髭を剃るとT字カミソリに詰まる 「髭人ブログ」

「口の周りに毛が生える」という呪いを受けたオッサンがファミコンレビューやら小説やら好きな事をほざくしょ―――もないブログ

天使の吐息 #49

2010-03-01 19:21:24 | 天使の吐息(詩)
一人の女子高生が家で暇をもてあましていました。

普段なら、毎日のように友達と遅くまで遊んで帰るのですが今日は何故かみんな様々な理由があって忙しくしかも、前日にお財布に使った分のお金を入れるのを忘れてしまったので家に帰るしかなかったのです。

「メール出してもみんな忙しいみたいで返事来ないし、夕方のテレビなんて面白いのやってないし」

ヒュウ

そんな時、カレンダーをみて思い出しました。

「もう3月・・・雛祭りがあるな」

押入れ奥深くに眠っている雛人形。

幼い頃におじいちゃんに無理を言って頼み込んで買ってもらった大きな雛人形。15人のものである。

買ってもらった数年は、友達を招待して雛パーティを開いた。

その時の友人の羨望の眼差しに優越感を覚えた物であった。

だが、みんな塾などで忙しくなり雛パーティなど開く機会がなくなり、かなり大きいが故に準備するのが大変で、昔はおじいちゃんおばあちゃんが手伝ってくれいたのだが、おじいちゃんは既に他界しており、おばあちゃんも足を悪くしてから家に訪れることも困難になってしまった。
父親は普段、夜遅く、母親もパート通いの為、夕方夕食をサッと作るぐらいしか出来ない。

だから、今はせいぜい、お雛様と内裏様ぐらいしか出していませんでした。

「全部出してみようかな?」

昔は手伝っていたので配置ぐらいはうっすら覚えていました。

「三人官女はここで、五人囃子はここ。雛飾りはそことあそこで雪洞(ぼんぼり)は・・・」

何年も押入れで眠り続けていた人形は埃だらけでなんだか寂しそうに見えてきました。

「ごめんね~」

パッパと埃を払い、配置します。そうしていると昔のことが蘇ってきました。

「昔は良かったな~。おじいちゃんもおばあちゃんも元気で、近所の友達が来てくれて・・・」

「でも、出したって事は片付けなきゃいけないんだよね。めんどくさ・・・」

ちょっと憂鬱になりながらもなんだか満足げでした。

「あ!雛人形どうしたの?」

丁度母親が帰ってきてかなり驚いていました。

「私が飾ったの~」

今日は昔の事で話題が弾みそうです。


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