早朝10分で朝食を済ませ、カプチーノはシッカリ頼んだもののオジサンの笑顔を堪能する暇もなく、私達はフィレンツェ駅へと向かった。
フィレンツェからフランスのニースへと約8時間の列車の旅である。途中2時間はジェノバで乗り継ぎの列車を待つ。特にジェノバ-ニース間を走るこの列車はリビエラトレインといって眺めの良い海岸線が主だというので期待大である。
しかし、他国の列車は私の想像を遥かに超えていた。広く大きな窓、広くそこそこ清潔なコンパートメントを2人で独占はなかなか快適だったが、窓がすっっごく汚いのである。埃と汚れで灰色にもやのかかった窓からの風景は、あまりパッとしなかった。(これはフィレンツェ-ジェノバ、リビエラ特急とも同じ)
上の写真は途中下車したジェノバで撮ったもの。2時間の間、ちょっとレストランで食事でもなんて思ったが、実際は大量の荷物でプラットホームから身動きがとれず、一人ずつ交代で駅入り口付近や構内を見廻ったぐらいである。
ジェノバといえば「母をたずねて3千里」である。少年マルコがお母さんと住んでいた場所。ここからお母さんはアルゼンチンへと出稼ぎに行ってしまうのである。あ、あとコロンブスの故郷だっけ。
思い込みなのか、赤ら顔で太った人が目について、フィレンツェ、ローマとは違った趣があったような気がする。
・・ ジェノバの駅前
ジェノバから再び乗って1時間と経たないうちに、突然とある駅で列車がプッツリと止まってしまった。駅員?が来て降りろと言う。私はちょうど綺麗な窓を求めて列車内をマルコのように旅していたので、慌ててコンパートメントに戻ると友達が2人分の荷物を抱えて通路に飛び出してきた。
二人で駅のベンチに座りうなだれる。ジェノバからニースまでは乗りかえなしで着くはずだったのに。列車を間違えたのかな。実はもう一つ現地でしかわからない細かい乗りかえがあったりして、本当は降りるべきところで降りないでそのまま来ちゃったとか。。
現地の言葉を全く知らないのに(おまけに英語も)、計画さえシッカリたてれば大丈夫だとたかを括っていた自分がバカだった。思えば、点と点をつなぐ線のように脆く危ない旅行だったのではないかとくちびるをかみ締め後悔した。そうして隣にいる友達にただただすまなく思った。彼女は私を信用してここまで来たのに。最初ツアーで行くはずだったのに、きちんと計画して予約するから大丈夫よと受け合って個人旅行に引き込んでしまったのだ!
駅で何やらアナウンスが流れる。ふと見るといつの間にかバックパッカーの日本人らしき若い女性がそばに来ていたので、この状況について聞いてみる。するとなんと、フランスでストがあって列車が止まっているのだと説明してくれた。駅からは替わりにバスが出て乗客を運んでくれるそうだ。
しばらく待っていると、豪華な観光バスが現れた。安堵感に身を包まれバスに乗り込んだ。