高校入試に受験している一人の中学生がいました。
今、筆記試験が終わり、面接試験が控えています。
目上の人と話す経験が殆どなかった彼には筆記試験よりも遥かに難問です。
「まず志望動機は自宅から近くて、校舎が美しく、図書館が他校より充実していて・・・」
「えっと趣味を聞かれたら、読書って答えて、どんな作家が好きかって聞かれたら芥川龍之介って答えて、その作品を聞かれたらあれで、どんな所が好きかって聞かれたら・・・」
面接のマニュアル本をにらめっこし、頭の中で暗記した答えを導き出します。
「面接の練習をしたけど、先生から『すぐ、上を向いて思い出すそぶりをするなぁ~。予め用意した答えを言っているだけにしか見えないぞ』って言われたんだよな~。でも、そんな聞かれてすぐに出来た答えなんて思いつくわけないじゃないか。勉強だって始めから出来た答えを導き出すだけじゃないか」
今になって面接試験について不満が溢れてきました。
「何かトイレに行ってきたくなってきた!」
待ち時間で既に3回もトイレに行っていました。
彼と似たように緊張してガチガチの受験生がトイレに来ていました。
「やっぱりあんまりでないのになんでこんなにトイレに行きたくなるんだろう・・・」
用を足して手を洗い教室に戻る所でした。
ヒュウ・・・
ブツブツ
ドン。
ファイルを見ながらブツブツ言っている別の受験生にぶつかってしまいました。
バサッ
「あ・・・」
ファイルが手から離れ床から落ちると紙が広がってしまいました。
「ご、ごめん」
紙を手に取ると事細かに想定される質問の内容と答えがビッシリと書かれていました。その中に好きな本の作品の中に「羅生門」とあった。
「同じだ・・・」
思わず口から漏れました。
「君もこれから面接?」
初対面の彼に声をかけました。
「うん。君も?」
「うん。僕も羅生門好きだって言おうと思っていたんだよ」
「え?」
「これ、見て」
自分で書いた面接マニュアルのノートを見せました。相手が頷いています。
「へぇ~。合格したら部活を頑張るつもりなんだ」
「うん。おっと、ファイル。ファイルを片付けないと」
他の人も歩いているので落ちたファイルを全部まとめます。
「それじゃ、お互い面接頑張ろうね」
「うん」
それから教室に戻って椅子に座って再びノートを開きました。
「僕もあの人も受かっていればいいな~」
ちょっと余裕が出来て自分の順番になるまで待つのでした。
今、筆記試験が終わり、面接試験が控えています。
目上の人と話す経験が殆どなかった彼には筆記試験よりも遥かに難問です。
「まず志望動機は自宅から近くて、校舎が美しく、図書館が他校より充実していて・・・」
「えっと趣味を聞かれたら、読書って答えて、どんな作家が好きかって聞かれたら芥川龍之介って答えて、その作品を聞かれたらあれで、どんな所が好きかって聞かれたら・・・」
面接のマニュアル本をにらめっこし、頭の中で暗記した答えを導き出します。
「面接の練習をしたけど、先生から『すぐ、上を向いて思い出すそぶりをするなぁ~。予め用意した答えを言っているだけにしか見えないぞ』って言われたんだよな~。でも、そんな聞かれてすぐに出来た答えなんて思いつくわけないじゃないか。勉強だって始めから出来た答えを導き出すだけじゃないか」
今になって面接試験について不満が溢れてきました。
「何かトイレに行ってきたくなってきた!」
待ち時間で既に3回もトイレに行っていました。
彼と似たように緊張してガチガチの受験生がトイレに来ていました。
「やっぱりあんまりでないのになんでこんなにトイレに行きたくなるんだろう・・・」
用を足して手を洗い教室に戻る所でした。
ヒュウ・・・
ブツブツ
ドン。
ファイルを見ながらブツブツ言っている別の受験生にぶつかってしまいました。
バサッ
「あ・・・」
ファイルが手から離れ床から落ちると紙が広がってしまいました。
「ご、ごめん」
紙を手に取ると事細かに想定される質問の内容と答えがビッシリと書かれていました。その中に好きな本の作品の中に「羅生門」とあった。
「同じだ・・・」
思わず口から漏れました。
「君もこれから面接?」
初対面の彼に声をかけました。
「うん。君も?」
「うん。僕も羅生門好きだって言おうと思っていたんだよ」
「え?」
「これ、見て」
自分で書いた面接マニュアルのノートを見せました。相手が頷いています。
「へぇ~。合格したら部活を頑張るつもりなんだ」
「うん。おっと、ファイル。ファイルを片付けないと」
他の人も歩いているので落ちたファイルを全部まとめます。
「それじゃ、お互い面接頑張ろうね」
「うん」
それから教室に戻って椅子に座って再びノートを開きました。
「僕もあの人も受かっていればいいな~」
ちょっと余裕が出来て自分の順番になるまで待つのでした。
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