WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

ウインターカップ2010雑感(女子)

2010年12月29日 | 籠球

 札幌山の手が優勝した。予想通りだ。全試合を大差で勝ち抜いた貫禄の勝利である。インサイドとアウトサイドのバランスがとれ、ディフェンスもよく、しかも走れる素晴らしいチームだった。試合前のアップでやっていた、厳しいチェックの中で3ポイントシュートを打つ練習が、そのまま試合で再現されていた。決勝では注目のインサイドプレーヤー⑮長岡が歴代2位となる一試合50得点をたたき出したが、それは強力なアウトサイド陣がディフェンスを外に広げた結果でもある。インサイドを固めて⑮長岡を封じようとすれば、シューターが外から射抜くということになっただろう。

 準優勝の中村学園もなかなかいいチームだった。インターハイ準優勝チームながら、私ははっきりいって決勝まで上がって来るとは思わなかったのだが、やはりその実力は本物だったということなのだろう。一年生ガードの⑯安間を中心に攻撃・守備ともよく鍛えられたチームだった。ただ、中学時代のスタープレーヤーたちが集まったチームながら、インサイド・アウトサイド陣とも札幌山の手と比べるとやや見劣りしたのも事実である。⑯安間のプレーには目を見張るものがあったが、決勝では「粗さ」のようなものが露呈してしまった。札幌山の手のディフェンスを賞賛すべきであろう。

 3位となった東京成徳も意外だった。昨年までのような絶対的な存在感のあるセンターは不在で、やや小粒な印象を受けたのだが、190cmの中国人センターを擁する第4シード明成を大差で撃破し、劣勢かと予想された王者・桜花学園をも下したチーム力は、やはり本物というべきだろう。エースの⑦石原の活躍はもちろん見事だったが、私には⑥森のひたむきなプレーが印象に残った。

 4位の大阪薫英も見事だった。正直言って、伝統のある強豪校ながらあまり注目していなかったのだが、タイトで抜け目のない、粘り強いディフェンスを身上とするこのチームは、試合を見るごとに応援したい気持ちが増幅していった。私好みのチームだ。やはり、準決勝の中村学園戦でエースの④坂井が負傷してしまった事がなんといっても残念だ。実際、中村学園戦も④坂井がケガで退くまでは一進一退だったのであり、中村学園を破るチャンスは十二分にあったというべきだろう。3位決定戦でも、エースを欠きながら全員が一丸となってよく戦った。ベンチスタートだった⑥吉川の攻守にわたるがんばりは特筆すべきだろう。一年生センターの⑭畠中も将来楽しみな選手である。

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     →ウインターカップ2010前半戦雑感(男子)

     →ウインターカップ2010雑感(男子)