三味線弾きの日常。

おもに津軽三味線弾き唄い。
ときどき地歌・上方唄。こっそり義太夫三味線。
三味の音を一人でも多くの人に届けたい。

「雨の中、傘の下」。

2024年01月10日 | 鑑賞
能法劇団「雨の中、傘の下」@大江能楽堂へ。


二ヵ国語狂言「梟」 
詩「J.アルフレッド・プルフロックの恋歌」 
新作「雨の中、傘の下」 

の3つの演目が上演された。

能法劇団は、日本の伝統芸能と西洋演劇・音楽を融合させた
作品を作っていて、今回が42回目とのこと。
私自身、正統派の古典演目よりも
翻案、新作、コラボ等にずっと興味があって、観に行った。

「雨の中、傘の下」は、9.11をきっかけに書かれた小説が原作。
ある出来事があって、島では大勢の人が死に、
有害な雨が降り続け、建物はしだいに崩れていき、
人々は傘をさして行き交い、尋ね人のポスターは毎日張り替えられる。
大切な人と離れてしまった女は毎日ポスターを眺め
高いビルにのぼって灯りをともし、対岸に合図を送り続ける。

劇中の世界の不安や絶望感、滅びの予感は
そのまま今現在の世界にも通じている。
伝統芸能も、同時代性のある新作を持つべきだと思った。
新作というと、人気の漫画やアニメの舞台化ばかりが
話題になりがちで、それも別に悪くないけど
それだけでもないはずだ。
何百年も演じ続けられている古典作品には
普遍性のあるテーマが描かれていて
時代を超えて通じるのだ、としても
現代の作品を作ることも必要なのではないか。

伝統芸能と異ジャンルのコラボ作品をみて
いつも思うのが、伝統芸能の声の強さ。
とくに能の声が好きだ。
今日の作品でも、「女」を演じた松井彬さんが発する声が
舞台の空気をぐっと引き締め、深みを与えていたと思う。
能管や小鼓も独特の音色なのだけれど、
それよりもさらに声はくっきりと際立って存在感がある。

しかし…桟敷席で2時間はキツかった…
最後の30分くらい、体が痛くて舞台に集中できなかった。
アフタートーク前に、かなりの人が帰ってしまったのは
そのせいもあるのでは、と思ったりしている。


 椿紅静月×松浪千静×豊澤住静
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►活動予定
 1月21日(日) 義太夫体験教室@一心寺・南会所
 2月24日(土) 義太夫体験教室@一心寺・南会所
 2月25日(日) 三味線三昧@京都・天Q
 3月2日(土) 瑠璃の会@国立文楽劇場・小ホール
►演奏依頼 承ります
 ステージイベント、パーティ、ブライダル、レクチャーコンサート、
 ワークショップなど、三味線出張演奏いたします。
 小さな会場でも、ご予算が少なくても大丈夫。
 ブッキングライブ、コラボレーションなども歓迎。
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