今回、制定される条例の素案です。
市のHPではpdfでリンクされているため、見れない方、読んでいない方もいるかと思います。
リリース禁止が全面に出ていますが、パブリックコメントは条例素案に対する意見を求めるものです。
まだ出されていない方は、一度目を通されてみてください。
また、近隣の川や池をメインとしているが「今回は江津湖だから関係ない」と思われている方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれません。
しかしながら、この条例には市長が必要と判断した場合には近隣の接続水域を管理する人(自治体や権利者など)へ個体数の低減及び生息域拡大の防止(要は駆除ですよね)を要請できる、とあります(第7条)
接続している加勢川(緑川も水門で繋がっている?)や、環境部会ではため池の所有者などの表記もあったので、例えばその接続水域付近のため池などはオーバーフローや堰堤の欠損などによる水域への流入などを理由にされる事があるかもしれません。
国へ対策を要請する場合がある事も書かれています(第6条)
つまり飛び火する可能性を示唆しているとも言えます。
次に、「事業者」という言葉が出てきますが、その定義は「江津湖地域において利害関係を有する法人その他の団体及び事業を行う個人」とあります。
利害関係を有する法人、これは釣り具店が当てはまるのではないかと思いますが(確認はできていません)リリース禁止により被害を被る形となる釣具店にこの条例に協力しなさい、というものです。
そして第1条「特定外来生物等による生態系等に係る被害を防止するため」「自然豊かで貴重な在来種が生息する江津湖地域を将来の市民へと継承すること」が目的であると書かれています。
そのためにする事が外来魚の駆除です。
しかしながら、これを完全に否定することはできません。
肉食魚である以上、他の魚(だけでなくザリガニなども食べますが)を捕食しています。
その影響による固有種などの個体の減少も否定はできない。
ですが、肯定することもできないのです。
バサーという個人ではそもそもが趣味なのですから個体数の調査や在来種の捕獲状況などを調査する事は難しい。
そもそも江津湖ではそう簡単にはバスを釣る事ができませんw
10回行って1匹釣れるか釣れないか、というのが私の釣果の実績ですw
こんな下手くそな個人で調査など出来るはずもありませんが(観察くらいなら出来ますが)実際に市も調査によるデータの集積はできていません。
やっていなかった、というところが実情でしょう。
本来、現地調査によるデータに基づいて判断し、そしてそのデータを開示して市民の理解を得るのが自治体の役目だと思うのですが、この件に関しては、バス釣りを知らない人達がきちんと集積されないデータをみて「おお、そりゃいかんね」と決めたものだと言えます。
(詳しくは前記事(2)の環境審議会の議事録を確認してください)
ならば外来種を駆逐してしまえば、在来種は蘇るのか?
これも疑問符を持たざるを得ません。
よく歳を取られた方が言うセリフがありますよね「昔は~だった」
そうです、今と昔は違うのです。
昔の川は綺麗で魚がいっぱいいた。
昔の山は木々が生い茂ってカブトやクワガタが沢山いた。
昔はそこいらの田んぼでもホタルが沢山飛んでいた。
これは自分が子供の頃と今を比較しても同じ事が言えます。
事実、同じようなセリフを言うことも確かにあります。
昔、川だったところはせき止められてダム湖となり。
昔、山だったところは削られて住宅地となり。
昔、田んぼだったところは埋め立てられて道路や商業地となり。
そして、そこにあった変わる前の風景をいつしか忘れていく。
「自然豊かで貴重な在来種が生息する江津湖」を継承するために本当に必要なのは、在来種を育くむ環境なのではないでしょうか?
半分以下に減ってしまった湧水、護岸により姿を消した水草の浅瀬や淀み。
元の環境とは違うところに、いくら放流したとしても生きていけるでしょうか。
かえって、その環境に対応できなくなった魚をその環境下に放す事の方が酷な事ではないかと思えます。
そもそも、その放流する魚はどこから来たのでしょうか?
そこに居たDNAを持つ魚でなければ、それは在来種ではなく移入種となり、結局は外来種と同じ事です。
また、その稚魚の中に他の魚が紛れている可能性もあります。
最近でも「密放流によって増殖している」と書かれている事もあります。
法律化されたこともあり、そんな事はやってないと思いますが(24時間監視してる訳じゃないので絶対とは言いません)そもそも沢山釣れれば良い訳でもありません。
毎回毎回山のように釣れてたら、飽きてもうとっくに止めてたかもしれません。
釣れないからこそ考える。
一体どうやったら釣れるのか。
そうやって9回の釣行で考えて考えて、そして準備したリグやタックルで次は釣れるかもしれない、と期待を胸にまた水辺へと向かうのです。
わたしが釣りを始めた15年前は始めたばかりの下手くそな自分でも江津湖で釣ることができました。
それから15年、技術も経験も積み重ねた(はず)と思いますが、ほぼ確実に釣れません。
増殖期、そして安定期を過ぎて減少期に入っているのかもしれません。
それでもやはりバス釣りがしたい。
リリース禁止にすれば外来魚を駆除できるか。
それは無理だと思う。
行政は釣り人による駆除を見込んでいるようだが、リリースできない場所へはほとんどの人が行かないでしょう。
であれば、それはある意味でバスを保護することとなる。
望むべくは条例をすぐに制定するのではなく、調査でデータを積み重ねて、その結果からお互いが共生できる良い案が生まれてくれないか、と思います。
============以下 条例(素案)本文============
江津湖地域における特定外来生物等による生態系等に係る被害の防止に関する条例(素案)
(目的)
第1条 この条例は、熊本市環境基本条例(昭和63年条例第35号)の趣旨にのっとり、江津湖地域における特定外来生物等による生態系等に係る被害を防止するために必要な事項を定めることにより、市、市民及び事業者等が一体となって江津湖地域における多様な生物、生態系等を保全し、もって都心部に残された市民の憩いの場であり、自然豊かで貴重な在来種が生息する江津湖地域を将来の市民へと継承することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 水前寺江津湖公園 都市公園法(昭和31年法律第79号)第2条第1項に規定する都市公園として熊本市が設置する水前寺江津湖公園(熊本市動植物園の区域その他の規則で定める区域を除く。)をいう。
(2) 江津湖地域 次に掲げる地域をいう。
ア 水前寺江津湖公園の区域
イ 水前寺江津湖公園の区域の周辺の水域で、規則で定める区域
(3) 外来生物 特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(平成16年法律第78号。以下「外来生物法」という。)第2条第1項に規定する外来生物をいう。
(4) 特定外来生物等 次に掲げるものをいう。
ア 外来生物法第2条第1項に規定する特定外来生物
イ アに掲げるもののほか、江津湖地域の在来種を圧迫し、その生態系に影響を与えるおそれがあると認められる外来生物で、規則で定めるもの
(5) 指定外来魚 特定外来生物等のうち、オオクチバス、ブルーギルその他の規則で定める魚類をいう。
(6) 事業者等 次に掲げる者をいう。
ア 江津湖地域において活動を行う法人その他の団体及び事業を行う個人
イ 江津湖地域に利害関係を有する法人その他の団体及び事業を行う個人
(市の責務)
第3条 市は、江津湖地域における特定外来生物等による生態系等に係る被害を防止し、良好な環境を確保するため、必要な施策を実施するものとする。
2 市は、特定外来生物等に関する市民意識の啓発に努めるものとする。
(市民及び事業者等の責務)
第4条 市民及び事業者等は、自らが江津湖地域における特定外来生物等による生態系等に係る被害を発生させることのないよう行動するとともに、前条第1項の市が実施する施策等に協力するよう努めるものとする。
(情報共有等)
第5条 市は、市民及び事業者等が一体となって江津湖地域における特定外来生物等による生態系等に係る被害を防止することができるよう、市民及び事業者等に対し、江津湖地域における特定外来生物等に関する情報を積極的に提供するものとする。
2 市民及び事業者等は、江津湖地域において特定外来生物等を発見した場合は、市に情報を提供するよう努めるものとする。
3 市長は、前項の規定による情報提供があったときは、その実態を調査し、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(国等に対する要請)
第6条 市長は、江津湖地域における特定外来生物等による生態系等に係る被害を防止するため必要があると認めるときは、国又は他の地方公共団体に対し必要な措置を講ずるよう要請するものとする。
(接続する水域の管理者等に対する要請)
第7条 市長は、江津湖地域に接続する水域の管理者、占有者その他当該水域について権原を有する者に対し、指定外来魚の増殖の抑制のため、生息する個体数の低減及び生息域の拡大の防止等必要な措置をとることを要請することができる。
(熊本市都市公園条例の特例等)
第8条 水前寺江津湖公園のうち規則で定める区域において、指定外来魚の捕獲のために釣り(規則で定める方法によるものに限る。)を行う者については、熊本市都市公園条例(昭和52年条例第32号)第4条第4号の規定中魚類に関する部分は適用しない。
2 前項の規定の適用を受ける者は、同項の規定に基づき魚類の捕獲等を行う場合は、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 指定外来魚以外の魚類を誤って捕獲した場合は、個体の生存に努め、速やかに放流すること。
(2) 指定外来魚を捕獲したときは、当該指定外来魚を市が指定する回収箱等に投入する方法その他の規則で定める方法によってこれを取り扱うこと。
(3) 他の公園利用者等に危険を及ぼすおそれのある行為を行わないことその他の規則で定める事項を遵守すること。
(指定外来魚の放流等の禁止)
第9条 何人も、江津湖地域において、指定外来魚を放流してはならない。
2 何人も、江津湖地域において一旦捕獲した指定外来魚を、いかなる場所においても再放流してはならない。
(助言又は指導)
第10条 市長は、第8条第2項及び前条の規定に反する行為をし、又はしようとしている者(以下「行為者」という。)に対し、助言又は指導を行うことができる。
(勧告)
第11条 市長は、前条の規定による助言又は指導を行ったにもかかわらず、当該行為者が正当な理由なくこれに応じないときは、当該行為者に対し、助言又は指導に係る行為を行わないよう勧告を行うことができる。
(公表)
第12条 市長は、前条の規定による勧告を行ったにもかかわらず、行為者が正当な理由なく当該勧告に応じないときは、その事実及び次に掲げる事項を公表することができる。
(1) 勧告に応じない者の住所及び氏名(法人にあっては、主たる事務所の所在地、名称及び代表者の氏名)
(2) 勧告の内容
(3) 前2号に掲げるもののほか、市長が必要と認める事項
2 市長は、前項の規定による公表をしようとするときは、当該公表に係る者に対し、意見を述べ、及び証拠を提出する機会を与えなければならない。
(熊本市環境審議会の意見の聴取)
第13条 市長は、第2条第2号イ、第4号イ又は第5号の規則の制定又は改廃の立案をしようとする場合には、熊本市環境審議会の意見を聴かなければならない。
(委任)
第14条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附 則
この条例は、平成27年4月1日から施行する。
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(4)今回の条例に対する意見
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(意見は公開される予定ですが、氏名等の個人情報は公開されません)
(タイトルもしくは本文の頭に「リリース禁止条例に対するパブリックコメント」とすると間違いないかと思います)
詳しい内容は下記、熊本市のホームページをご確認ください。
江津湖地域における特定外来生物等による生態系等に係る被害等の防止に関する条例(素案)に関するパブリックコメントの実施について