい」と、妙な希望を語ってました。

こんな、笑いのツボを備えた監督ですが、問題意識は高い。
韓国映画界の課題として。

①政治
 アメリカとの協定で、映画界だけが犠牲になる形でスクリーンクオーターが縮小されたこと。

②経済
 インターネットでの不法ダウンロードが横行し、DVDの普及もできないこと。
 (そういえば、DVDの普及が進んでいる日本を、
  ビョンホンssiがうらやましがっていましたね。)
 大型映画がスクリーンを独占し、小さな作品の上映機会を奪っていること。

③芸術面
 出資の対象になってしまっていること。

④外交
 韓流は虚像であり、スターだけで映画を見るのはやめてほしい。
 映画の中で表現される心情や精神世界が、国を越えて一致する事を体験してほしい。
 真の友になるためには、作られた笑顔ではなく、本当の気持ちを見てほしい。

特に④は、先日、チョン・ウソンも同じ事を語っていました。
韓流の影響で、映画の値段を吊り上げて売ろうとする人もいるが、
それは、韓国映画界にとって、マイナスだと。

そうそう。
私も、きっかけは「作られた笑顔」だったかもしれない。
でも、その笑顔の下に見える思いや人間性を好きになって、みんなファンになると思うんですよね。
そして、韓国映画にはまっていく人もいると思うんです。

ただ、スターが出ていないという理由だけで、良質の韓国映画が日本で公開されない状況も出てくるかもしれない。
どうか、そうならないようにしたいですね。

こういう話を聞くと、韓流スターでもあり、韓国映画界の映画人でもあるビョンホンssiは、とても難しくて、重要な立場にあるように感じました。

このトークイベントは、私がいろいろ感じてきたことと重なる話が多く、本当に面白かったです。
とっても長くなってしまいましたが、これからも、面白い韓国映画、そしてアジア映画の誕生を期待できるトークイベントでした。

それと、釜山国際映画祭。
ぜひ一度、皆さんも参加して、楽しんでください!!
(3泊4日で、5万円弱で行けますよ)  


最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
韓国映画 (ROSE NEL BUIO)
2006-11-24 13:14:51
いいなあ 近くで見れるなんて

韓国映画やドラマには 直線的に感性に入ってくるよね。

日本のドラマや映画にも いいものがあると思うけど 自分で探さなくてはいけないよね。

日本のドラマなんか 薄っぺらくて 感情にも打ったえてこない。学芸会じゃないんだから。 日本の俳優も 見習ったらいいと思う。

私の友達に 韓国だから観ないという人もいる。私自身 いいものには国境はないと思うし 人に対しての差別もない。韓流といって こ馬鹿にみている人よりも 私たちは 心が豊かなんだなあと思っている。

俳優さんはもとより 監督 演出家 作家たちも素晴らしいと思う。
一つの小さな出来事にも 感情があるんだということを 教えてくれる。そういう経験を積んでいるんだなと思う。

私は ビョンホンさんのファンだけど 韓国の俳優さんは 好きよ
情熱を感じる。

hoppenたんが いろいろ情報をくれるから とっても 助かるし 知らないことも多いから 嬉しいよ!
返信する
語ってしまいますが (hoppen)
2006-11-24 20:06:19
ビョンホンssiを知るまでは、映画って、あまり見たことがありません。
そんな私が語ってしまって、申し訳なかったりするんですけど。

日本にも、いい俳優はいっぱいいる。
いい監督もいると思うの。
でも、それを育てて、バックアップするシステムが、韓国のように整っていないのだと思います。

だって、『硫黄島への手紙』の二宮君は、ポスターの表情だけで、胸を打ちます。
『太陽』での桃井かおりは、たった数分なのに、圧倒的な存在感を残しました。
今、話題の二十歳女優たちは、本当に、魅力的です。
でも、日本では、こういう役者さんたちのいい味を、じっくり表現する作品は少ないですよね。
いい俳優なのに、もったいないって思う。
せっかくの若手も、じっくり育たない。
だって、一番大事なのは、作品のクオリティではなく、興行成績であり、ドラマで言えば視聴率ですから。
ま、資本主義ですから、仕方ないですよね。

二宮君は、完成した『硫黄島からの手紙』を見て、自分のシーンがたくさんカットされていることに、ショックを受けたそうです。
きっと、日本映画じゃありえないでしょ。
二宮君のファンを呼ぶためには、そんなことできません。

韓国映画でさえ、韓流スターの映画はそれを強要されることがあるようです。
私は、『美しき野獣』が、サンウもジテも渾身の演技だったし、ストーリーも良かったと思うんですが、
まるで、サンウのP.V.のように感じてしまいました。
きっと、日本の韓流ファンを呼びたかったからだと、想像しています。
こういうことが、スンワン監督が、懸念していたことかもしれません。

今、日本映画がたくさん上映されていますが、現場のスタッフは、決して喜んでいないようです。
とにかく、早く、たくさんの本数を撮る事を要求され、じっくり映画を作れない状況だからです。
撮影や、音響や、美術などの技術面。
どうしても韓国映画と比べて見劣りするのは、俳優と同じく、スタッフの技術を育てるシステムがないのだと思います。

どうして、韓国ではそれが可能なのか。
もちろん、政府のバックアップも大きい。
でも、韓国では、観客のほとんどが、韓国映画しか見ないんです。
観客が喜ぶ映画を作らなくては、映画自体が衰退してしまいます。
だから、クオリティをあげて、観客を満足させなくてはいけない。

日本では、本当に映画の好きな人が、クオリティの高い映画を見る手段がたくさんあります。
特に、東京では、日本のものも含めて、世界中のいい作品が数多く上映されています。
DVDソフトも、とても普及しています。
だから、観客としては、どうしても、日本映画を育てなくちゃ困るといわけじゃないんですよね。

日本は、どちらかというと、観客のほうが幸せで、映画を作るスタッフや俳優は、とても苦労させられる国なんじゃないかなぁ。

もちろん、日本だけでなく、韓国、そして香港やその他の国でも、映画は楽に作れる物ではありません。
それぞれに、課題を抱えています。
世界中の映画人の方、逆境に負けず、ぜひ、がんばってください!

舞台挨拶やイベントで映画人の話を聞くのって、本当に面白い。
根がミーハーなせいもあるんですが、そこから、いろいろなものが見えてくるんですよね。
これからも、このブログでは、そんなことを伝えいきたいです。
そして、日本の、韓国の、その他の国のものでも、自分が好きになった映画を1人でも多くの人に見てもらって、共感してもらえたら嬉しいです。

長文で失礼しました。
返信する
>ROSEちゃんへ (hoppen)
2006-11-24 20:20:59
いきなり、語ってしまって、ミヤネヨ~♪
ほんとうに。
日常の些細なことも、映画やドラマで描かれると、それがどんなに大切なのか気づかされたりします。
映画を見ていると、国が違っても、同じ事に共感できるんだって実感できる瞬間が好き。
見た人にしか味わえない、素敵な体験ですよね。
あ~、心が豊かになってるってことかしら~^^
(お財布は、貧乏になるけどね~;;)
返信する

コメントを投稿