髭を剃るとT字カミソリに詰まる 「髭人ブログ」

「口の周りに毛が生える」という呪いを受けたオッサンがファミコンレビューやら小説やら好きな事をほざくしょ―――もないブログ

「ミシシッピー殺人事件」 レビュー (ファミコン)

2016-09-16 21:00:09 | ファミコンレビュー
サイドビューアドベンチャーゲーム
元は「コモドール64」「Apple II」用のゲームで、ファミコン移植版
開発はトーセ
発売はジャレコ
1986年10月31日発売


あらすじ
『セントルイス』から『ニューオリンズ』に向かう外輪船
『デルタ・プリンセス号』に乗っていた『チャールズ』卿と助手の『ワトソン』
そこで発生した殺人事件に巻き込まれる事になってしまった。

特徴
アドベンチャーゲームであれば
『移動』のコマンドがあってそれから行き先が出現するものが多いが
本作は『チャールズ』卿を直接操作する事となる。

キャラクターに話しかけると
『メモしますか?』と聞かれる。
Bボタンでメモする。Aボタンを押すとメモしない。
話をメモし、別の相手に聞くことで別の証言を得る事が出来るのである。
ただし、メモの数には上限があり、最初の方にメモったものは勝手に消される。
1人につき3つまで



点数は10点

良い点
・特になし

悪い点
・歩行速度遅し
・即死トラップ
・「もう言いました」
・オチ


悪い点の解説
・歩行速度遅し
様々な部屋に歩いて移動する事になるのだがまず遅い。
走れ!!

・即死トラップ
軽くネタバレとなるが…
「チャールズ」卿と「ワトソン」は3号室にいる。
外に出て左隣に1号室があるので取り敢えずそこに入ると
まず、そこにある見えない落とし穴に落ちて死ぬ。

「うぁー・・・

 あっ!!! せんせい!!
 こ このゆかは だれかの わなだったんだ!
 この たかさから おちたのでは せんせいは・・・
 あぁ もし さいしょから やりなおす
 ことができれば
 なんとかなるのに・・・」

は良くネタにされる。

事件も起こっているかさえも分からぬまま何者かに殺されるのである。
「ドッキリか?」って話である。



・「もういいました」
プレイされた方ならばこのゲームの語り草となっていることだが説明せねばなるまい。
このゲーム。人の事を尋ねて、もう一度訪ねると

「もういいました」

と、撥ね付けられる。
話をメモに取ってそれを別の誰かに見せなければならないというのに
ここでメモを取り忘れれば詰みである。
メモには上限があるので迂闊に何でもかんでもメモっていると
必要な台詞を上書きしてしまって話を聞き返せないのでこれもまた詰みである。

個人的に腹が立ったのは
23号室のヘレン。コイツの台詞が…
話の展開としてはこうなる。

ヘレン「捜査に協力します」
チャールズ「すみません。
 先ほどのウィリアムさんについてもう一度お聞きしたいのですが
ヘレン「もう言いました」
チャールズ「へ?今、協力するって…ですからウィリアムさんについて…」
ヘレン「もう言いました」
チャールズ「(野郎…)」

「もう言いました」と一度言ったことは言わない代わりに
物を見せた時の証言は何度でも言うのである。
どういう事やねん。


・オチ
ネタバレにて…



キャラ同士の人間関係の悪さは一体どうなってんねんと疑問に思うほど。

「アイツはクズだ」
「あの人の事を聞くなんて侮辱だ」
「下品な女か。服の着方で分かる」

など、ちなみにこれらはメモに取って本人に見せる事が出来る。
だが、それを見せても操作に無関係な事だと

「これはどういう事ですか?」

という返答しか返ってこない。
真顔で顔面震わせて青筋浮き立たせているぐらいなんだろうなぁ…。
きっと船を下りたら壮絶な殺し合いが始まるのかもしれん。


プレイして早々に自力クリアをあきらめたゲームである。
Twitterでプレイしていることを呟いた時に

「髭人さん!自力クリア頑張ってください」
「こんなのヌルゲーじゃないですか!髭人さん。自力クリア出来ますって!」

などというエールはなかった。
プレイした方も匙を投げるゲームなのだろうという事がすぐにわかった。



ファミコン版では動作が遅く、セーブ機能が搭載されてはないが
コモドール64版で入れなかった部屋にも入る事が出来るがそこには即死トラップがある。
余計な事だわなぁ…
ただそのコモドール64版でもドアを開けるとランダムで物が落ちて来て当たると
即死するトラップがあるのだとか…
(但し、ファミコン版と比べてその場で再開できるのでかなり軽減されることだろう)

ってかこのパッケージなんなん?
「チャールズ」を見ながらニヤニヤしている「ワトソン」
髭人にはどう見ても



ワトソン『ククク…
 このオッサン、後で穴に落ちたり、ナイフが刺さったりするんやで…』


と、ほくそ笑んでいるようにしか見えんのだがな…

PS)「ファミリーコンピュータMagazine」の『ハイスコアルーム』というコーナーで
 このゲームをクリアしたこと自体が掲載のだとか…


ここからがネタバレ






















蒸気落とし穴の他にナイフの罠がある。
突然、音もなくナイフが飛んでくるのだ。
刺さるとワトソンがこういう。

「うぁー・・・

 せんせい!!!
 せんせいだいじょうぶですか
 なんということだ
 せんせいがだれかの しかけに
 ひっかかって しんでしまうとは・・・
 あぁ もしさいしょから やりなおす
 ことができれば」

軸ずらしで避ける他ない。
しゃがめッ!!



話の真相としては

「テーラー」という女が被害者の「ブラウン」に襲われかけて
持っていた拳銃で撃ち殺した。
弾は転がって床の隙間から
下階に落ちて(穴でもあったん?)ピストルはどこかに投げようとしたら
柵に当たって割れた。

「テーラー」の父(ゴールデン)は「ブラウン」に
銀山の採掘権を騙して書かされて自殺にまで追い込まれた。

そういうった復讐もあったって訳なんだけどね。

まぁ、しかし、真相が分かってから登場人物が部屋に来て
好き放題いう訳だ。

ネルソン(デルタ・プリンセス号船長)
 「すみません。チャールズさん。みんな心配になって外で聞いていたのです。
 一言言わせてください。
 彼女は当然の事(ブラウン殺し)をしただけですよ。
 ブラウンはゴールデンを自殺にまで追い込んだ奴ですよ」

ヘレン(富豪の未亡人、評判は悪い)
 「私には彼女の気持ちがわかるわ。あなたこそ真の資産家になるべき」

ウィリアム(ボランティア活動をしている。射撃が好き)
 「孤児や未亡人と同じ。保護を受けていた。可哀想過ぎたよ」

ディジー(売春婦、パールおばさんに会いに行く途中)
 「この恐ろしい事件を一番恐ろしく感じたのは彼女でしョ。
 それをあんなふうに言うなんて…」

ヘンリー(デルタ・プリンセス号船員、ブラウンの私生児、テーラーが好き)
 「そうだ。お前、勝手な事を言うな!
 ブラウンは彼女を脅していたんだぞ!俺は聞いてしまったんだよ。
 彼女がブラウンに脅されているのを。彼女は自分の身を守るためにやったんだ
 それなのに酷いじゃないか!」

カーター(判事、酒飲みで評判悪し)
 「まぁまぁみんなが勝手な事を言っても仕方がない。
 これは彼女問題なんだ。テーラー。この事件の事を全て話してくれないか」

カーターのみがここまでやや中立。
後の連中はテーラー擁護にひた走る。

テーラー自身は
テーラー(売春婦)
 「……本当よ。彼を撃ったわ。
 彼は自分の船室に来るようにメッセージ苦をくれたの
 私は父に何が起こったのかをハッキリさせてくれるのだと思っていたの。
 新聞の切り抜きを見たでしょう!
 父は誰かに騙されて死んだのよ!
 彼はこう言っていたわ。
 父を奪い、今度は私も奪うと。
 私は彼と争ったわ。
 あぁ!恐ろしい。
 私は引き金を引いてしまった。
 父は私にこの世の中若い女は危ない。
 いつもピストルを持っているように
 と言っていたから
 それで私は…
 でも決してそんなつもりじゃ
 なかったのよ…
 私は錯乱状態に陥っていました。
 ピストルを綺麗にしていると誰かの声が聞こえたので窓の外にピストル放り投げたの。
 まさかそれが引っかかっているとは思わなかったわ。
 そしてヘンリーに会いに下に降りたのです。
 そこでコットンを捨て、彼に別の船室をあけてもらいました。
 そしてベットに鍵を隠したのです。
 怖かったわ…間違ったことだというのは分かっていたわ。
 でもそれしか方法がなかったのよ!」

正当防衛を主張するんだけど
被害者の事を最初に尋ねると殆ど知らんと言い、
銀山の採掘証明を別の人間(ディジー)に自宅に送らせようとしたり
ここでもピストルを拭いているとか鍵を隠したとか本当に錯乱状態だったん?
随分冷静に証拠隠滅にいそしんでいるじゃねーか。

あれこれ言われ怪しんでいると「ネルソン」船長はこう言ってくるのだ。

ネルソン「そのようですね。チャールズさん。
 私はこの船の船長として彼女を無罪だと思います
 カーターさん。あなたはどう思いますか?」

何で高が船長のお前に罪を決める権限あんねん。

カーター「つまり自己防衛だったのだ。うーん。
 思うに我々は大いに反省しなければいけませんな。
 この事件は人間の見栄や欲望によって作り出された物です。
 それを彼女が教えてくれたのです…」

ここで判事の『カーター』が擁護に転身。
コレ、みんな共犯だろ。
事件処は今、この状況もまた見栄や欲望で作られているだろ。

特に船に落とし穴作ったり部屋に入るたびにナイフ毎度飛んでくるような
大がかりな仕掛けは『テーラー』1人で出来る訳がない。
ちなみにこの即死トラップが誰がどのように作ったかの触れる台詞は一切ない。
完全に迷宮入りである。


そしてチャールズの締めとなる。

チャールズ「ワトソン 色々と教えられる事の多かった事件だったな」
ワトソン「はい。記録に残る事件でしたね。先生」


本当に教えられる事の多かった記録に残るゲームだったな…

「歩きの遅さ、もう言いましたなどの数々の仕様」
「穴やナイフが飛んでくるなどの即死トラップ」
「トリックの雑さ加減」
「犯人を庇って勝手に丸く収めている連中」

勝手に登場人物の間で納得しちまって
プレイヤーは腑に落ちねぇ~。

だが、これで終わりではない。
最後の最後にこのようなメッセージが出る。
(ここは原文ままとする)


ゲーム オーバー

おめでとう チャールズくん

きみなら といてくれると おもっていたよ
しかし つぎは もっと むずかしい
なんじけんが きみをまっているはずだ

ゲーム オーバー!
スタート ボタンを おしてください



君なら解いてくれると思っていた?
お前は誰だよ。
それにこんなゲームに次はねぇよ…

2度もゲームオーバー言うんじゃねーッ!!

ん?
この場にいるってなると「ワトソン」が内心、思っているのが有力だな。
もしそうなら

『今度はどんな方法でチャールズさんを殺害しよっかな~』

なんてウキウキで罠を考えているとしか思えないんだがな…



全く何でこんなゲームを…
え?移植ゲーだからその洋ゲーを忠実に再現した結果だって?
そんな擁護の言葉もあるかもしれないがそれは擁護にはならんよ。
このゲームを移植しようと決めた人達がいるんだからね。
良いゲームを作ろうと思ったらこのゲームを避けるかもっとよりよく出来るはずだよね。

「あぁ もし 最初から 作りなおす 事が できれば 何とか なるのに・・・」

ってな所であるが、無情な事に本ソフトを発売したジャレコは2014年5月
親会社『ゲームヤロウ』破産に伴って会社組織としての『ジャレコ』は消滅となった。
このゲームにもうやり直しは利かない…

ゲームオーバー!

スタートボタンを押しても無駄です。


髭人が仮にミシシッピー川付近に立ち寄る事があったら
このソフトを持って供養に行くわ。
そして放り投げて合掌を…

いや…
川にこんなゲームを投げるのは不法投棄だ。
ダメダメ!!ダメ絶対!!




つまらなければ押すんじゃない。

  ブログ王     くる天 人気ブログランキング     PVランキング   ブログランキング   ホームページランキングRank Now!   ブログランキング【ブログの惑星】  ホビー人気ブログランキング   人気WebRanking

  「ポイント・マイル」ブログランキング参加中  髭を剃るとT字カミソリに詰まる - にほんブログ村