hoppenの韓的な日々♪

2004年・夏、イ・ビョンホンssiに出会ってから韓流へ~韓国映画&ドラマで刺激的になった日々を綴ります。

『男たちの挽歌 A BETTER TOMORROW』:劇場鑑賞(2011.02.20)

2011-02-21 00:57:18 | 韓国映画・ドラマのレビュー



『男たちの挽歌 A BETTER TOMORROW』
(무적자/無籍者)
(2010.09.16韓国公開、2011.02.19日本公開)

日本公式サイト

男たちの挽歌 A BETTER TOMORROW - goo 映画
무적자-CINE SOUL MOVIE


香港ノワール映画『男たちの挽歌』の韓国版リウェーク。
でも、香港のノワールとは、ちょっと違った味わいでした。

Vシネマのような迫力のアクションと、
豪華韓流スターが共演する男の友情と兄弟愛に涙する映画。

でも、私にとっては、ベースにある脱北者の設定が印象深かったです。
以前『クロッシング』と言う映画を見たからかもしれません。
あの映画の男の子が、国境を越えて韓国に渡っていたら…。
この映画の人物たちのように、黒社会に堕ちてしまっていたんだろうか。
必死の思いで、生きるために国境を越えたのに…。

南北分断を抱えた韓国の現実の一面を感じる映画でした。

**** あらすじ&解説-goo映画より ****
脱北の際、生き別れになった兄弟がいた。
数年後、兄のヒョク(チュ・ジンモ)は同じ北朝鮮出身のヨンチュン(ソン・スンホン)と共に
武器密輸組織の幹部にのし上がっていた。
ヒョクは、弟・チョル(キム・ガンウ)との再会を果たすが、チョルは自分を見捨てた兄を許さない。
やがて最後の仕事でタイに渡ったヒョクは、仲間のテミン(チョ・ハンソン)の裏切りで逮捕されてしまう。
出所して帰国したヒョクだが、すでに組織はテミンが牛耳っていた。
そして弟チョルは警察官となり、組織の摘発に乗り出していた。
 
********

まずは、豪華な韓流スターのキャストをご紹介。


↑こちらの写真の右から。
かっこいい兄貴ヒョク=チュ・ジンモ。
(髭の叔父さんは、脇役で)
真ん中が、組織の社長の甥でありながら、臆病者のテミン=チョ・ハンソン。
左が、銃の腕前も度胸もイケメンぶりもすべて揃ったヨンチュン=ソン・スンホン。

この3人は、こんな風に変わっていきます。

服役し、出所してからはまっとうな道を歩もうとするヒョク兄貴。


ヒョク兄貴の敵を討ったものの、


足を負傷して障害が残り、落ちぶれてしまうヨンチュン。
このキャラクターが、良かった!


兄貴たちを裏切り、組織のトップに立つテミン。
むっちゃ腹立つ裏切り者です。



そして、ヒョク兄貴が北朝鮮に残してきてしまった弟・チョルは、キム・ガンウが演じます。
脱北者の苦悩を見事に表していて、さすがキム・ガンウだ!



キム・ガンウの演技が真に迫っていたからでしょうか?
私は、以前見た映画『クロッシング』の男の子が頭から離れませんでした。

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マクザム


『クロッシング』は、ごく普通のお父さんと男の子の話です。
学校から帰ったら、仕事を終えたお父さんを待って、一緒にサッカーをする。
本当に、どこにでもいる、普通の家族。

ただ、北朝鮮という国に住んでいるというだけで、父と子が、かなしい運命に翻弄されます。

お母さんが病気になり、お父さんは、国境を越えて薬を調達しに行きます。
そこで、脱北者になってしまいます。

お母さんがなくなり、北朝鮮に残された男の子も脱北を試みます。
南で待つお父さんの所へ向かいます。

死ぬ思いをして国境を超える男の子。
必死で、ただ、生きるために国境を越えたはずなのに。
南に行ったら、そのあとは、
ヒョク、ヨンチュン、チョルのように生きなくてはいけないのでしょうか?

ラスト、テミンの一言で、チョルは最後の行動を決断します。
脱北者は、南に行っても弱者。
やりきれません…。
南北分断を抱える韓国の現実の一面なんですね。

あ、そっか…。
この映画は、『力道山』や『私たちの幸せな時間』ソン・ヘソン監督の作品です。

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ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
私たちの幸せな時間 [DVD]
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アミューズソフトエンタテインメント

韓国では弱者である在日朝鮮人の力道山や、
声を発する権利のない死刑囚の心情を丁寧に描いた2作品です。

hoppenの韓的な日々♪より
『私たちの幸せな時間』:劇場鑑賞(2007.07.28)

この映画でも、ソン・ヘソン監督の丁寧なキャラクターの心情表現が、
印象に残ったのかもしれません。

韓国は、強者と弱者の色分けが、まだ、色濃く残っている側面があります。

韓流ドラマで、
御曹司や、孤児の設定、海外へ養子に出されるという設定などが頻繁に出てくるのも、
その側面が残っているからかもしれません。

障害者に対しても偏見が残っているのか、
この映画の中でも、足の障害を持つヨンチュンに対して、洗車の客が平気な顔で、
「何だ、障害者か」というセリフを吐くシーンがありました。

ソウルの街を歩いても、道路の整備はされていないし、
深く掘られた地下鉄には、エレベーターはほとんどありません。
エスカレーターはありますが、階段だけの個所が多くて、乗り換えも長く歩かなくてはいけません。
お年寄りや障害者の方は、出かけることは困難だろうなぁと感じます。

でも、この映画を見て、こんなことを感じた人って、私くらい?かも?

あれこれ書いたけど、それは参考くらいで。

こんなにあれこれ考えなくても、映画ならではの面白さを感じてもらえればOKな映画だと思います。

韓国映画ならではの迫力あふれるアクションや、韓流スターの力の入った演技を、
公開している間に、ぜひ、劇場で楽しんでください。

余談ですが。
韓国では、北朝鮮のことを『北韓(ぽっかん)』と呼びます。
北の韓国、という意味でしょうか。
映画の中で、確かめてみてくださいね。
北朝鮮では、韓国のことを『南朝鮮』と呼ぶようです。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
丁寧なレビュー有り難うございます (ドンヨンの母)
2011-02-21 09:15:06
19日、公開初日見てきました。
東京映画祭でみて、その後も何度も見て居るのですが・・
実は一度も泣けなかったのです
が、
先日来日したチュジンモさんのインタビューで
脱北者の今日的課題、南での疎外感を知り、
今回は、・・泣けました。

これはノアールじゃない^^
人間ドラマだ・・
脱北しても、
待ち受ける過酷な環境で
裏社会の手づるでしか弟を捜せない脱北者ヒョク。
キーワードは脱北者でした^^

ラストシーンの監督の選択に、
強烈なメーセージを感じました。
弟チョルの選択に・・ようやく納得が出来・・
泣けました^^

どのレビューを読んでも、
隔靴掻痒でしたが・・
共感出来るレビューにようやく出会えました^^

有り難うございました!!
ドンヨンの母さんへ (hoppen)
2011-02-21 20:22:53
ノワールを銘打った映画で、こんな風に感じるのって、私だけかな、とか思っていたので、
共感していただけて、とても嬉しいです!
ありがとうございます。

私は香港ノワールも大好きなのですが、
オリジナルの『男たちの挽歌』は見ていません。
香港は、長い期間、中国でありながらイギリスの領土と言う特殊な地域であったため、
独特のノワールが生まれたのだと思います。
オリジナルのファンの方は、韓国版に抵抗のある方も多いかも。
でも、オリジナルに引きづられることなく、
韓国の内面を表現しているところに、
韓国映画のパワーを感じました。

ラストシーン。
チョルの心情を考えると、やはり…と思ってしまいますね。
チュ・ジンモssiもインタビューで語っていたんですね~。
スタッフも、キャストも、同じ思いで作品づくりに臨んでいたんですね。
映画の中で、チョルと先輩刑事の間柄を見ていると、
個人的には互いに信頼し合える仲になれるのに、
社会の中での疎外は、強く残ってしまうんでしょう。

北朝鮮のニュースを聞くたびに、
すぐ近くの国で、人間性を傷つける行為が行われていることに、憤りを感じます。
でも、こうして、映画を通してその事実を再認識することしかできません。

『クロッシング』は、強く心を打つ映画です。
ヒョク、ヨンチュン、チョルが、どうやって国境を越えてきたのか?
それを知ると、一層、『男たちの挽歌』に込められた想いが増すかもしれません。
お時間と心の余裕があれば、ご覧になってみてくださいね。

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