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SX2462W購入レビュー(1) 本体編

2009-08-13 19:38:02 | パソコン
(Windows7導入とEasyPIXアップデートに伴い見直したものを掲載しました)


 EIZO の FlexScan SX2462W を購入した。

 正直、こんな高い買い物をするつもりはなく、当初は21インチで実売2万円くらいのフルHDディスプレイを購入するつもりだった。ところが家族からDTP的な用途のために「AdobeRGB の色域に対応したものにして欲しい」との要求が出てきて、どんどん話が大きくなってきた。アプリケーションソフトは Photoshop を使っている。

 わたしはキヤノンの一眼レフデジカメを持っているが、基本は RAW で撮影して DPP で sRGB の JPEG に現像、もしくは sRGB JPEG で撮影。それでほとんどおしまいで、Photoshop を使用して調整することは、ごくたまに印刷するときか、ブログ用に加工するときくらいだ。ましてや AdobeRGB の色域などはほとんど宝の持ち腐れで、その広色域が大きな意味を持つような被写体(エメラルドグリーンの海などでしょうか)は撮ったことがないように思う。
 それどころか、使用している Windows Xp やアプリケーションソフトのカラーマネージメントが不十分であるため、広色域を持つディスプレイを使うと彩度が異常に高く見えてしまう問題があるとのことだ。これは、アプリケーションや OS がカラーマネージメントをせずに sRGB だと思ってディスプレイにデータを出力するが、ディスプレイは AdobeRGB に相当する色域を持ち、不一致となるために起きる現象のようだ。
 Windows Xp でもディスプレイのカラープロファイルを指定することはできるが、これを活かせるのは Photoshop など一部のアプリケーションに限られるらしい。

 さて困った。わたしは sRGB で普通に使えればよいのに、それができないようでは問題だ。

 多くの AdobeRGB 対応ディスプレイが、「sRGB」という名称のモードを持っているらしい。これを使えば万事解決、DTP に使いたいときには AdobeRGB で使って、わたしは sRGB のモードで使えばよい・・・ とも思ったのだが、調べてみるとそううまくはいかないことが分かった。
 何でも、sRGB に色域を制限できるディスプレイだけでなく、色温度などを調整して sRGB としているディスプレイもあり、両者ともに「sRGB」というモードを名乗っているらしい。

 ということで、各社の AdobeRGB 対応ディスプレイの状況を調べてみることにした。約10万円以下で、フルHD以上の解像度を持つものを挙げてみた。
 なお価格については1ヶ月程度前に調べたものと新しいものが混在しているので、参考程度に見ていただければと思う。

<ナナオ>
 FlexScan SX2462W - 今回購入した機種。IPS パネル。AdobeRGB 98%カバー。sRGB対応。10.5万。
 FlexScan SX2461W - VAパネル。AdobeRGB 96% カバー。sRGB 対応。10万。
 FlexScan S2432W - VAパネル。AdobeRGB 96% カバー。sRGB 非対応。9.5万。
 FlexScan S2242W - VAパネル。AdobeRGB 95% カバー。sRGB 非対応。6.5万。


<三菱>
 Diamondcrysta WIDE RDT241W - TNパネル。NTSC比92%。6万くらい?
 Diamondcrysta Color RDT262WH - IPSパネル。AdobeRGB比107%(97%カバー)。sRGB対応。16万。

<NEC>
 MultiSync LCD2690WUXi2 - IPSパネル。AdobeRGB比107% NTSC比102%。sRGB対応。15万。

<DELL>
 2408WFP - VAパネル。102%(CIE 1931)。sRGB対応。7.5万。
 U2410 - IPSパネル。AdobeRGB比96%、sRGB比100%でsRGB対応。7.5万。

<HP>
 LP2475w - IPSパネル。NTSC比102%。sRGB非対応。8万。


 Webのクチコミなどを見てみたが、三菱のRDT262WHやNECのLCD2690WUXi2ならば、間違いはなさそうだ。パネルはIPS。ただしこれらは26インチと大型すぎる(元々の想定が21インチだったので・・・)ことが問題で、かつ価格も機能相応に高い。

 次に検討対象になったのは、DELLの2408WFPだ。24インチと想定よりは大きいが、まぁ何とかなるだろう。VAパネルというのがちょっと引っかかった。コストパフォーマンスは三菱やNECと比較すれば高そうだ。

 その対抗となったのが、HPのLP2475w。価格は 2408WFP 並で IPS パネル。これで決まり、と思ったのだが、よくよく調べてみると sRGB に非対応ということが分かり、対象から外れた。

 HPやDELLよりは高いが三菱やNECよりも安いディスプレイとして、SX2461W があった。VA パネルというのが引っかかったが、まぁナナオだし、悪いものではないだろう、との期待があった。
 同じナナオでも、S2432W になると sRGB 非対応になり、検討対象から外れた。

 と、そのような検討をしているときに、SX2462W が発表された。IPS パネルを搭載し、価格は10万程度。ただ発表後ガレリアに行ったのだが、残念ながらまだ展示はされていなかった。

 以上の検討結果から、候補は DELL 2408WFP と SX2462W となった。
 ディスプレイと言えばナナオ、のようなイメージがあることと、IPS パネルを搭載していることから、実物は見ていないものの、SX2462W を予約購入することに決めた。

 しかし。SX2462W の発売よりも前に、DELL から U2410 というディスプレイが発売された。IPS パネルを搭載しつつも、価格は 7.5 万円。正直、U2410 の発表が SX2462W のものと同時期であったなら、非常に迷ったものと思う。
 また最近、ナナオから S2433 が発表された。これの sRGB 対応がよく分からない。これまでのラインナップかから考えれば非対応なのだが、スペックに「sRGBの色域を正確に再現するものではありません。」の注釈が無い。

 さてこの SX2462W、カラーマッチングツールの EIZO EasyPIX がセットのモデルもある。せっかくなので、そのセットモデルを購入することにした。
 高くはついたが、素人でも EasyPIX でカラーマッチングをしておけば、意識せずともその性能の恩恵に預かれると期待している。


 このような経緯で SX2462W を購入することになったのだが、改めてその仕様を記載しておきたい。


(部屋が暗いので、はめこみ合成です)

 24.1型ワイド、1920x1200(WUXGA)のディスプレイだ。Adobe RGBのカバー率は98%、NTSC比102%と十分に広い色域を持つ。sRGB のカラーモードも持つ。わたしにとってはこれが重要だった。

 入力は DVI-I が2系統、DisplayPort が1系統。DVI~-DVI のケーブルと DVI~D-Subのケーブルが1本ずつ付属する。D-Sub 端子は無いが DVI~D-Sub のケーブルが添付されるので問題無い。DisplayPort 用ケーブルは付属しない。わたしは別途 DisplayPort 用ケーブルを購入した。ただわたしの現状の使い方では DisplayPort の広帯域は活かせないので、恐らく DVI でも DisplayPort でもディスプレイの表示は同じなのだろう。一応スペックとしては最大表示色が異なり、DisplayPortでは10億7374万色、DVIでは約1677万色ということになっている。
 この他、USB up側を1つ、down側を2つ持ち、USBハブとして機能する。

 IPSパネルを用いている。視野角は上下・左右ともに178度と十分だ。

 チルト(上下可動)は上40度、スウィーベル(左右可動)は左右ともに35度。昇降は82mmだが、一番下まで下げてもディスプレイの下部と接地面との間は10cm以上空いてしまう。個人的には、もう少し下がって欲しかった。今まで使っていたCRTは接地面ぎりぎりにあったので、どうもこれでは高すぎる。
 スタンドを含むサイズは、昇降を下げた状態で566×456×230mm(幅×高さ×奥行)。モニター部のみで566×367×85mm。重さはスタンドを含んで10.7kg。今までが17インチCRTだったので、幅はかなり大きくなったが、重さはかなり軽くなった。

 ACケーブルとUSBを含む入力系はディスプレイ下部に配置されていて、端子は下向きに出ている。ACケーブルは向かってスタンドの右側、残りは左側に配置されている。USBのdown側はディスプレイ左側に配置されている。ここから常時ケーブルが出ているのは見た目がちょっと悪いので、EasyPix でのキャリブレーション時など一時的な使用がよさそうだ。


(裏面。ケーブルは手前から、USB, DVI, DisplayPort。DVI と DisplayPort の間には、もう1つ DVI のコネクタがある。側面上部にUSBポート2基が用意されている。メインで使用しているのは DisplayPort で、DVI はノート PC 用に DVI~D-Sub ケーブルを接続している)

 Auto EcoView という、周囲の明るさに応じて輝度を変える機構を搭載していて、前面下部にセンサーがついている。

 その他仕様を拾うと、最大輝度は270cd/m2、コントラスト比は850:1、黒>白>黒の応答速度は13ms、中間階調域の応答速度は5msとのこと。また縦表示にも対応するが、わたしの環境では縦にするとパソコン机に入らないので、今のところは横方向のみで使用している。ディスプレイドライバ側も回転に対応していたのに、残念だ。

 なお、結局パソコンをこれに併せて新調し、OS は Windows Vista、グラフィックボードは Radeon HD 3650 となった。PC 側の I/F は、DVI-I と DisplayPort だ。今までは D-Sub だったのでどちらも使ったことはなかったのだが、物珍しさから DisplayPort で接続している。

 ディスプレイの設定は、入力の切り替え、輝度調整、FineContrast設定については独立したボタンがある。その他はメニューボタンからOSDを用いて設定可能だ。
 FineContrastはUser1,2,3、Text、Picture、Movie、sRGB がある。User1-3では、輝度、コントラスト、色温度、ガンマ、色合い、色の濃さ、コントラスト拡張、輪郭補正、ゲイン、6色調整といった項目が調整できる。できるが、わたしはこれをマニュアルで設定する自信は無い。幸いなことに EasyPix で必要な項目は自動設定されるので、わたしはこれを使っている。
 個人的にはだが、Text、Picture、Movieを使うことはなさそうだ。それぞれにクセがあり、わたしには合わないようだ。
 輝度は落とせるが、0にしても明るすぎるかな、と思う。最低輝度は不明。部屋の蛍光灯をもう少し明るくできればよいのだが・・・


(EasyPIXでキャリブレーション後のUser3)

 SX2462W はアスペクト比固定モードを持っている。1920x1200未満の解像度表示を、フルスクリーン (全画面表示)、拡大 (アスペクト比固定)、ノーマル (ドットバイドット1:1)の3つのモードから選択可能だ。
 例えば1280x1024の解像度表示をさせると、それぞれのモードは正しく動作した。しかし1280x720とすると、3つのモード全てで正しいアスペクト比で表示できなかった。OSDから入力信号情報を表示させると、1280x960として認識しているようだ。なお1920x1080を表示させると、上下が黒帯になった状態で正しいアスペクト比で表示された。入力信号は1920x1200として認識していた。これは、ディスプレイカードの機能によるのかもしれない。

 さて、肝心なのは画質なのだろう。しかし、正直なところわたしは液晶ディスプレイの画質を評価できるレベルに無いので、これについては申し訳ないが詳しく書くことはできない。わたしにとっては十分な画質ではある。しばらく使っていて、特に目が疲れるということはない。ただ先にも書いたように、もう少し輝度が落とせればと思う。また、今のところ幸いなことにドット欠けは無さそうだ。

 ところで、なぜかカラープロファイルが見つからない。ナナオの製品ページによると「ユーティリティディスク(取扱説明書、ScreenManager Pro for LCD(Mac OS非対応)、ICCプロファイルを含む)」とあるのだが、見あたらない。同社のサイトでは SX2461W のカラープロファイルはあるが、SX2462W のものは無い。
 別の記事に記載するが、Userについては EasyPIX を使うことでカラープロファイルが作成される。ただ sRGB については EasyPIX が対応せず作成できないので、とりあえず OS に入っていた? sRGB のプロファイルを使用している。
 EasyPix を使わない人はどうすればよいだろうか?

--- 09.8.17 追記 ---

 ナナオに問い合わせたところ、カラープロファイル(6500Kと500K?)は9月の公開を予定しているそうだ。sRGBのプロファイルは無い。

 これを受けて今の運用方法は、
・DPPとフォトショップを使う場合 - EasyPIX でマッチングを取った色温度6500Kのモードを使用。ただし作業空間は場合によりsRGBとAdobeRGBを使い分ける。
・それ以外の用途(Web閲覧など) - sRGB
としている。

--- ここまで ---

 8/7に入手し今日まで使っているが、今までの問題は、設置位置が高くなってしまったことと、カラープロファイルが見つからないことで、それ以外は問題なく使っている。
 今までの17インチCRTは1280x1024だったが、1920x1200はさすがに広い。この使い勝手については申し分ない。
 EasyPix については、別の記事に記載したい。

EIZOダイレクト

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2 コメント

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Unknown (momo)
2009-08-15 18:49:30
HPのLP2475w。
マニュアルにはsRGB対応って書いてありますけど・・・
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Unknown (ひらけい)
2009-08-15 20:16:09
momo様:
 コメントありがとうございます。
 LP2475wについてですが、
http://www.tftcentral.co.uk/reviews/hp_lp2475w.htm
の「sRGB Simulation Mode」部分を見まして、sRGBにしても色域は変わらないと考えました。
 当方の認識に誤りがあれば記事を修正いたしますので、再度ご指摘いただければと思います。
 よろしくお願いいたします。

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