ひだまりクリニック~産んだ後にも母親学級~

杉並区で小児科医がひらいている母子で集えるクラスです。

支援と指導はどう違うのか・・・を考えてみました

2014-07-06 07:00:35 | 母親への支援

今まで、子育て中のママパパに医療情報をお伝えするという講座担当は何回かしていますが、

今月はたまたま子育て支援のプロにお話しする機会が二回も。

「子育て支援とは」というまさに、そのテーマも含めてのお話をすることになりました。

保育士さんの卵さんたちにするお話が昨日あり、無事終えることができました。

講演というのは、いつも緊張しますし、届けたい思いがあっても、どれほど届いているかしらと不安ではあります。

漠然とした思いを届けるために言葉にする、それも、伝わる言葉にするというのは、なかなか私には難しいです。

(でも、こういう機会があるからこそ、自分でも気持ちを確認できる作業になりありがたいのですが)

今までとってもお世話になってきた保育士さんへの感謝を込めて、これから保育士さんとして働こうという方にお話しました。

病気や事故やけがの話は、ママパパにするお話と基本的には同じです。

親が見ていない情報は確実に伝える、その情報をもとに親が受診することになる場合は特に重要なことです。

だから観察・記録・伝達はとても大事ですね。

その話だけでなく、今回はどうしても盛り込みたい話がありました。

保育士さんたちに届けたい応援する気持ちです。

母親を支えるあたたかい手と目は多ければ多いほどいいと思います。

その一部が医療であり、保健福祉ですけれど、やはり普通の日々は保育士さんや幼稚園の先生に支えられている部分が大きいです。

働くお母さんにとっては、その支えはとても大きなものです。

保育士さんとお別れのときに交わす一言で、へとへとだったのにご飯を作る元気が出るってこともあります。

「お疲れ様。今日も頑張ったね~」と言われて、心の重荷を少しおろすことができることもあります。

悩んでいたことが解消することもあるし、プロの技にびっくりすることもあります。

でも、プロとして言わないといけない!と思うことがある場合もあるでしょう。

医療面でもあります。

生活リズムや食習慣など・・・は特に保育時間の日々の生活に影響しますから、こうすべきなのに・・・とおもうこともあるでしょう。

私自身、健診の仕事で言うべきことは言わないとと思っています。

なぜなら、お母さんしかその子の生活を変えることはできないからです。

そして、それは親ができる一番のプレゼントになるからです。

病気を予防することにもつながる、元気に毎日遊べるもとになる、健やかに育っていく日々の基本になるからです。

けれど、その指導がきちんと伝わるか・・・は別問題です。

若い時は一生懸命で、経験がない分プロとして正しくないとという気持ちが強くて指導しなくちゃ、正しいことを伝えなきゃという気持ちになりがちで、ときどきお母さんに対して強く言い過ぎてしまうという失敗をしがちです。

ひだまりクリニックには、保育士さん・先生・医者・看護師・助産師という方たちが見えますが、多くの方がいうこと・・・

「今まで出会ってきたお母さんに謝りたい~」

私もそうです。

もっとどうしてやさしく言えなかったか・・・

なんで、当直の晩、あんな態度で接してしまったか・・・

子育ての苦労をして心配をして初めてこれほどわが子のことは心配で不安でということがわかりました。

だから、子育てをした人が現場に戻ると、そこも踏まえた指導ができるのだろうなと思います。

指導と支援という言葉を初めて意識したのは、保健センターの健診でのあるできごとでした。

予防接種がいやで予防接種欄が真っ白だったお母さんに出会ったときに、いろいろお話して・・・

仕事が終わった後に、保健師さんに聞いた一言です。

「最近は保健師さんってあまり指導的なことは言わないような気がする。

以前の保健師さんは、もっと正しいことを伝えようという意識が強かったし、

(ちょっと言いすぎな人もいたかも、そういう点ではよくなってるのだけれど)

今はどちらかというとクレームは困るというような意識があるのでは?」と聞いたところ、

「入職時の研修では、指導よりも支援をということを何度も繰り返し強くいわれる」とのことでした。

「指導よりも支援」か・・・なるほど・・・

とは思うものの、やはり伝えたいことは伝えたい。

では、指導が支援になる方法を探せばいいということだと考えました。

指導が支援になるようにするにはどうしたらいいのか。

その人の背景をよく知り、信頼関係を築き、どうしたらできるのか変えられるのかを考えていくことなんだろうな…と思います。

指導が一方的にならないようにして、

指導が生かされるにはどうしたらいいか、何を工夫すればいいのか一緒に考えること。

そうすることで、指導が支援として活きてくるのだと思います。

指導には上下関係のイメージがありますが、私は支援では上下関係を作りたくないと考えていて、

役割があるととらえています。

つまり、子どもを健やかに育てるために、それぞれができる役割を果たすということです。

親は親として、医療者は医療者として、保育者は保育者として・・・

結局、知ろう小児医療 守ろう子どもたちの会で医療のことを言っていることと内容が同じことになってます。

病気の子どもをケアするために、信頼しあって医療者は医療者として親は親としてできることをする。

子どもの育ちに関して、その子どもの周りの人間が信頼しあって、できることをそれぞれにする。

同じことなのです。

保育士さんの目は、集団の中で子どもたちを見守る、その関係性も客観的にみることができる、という点で、

とても貴重な視点だと思います。

親はどうしても近視眼的になりがち。

その補正を何度私もしてもらったか・・・

そういう点でも、とても貴重な目です。

保育士さんたち!頑張って!

日本の未来である子どもたちを健やかに育てる仕事。

親を育てることもできます。

私は保育士さんや先生方に育てられたと思っています。

そして、その仕事は保育士さん自身も育てるんですよね。

支援が上下関係でないというのは、仕事をしながら思っています。

私は医師という仕事をしているけれど、その仕事を通じて、多くのことを目の前のお子さんと親御さんから学んでいる。

つまり、子どもたちおかあさんたちは先生なんだ・・・ということ。

それが実感できたら、まったく上下関係だなんて思えるどころじゃありません。

その仕事が楽しくて、こどもがかわいくて、悩んでいる一生懸命なお母さんが切なくて愛しいと思えるので、

私は本当に自分の仕事が大好きで、この仕事ができることに感謝だなぁと思います。

(こういう話は全く長くなっちゃいますね~

 

 

 

 

 

 

 


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