『早くフランネルが着たい。』
と、夏の終わりに仰っていた白井さんが遂にフランネルに袖を通されました。この日選ばれたのは初秋に相応しく、そして鮮やかなブルーが印象的な軽めの素材。白井さんはこのスーツをもう20年近く愛用されているとのことですが、それが俄かには信じられないほどに大変“綺麗な”スーツです。
前回のブラックウォッチのパンツが屋内撮影(私の撮影技術にも問題がありますが)のため殆ど“ブラックのパンツ”にしか見えなかったという反省を踏まえ、今回は屋外撮影にこだわりました!でも、これからは寒くなってくるのでちょっと心配です(汗)。
ストライプのスーツにストライプのシャツとフーラール(シルクプリント)のタイ、大胆なパターン・オン・パターン、そして足元は柔らかいスウェードのセミブローグ。今日の白井さんの着こなしに爽やかな秋晴れの空と大地の実りの喜びを連想するのは私だけでしょうか。
久しぶりに余談を(笑)。
先日、NHKのBSで『アル・パチーノ自らを語る』というNYアクターズ・スタジオの名物番組を観ました。アル・パチーノ氏が如何に偉大な俳優であることはここで殊更説明する必要は無いでしょう。でも、私が氏を気にし始めたのはつい最近のこと。白井さんが『アル・パチーノってカッコいいよな。』と仰ったのを聞いてからでした。
名司会者のジェームズ・リプトンが進行するインタビュー番組は、台詞以外の言葉を話すアル・パチーノが観れるだけでもかなり刺激的。番組の最後には、撮影スタジオ内で観客となっているアルアクターズ・スタジオの学生達が様々な質問をしてゲストがそれに答える、という名物コーナーがありますが、そこでのアル・パチーノの言葉が大変印象に残りました。
『よく私と共演する俳優は“緊張する”と聞くが、それは私も同じ。私だって君達と同じ挑戦者なんだ。“挑戦する”その気持ちが無くなったらこの仕事をする意味は無い。─中略─ 今はどんどんチャレンジしてたくさん失敗することが大切。そこから学ぶことは実に多い。』
みたいな大意でした。やはりあのアル・パチーノがあの大きな瞳をカッと見開いて真剣に語ると、テレビを通して聞いても俄然説得力があります。まあ、20代の学生さんに向けての言葉ですから、不惑真近の私が鵜呑みにしてはいけませんが、私ももうしばらくは、着こなしも含め、どんどん挑戦して、でもできれば失敗は少なめにして、そこから何かを学んでいきたいと思います。