日々雑感

変化の激しい世の中です。日々思うこと、感じたことの雑記張です。

薬害

2011年01月31日 | 日記
薬害イレッサ訴訟で東京地裁、大阪地裁から和解勧告が出ていましたが、
政府も医薬品会社も和解受け入れを拒否しました。

「副作用の少ない夢の新薬」として大々的に宣伝して、世界に先駆けて
販売された抗ガン剤の「イレッサ」でした。しかし公表されているだけ
でも800人以上が、副作用の「間質性肺炎」でなくなっているそうです。

「イレッサは、薬害ではなく副作用の問題で、副作用の責任を問えば、
医療は成り立たなくなる」と企業や行政を擁護する国立ガン研究所。厚
労省も「和解を受け入れれば、今後の新薬の承認体制に大きな影響があ
る」として、患者の言い分があたかも理不尽であるかのような発言をし
ているようです。

しかし裁判所が出した和解案は、薬の添付文書に副作用による死亡の恐
れなど、重要な事項は前のほうに記載すること、具体的に記載すること
など、至極当たり前のことを求めたものです。厚労省幹部の言うような
「審査を厳しくせよ」とか「承認を遅らせる」などを求めたものではあ
りません。大阪地裁の所見も「平均的な医師を対象として、該当医薬品
を安全かつ適正に使用するために、必要かつ十分な情報を提供する必要
がある」と述べています。

これまで、企業も厚労省も、わかりやすく説明、表示してこなかったこ
とに責任があるといっているだけです。いかにも安全無害をよそうかの
ような宣伝に問題があったということでしょう。

薬害イレッサ裁判で、被告企業側の証人に立った専門医は、被告企業か
ら講演料やコーディネーター料の名目で多額の報酬を受け取っており、
公平な立場での証言とはなっていないこともうかがえます。エイズ訴訟
のときにも医者と企業、役人の癒着が問題になりましたが、命より利益
を大事にする企業の論理はあいかわらずのようで、それに群がる人が絶
えないのも、人間の弱さなのでしょうか。

菅総理が施政方針演説で「裁判所の所見には、前向きに対応し、国民の
皆様のご理解を得ながら早期の和解を目指します」と発言し、B型肝炎
訴訟の和解もやっと進みそうです。原告団は「苦渋の選択」をしたわけ
ですが、政府も厚労省も真摯に受け止め、早期の解決を図るべきでしょう。

何よりもまず政府は、患者・被害者に対し詫びるべきでしょう。感染拡
大が予見できたのにもかかわらず、40年間放置してきた国の責任は免れ
ません。患者の補償をするためには増税が必要だなどと、患者と国民の
対立を煽るような言動はやめ、患者と向き合うことが必要でしょう。

いまだに感染に気づいていない人、これから発症する可能性のある人等
多くの潜在患者が予測され、ことは国民の命の問題です。真相解明と再
発防止も強く求められるところです。

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