日々雑感

変化の激しい世の中です。日々思うこと、感じたことの雑記張です。

軍事予算

2010年08月30日 | 日記
ストックホルム国際平和研究所の発表によると、2009年度世界の軍事支出は、
前年比実質6%増の約1兆5310億ドル(約140兆円)に達するということです。
2000年比で49%も増えています。最大の支出国はアメリカで、6610億ドル。
11年度予算ではアフガニスタン戦費の増大で7000億ドルを突破しています。

しかし、金融危機、財政悪化の中で、軍事費の削減が進められようとしていま
す。イギリスが2014年までに25%、フランスは今年度15%、イタリアは10%、スペ
インが9%などの削減計画を示し、ドイツは今後5年間で日本円にして1兆円以上
の削減を検討しています。さらにフランスは今後3年間で5万人、ドイツは4万人
の兵力削減を発表しています。世界の軍事費の43%を占めるアメリカでさえ、今
後5年間で1000億ドル(9兆円弱)の「節約」を表明しています。さらに米議会
は政府に対し、今後10年間で1兆ドル規模の削減を目指すよう提言しています。

一方日本では、軍事費の具体的な削減方針は出されてはいないようです。毎年
5兆円近い防衛省予算を計上していますが、10年度の支出内訳は、人件・食料費
が2兆850億円(43.5%)歳出化経費(兵器費用)が1兆5750億円(35%)、一般
物件費(自衛隊の活動費)が1兆305億円(21.5%)となっています。

政府内でも、半分近くを占める人件費の削減が「隊員の階級・年齢構成のあり方」
「部隊等の効率化・合理化」等の中で進められているようです。

歳出化経費は、兵器のハイテク化や大型化の中で、増大傾向にあり、軍事費の硬
直化の原因ともなっています。最近では「ヘリ空母」や海外派兵型装備の調達も
増えており、財務省でも「もっぱら海外活動を目的とした装備品や部隊の更なる
拡充は非効率」と、海外派兵のための高額兵器購入の抑制を示唆しています。

自衛隊の活動費の約4割(4000億円)が在日米軍関係費(思いやり予算、米軍再編
経費、等)に使われています。これは世界中に展開している米軍に対し各国が負
担する費用の半分にもなる、異常な状態です。もともと払う必要のない米兵住宅
の水道光熱費や、米軍で働く日本人従業員の給料や、米兵の遊びで走る高速道路
代や、ゴルフ場等の娯楽施設等々の費用を、なぜ税金で払わなければならないのか、
日本は独立国?

中国や北朝鮮の脅威に対し、日米安保は必要で、軍事費が膨らむのは当然、との意
見もあります。防衛省の資料で、中国の軍事費は21年連続(1988~2009年)10%以
上の伸びを示しており、この期間22倍に膨れあがったとしていますが、一方で「国
家財政支出の伸びに比べれば国防費の増大は抑制されたもの」とも述べています。

中国と日本は「戦略的互恵関係」をうたい、両政府間の意思疎通と連携、経済・貿
易協力などの強化を進めています。米中も同様な関係を結んでおり、こうした国同
士が戦争を起こすことは現実的には不可能です。世界は軍事一辺倒から外交努力で
平和を維持する方向に進んでいます。北朝鮮との関係も原則的には同じ立場で臨む
べきで、軍備強化で相手を威圧することで屈服させる、というやり方では、何も進
まなかったという歴史を学ぶべきでしょう。

経済財政白書

2010年08月23日 | 日記
2010年度経済財政白書が出されました。日本経済の「積年の宿題」の解決は「需要に
直接働きかけ『需要からの成長』を目指す」ことが必要であることを強調しています。

1990年代以降の20年間の日本経済は「需要不足の基調にあった」とし、「こうした傾
向は他の国では見られない」日本固有の特徴だったとしています。その理由の一つは、
90年代のバブル崩壊で土地、株価などの資産価値が1500兆円以上目減りしたこと、さ
らに、中国などの新興国への輸出依存の高さが、「賃金を初めとする労働コストを抑
制している」と分析しています。

08~09年にかけての失業率の上昇は、「需要不足が主因」であり、雇用情勢の悪化の特
徴として、若年世代の雇用環境を上げ、若年層で長期失業者が増加している、と指摘
します。

「積年の宿題」の解決方法について白書は、「家計関連の需要はGDPの約6割を占めて
おり、その一部であっても新たな需要が喚起されれば、経済全体への波及効果は少な
くない」と「家計を重視した景気回復」を掲げます。そして、家計所得を増やすため
には「企業が家計に配分するための原資が必要である」とし、「企業が収益を拡大で
きるような様々な基盤の整備」を提起し、「企業収益強化」のためには、法人実効税
率の引き下げが必要である、となっています。

結局、大企業が儲かる→中小下請けに仕事が回る→従業員の給料が上がる→需要が増
える→景気が良くなる・・・に落ち着くようです。しかし、この回転が働かなくなっ
ていることは、政府自身も認めており、現在の状況が、大企業は儲かる→中小下請け
は仕事がない→従業員の給料は下がる→需要の減少→景気の低迷・・・が続いている
ことは、誰の目にも明らかでしょう。

富士通総研のホームページのコラム「米国は日本のようなデフレは起こらない」でも、
日本は、他の先進国と違って賃金が傾向的に下がり続け、勤労者が購買力を失い、そ
れが物価を下げる原因となっていると指摘しています。

その原因の第一は、「雇用を維持するためなら、賃金が多少下がっても止むを得ない、
という考え方が支配的」であることを上げます。

ヨーロッパの組合は職能別で組織率も高く、「全国一律の最低賃金制が維持されてお
り、個別企業の理由で賃金カットすることが難しい」事情があります。日本の労働組
合のあり方も問題になるでしょう。

第二に、日本で「賃金の安い非正規労働者の採用が大幅に増えたこと」が原因である
ことを挙げています。他の先進国では「どう一労働・同一賃金が日本より守られてお
り」「非正規労働者の賃金が正規の半分程度」といった格差がないこと指摘していま
す。

「需要に直接働きかけ『需要からの成長』を目指す」のが、日本経済再生の道である
ならば、低賃金、サービス残業、不安定雇用、消費税増税等々ではなく、庶民の懐を
暖かくする事がまず必要でしょう。三菱総合研究所の「景気見通し」のレポートでも、
「家計部門の所得の回復が日本経済の先行きを左右する」との分析をしています。

儲かっているところには応分の負担をしてもらい、社会保障の充実等を進めることで、
国民生活の安定を図り、需要を喚起する方向が求められているのではないでしょうか。

原爆記念日

2010年08月16日 | 日記
8月6日・原爆の日、私は一度だけ大会に参加したことがあります。小学生の頃、
親父に連れられ、大勢の大人たちに混じって、会場の片隅で落ち着かない気持ち
でした。「黙祷」の声に徐々にざわめきが静まり、緊張した、一瞬厳かな空気が
流れ、あわてて目をつむりました。蝉の季節になると、ときどき思い出す光景です。

今年の「原爆の日」は、これまでになく核兵器廃絶の声が、世界的にも高まった中
で開かれました。国連事務総長や、核保有国・米・英・仏の代表が初めて参加し、
27万人に及ぶ犠牲者の霊を慰め、二度と核兵器を使うことのない世界の実現を誓
いました。

秋葉広島市長は「平和宣言」で「地獄の苦悩を乗り越え、平和を愛する諸国民に期
待しつつ被爆者が発してきたメッセージは、平和憲法の礎であり、世界の行く手を
照らしています。今年5月に開かれた核不拡散条約再検討会議の成果がその証拠で
す」と指摘し、「いまこそ、日本政府の出番」であり、非核三原則の法制化と「核
の傘」からの離脱、被爆者への援護の強化を訴えました。

しかし、日本政府の立場は、被爆者や核廃絶を求める世界の人々とは違います。菅
総理は大会挨拶で「国際社会では、核兵器を初めとする大量破壊兵器の拡散の現実
もあり、わが国にとって核抑止力は引き続き必要」と述べました。非核三原則につ
いても、岡田外務大臣が国会で「核持ち込み容認」発言をしています。

一方では、アメリカの国務長官や国防長官をつとめたキッシンジャー氏やマクナマ
ラ氏、パウエル氏等々元政府高官が「核抑止論」の無効性を訴え、核廃絶こそ世
平和の道であるとの「声明」を発表しています。核がテロ組織にわたれば「核抑止
力」など画に描いた餅になる、核兵器をなくすことが核不使用の確実な方法である
ことを主張します。

核で相手を脅し、軍事的に優位に立つことで戦争を避け、平和を維持する戦略が、
北朝鮮に核を持たせ、テロ組織が核兵器を狙う結果をもたらしたのは皮肉な事実
です。菅総理自身が数ヶ月前まで「核抑止論」の無効性、沖縄海兵隊が日本の平
和には無関係であることを主張していました。

今、世界は、核や軍事ではなく、平和的な外交交渉で世界の新しい秩序つくりに
向かっています。唯一の被爆国日本は、その流れの中で遅れを取ることなく、先
頭に立つことが求められているのではないでしょうか。

普天間裁判

2010年08月06日 | 日記
米軍普天間基地周辺住民が、米軍機の夜間から早朝までの飛行差し止めや損害賠償
などを求めて、国を相手に提訴していた裁判(福岡高裁那覇支部)に判決が出まし
た。

米軍ヘリの低周波騒音による健康被害を認定、損害賠償額を一審判決の1億4600万か
ら3億6900万へと大幅に増やし、支払いを国に命じました。「抜本的な騒音対策を講
じて違法状態を解決していない上、いまだ環境基準の基準値も達成していない」
「(米軍に)騒音防止協定を遵守させ、実効あるものにするための適切な措置をとっ
て」いないと、国を糾弾しました。

しかし、普天間基地を「世界一危険な飛行場」としながら、飛行差し止めは棄却しま
した。他国(第三者)である米軍の飛行を差し止める権限がないとする「第三者行為
論」が理由とされているようですが、原告側は「政治のゆがみや誤りを憲法に照らし
て是正するのが司法の本来の役割だが、司法の政治に対する遠慮と消極性が顕著に見
られる」と指摘しています。

日本の裁判所が、時の権力・政府の擁護の立場に立つのは当然でもあり、三権分立が
名目的なものであるのは、周知の事実でもあるでしょう。たまに反骨精神の裁判官が
出たとしても、官僚機構の中で埋もれ、つぶされ、結局無視されてしまいます。もし
憲法判断や行政事件等に裁判官制度が導入されたとしたら、判決はもっと変ったもの
になるかもしれません。

普天間問題は、日米両国のある意味、最大の懸案課題でもあります。沖縄県民の多く
が基地撤去を願い、平和な生活を切実に思っているのは確かです。その結論は今年の
沖縄知事選で出されるわけですが、先の参院選の結果から見ても、沖縄県民の揺らぐ
心は、痛々しいものがあります。

このような中で、アメリカから、日本の防衛費と「思いやり予算」を増やすべきだと
の要求が出されています。民主党はもともと、地位協定上も支払い義務のない「思い
やり予算」には否定的でしたが、政権をとった途端、態度を変えています。現在政府
は、予算編成の中で「減額」要求をするとのことですが、大いに期待したいものです。

こっそりと、海上自衛隊が海外に始めて基地建設を進めているようです。アフリカの
ソマリア沖での「海賊対処行動」の基地として、「アメリカ軍からの要求」に基づく
もので、ジプチという聞きなれない国です。しかも日本はジプチとの「地位協定」を
結んでいるわけですが、たとえ自衛官が犯罪を犯しても裁判権は日本にあるという、
特権つきのものです。

アメリカに対して何もいえない日本政府も、弱い国に対してはやりたい放題。不平等
な日米地位協定で日本国民が苦しめられているのに、同じ苦しみを他国に押し付ける
やりかたは「帝国主義」といわれるもので、日本は何時からこのような国になったの
でしょうか。

最低賃金引き上げは最大の成長戦略

2010年08月02日 | 日記
「企業収益の増加が家計所得の増加へとつながるには、労働生産性に見合って賃金
が順調に増えていくことが必要。それは企業の持続的成長にとっても重要」と指摘
するのは、三井住友系の日本総研です。

富士通総研は「最低賃金引上げは最大の成長戦略だ」「賃金の長期下落は需要の減
少を通じてデフレを引き起こすことになった」。また、賃金を上げればアジアに工
場が移転され雇用が減るとの主張に対しては「8割を占める第3次産業の場合、サー
ビスや流通業など消費者に直結する産業が大半だから、海外への移転はありえない」
と反論しています。

GDPの2割を占める製造業の一部について「中国と低賃金で勝負している」との議論に対し
ても、「そのような製造業はとっくに海外へ移転してしまったのではないか。スキ
ルも経験もなく単に低賃金だけに頼って競争している企業が日本にそれほど多くあ
るとは考えられない」と反論しています。

公益法人・東京財団は「最低賃金の引き上げを実施することで、貧困対策と生産性
向上を同時に実現できる」とし、「わが国は低賃金労働に依存する経済から転換し、
生産性をより高めていくべきである。雇用の「質」において世界一を目指すことが、
今後の日本の国家目標の一つとして考えるべきではないか」といっています。

一方労働側の労働総研は、「最賃アップが日本経済の健全な発展をもたらす」とし
て、そのための必要資金は5.9兆円で、ここ10年間に増えた企業の内部留保(219兆
円)の2.7%にすぎないこと。経済効果は国内需要が5.8兆円拡大し、国内総生産が
13.4兆円ふえ、国税・地方税が1.3兆円の増収となる、との試算を発表しています。

企業も、自分だけが儲かればよい、というのではなく、全体が良くなる道を追求す
ることが求められているようです。