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『日本でいちばん小さな出版社』 佃由美子 著 (晶文社)

2007-05-27 01:33:23 | メディア
 たま~にしかアップしないが、たま~にしか読書をしていないわけではない。
 面白い本でも備忘録を書くには至らないこともあれば、備忘録をアップしたいがために読み直した本もある。
 今回の作品は最初から備忘録を書くつもりで紐解いた。
 書店で注文して本を取り寄せることはまずない。ネット書店も使わない。欲しい本がある時には気長に書店巡りをする。音楽では初回特典が欲しくて予約することもたま~にあるが、予約したら安心して取りに行くのは発売2か月後なんてのもざらだ。今回の『日本でいちばん小さな出版社』は、生まれて初めて朝起きて一番に高揚とした気持ちで書店に走った本である。

 そもそもネットサーフィンをしていて見つけた「出版屋の仕事」というブログの書籍化。ブログから書籍化された作品を何作か立ち読みしたことがあるものの、ブログを紙の上に印字製本し直しただけのような安直なものが多く、1分くらいでKOの判定。しかし、今回はサイのマークの「晶文社」からの作品。期待は高まる。

 ブログ「出版屋の仕事」を斜め読みしていた人間にとっては、それなりに楽しい内容だった。
 この出版社が他の零細出版と著しく異なる点は、書籍は取次(とりつぎ)という卸売ルートを利用して書店に本を供給するのだが、この取次口座開設がなかなか大変なようで、出版社出身でも元ライターでもないという人間が出版社を始め、トーハン・日販という2大取次の口座を持つというから休眠口座の譲渡を受けたのか、廃業直前の出版社の口座を買収したのかと思っていたら、友人ハッタリ君の指南で2大取次といきなり新規口座開設したということ。これは特筆に値することである。ただ注意しなければならないのは、ネット上には零細出版社の奮戦記がいくつかある。「ひとり出版社」というのは数多く存在するようで、資本金からしてもこの出版社が「日本でいちばん小さな出版社」というのは正確でない。著者は、相場で儲け、高級車に乗り、文章も書け、イラストも描け、コンピューターも自在に操れ、余裕を持って出版業を楽しんでいるので、ほかの零細出版社にみられるような切羽詰った試行錯誤や追い詰められたストーリーはない。ほかの零細出版の奮戦記を読んでいる限り、この本を出版社開業の参考書にすると過ちを犯してしまうような気がする。

 晶文社の作品なのでブログを移植しただけの書籍ではないものの、実践的内容より徒然的表現が多く感じられた。特に、出版界に興味津々の読者にとって肝心なシステムの話などにおいては、著者の推測で書かれ、著者の推測のまま、あるいは「わからない」で終わってしまっている箇所がいくつかあり、読んでいて消化不良を起こしてしまった。本の内容上、営業部も初期の編集に参加させ、欄外注釈なども用いて、もう一歩踏み込んだものにしてほしかった。

 それにしても、サイのマークの本を買ったのは久しぶりだが、なんか「情報センター出版局」の『気分はダボダボ出版社』的テイストに感じたのは私だけだろうか?


(個人的評価:★★★)
(おすすめ度:ネット上での複数の零細出版社の奮戦記を並行して読むべし)
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