言の葉

気の赴くままに、ひたすら詩を綴っています。

любой

2018年03月31日 | Weblog

ふとした時に思い出す 何気ない言葉

あなたが「桜貝のような色をしている」と
褒めてくれた爪を 桜吹雪に かざす
あの日から 私はマニキュアをやめたの

そんな些細な変化を知らないでしょう?

溢れだす全てが ピンク色に染まる
そこかしこに鏤められて 視界を覆う

何もかもは 愛でした ひたすらに
何はなくとも 愛でした 直向きに



さようなら

2018年03月27日 | Weblog

今年は桜の開花が例年より早く
今日で満開になったとの報せです

あなたに「さようなら」を言うため
遠路はるばる やってきました

重い荷物は ひとまず置いて
せめて一片の花びらを贈ります

青い空に映える 桜の花びら
幾重にも重なる 桜の花びら
乾いた口で告げた さようなら

胸に抱いた 「ありがとう」
その言葉を伝えたいのは私です
あなたではなく 私のほうです

贈る花とともに ありがとう
桜色の中に消えた さようなら



雨雲レーダー

2018年03月23日 | Weblog

眠れなかった夜の 次の朝は
なんだか やけに白々しい

いっそ雨でも降ってくれればいいものを

灰色の雲 やかましい音
苛んでくれたら いいのに

遠ざかる雨雲が恋しいよ
真っ青な空が恨めしいよ

思いどおりになることなんて ないなぁ



mature

2018年03月22日 | Weblog

いつか辿り着く その先に
光か闇か何かを見つけたら
きっと泣いてしまうのかなぁ

忘れたくない笑顔が あるよ
忘れてほしくない思い出も
ずっと忘れない温もりも ある

いつか私たちを 分かつもの
その先には 何もないのかなぁ

熟した実は 木から落ちるだけ
飛び立った鳥は 巣に帰らない
流した涙は 目の中に戻らない

一方的に過ぎ去っていく時間を
誰にも平等に流れていく時間を
とめることはできないけれど

そっと撫でた髪の やわらかさ
触れ合った指先の やわからさ
思い出は すべて やわらかい

それらを抱いて 泣けたらいいなぁ



こぎえていつとなく

2018年03月21日 | Weblog

それは いつだって変わりなく ひとつのものです
けれど 見る人 見る角度 見る時間 見る気持ち
さまざまな要素を伴い まるで違って見えるのです

寒さや熱さの感じ方さえ違う私たちなのですから
見え方や捉え方が違ったって当然のことでしょう?

もしかして 人によっては 見えないかもしれない
だからといって何故?と問うようなことですらない

それは そんなもの 不思議なことは何にもない



文を折る

2018年03月16日 | Weblog

たとえば 届かぬ 木の葉

笑い声の響く庭先で香る花
手折らないでと泣く子ども
「お部屋に飾らなくていいの?」
「だって折ったら可哀想だよ」
性善説を信じられる ひととき

たとえば 返らぬ 文使い

海辺に戯れる鴎 山に鳴く鴉
どちらも同じ鳥に違いないのに
愛でられ 蔑まれ 不思議な存在
「命に変わりはないのにね」
呟く子どもは相も変わらない

いつか大きくなったときにも
どうか木々を見あげて笑ってね
どうか鴎も鴉も撫でてあげてね

そうしたら きっと一時だけでなく
私は性善説を信じ 嘆くでしょう



あたしのなかの悪魔

2018年03月14日 | Weblog

もたげる 揺れて もたげる
歪んだ歯は 何を傷つけるの

ずっと閉じ込めていたものが
ふとした拍子に抑えきれず蘇る

優しくあろうと 静かにあろうと
心を落ち着ける暇もなく いま
沸々と心の芯を燃やしている

忘れさせて 考えさせないでよ
ぐらぐらと心は煮えたぎっている



となり

2018年03月13日 | Weblog

何をしているのか 遠い意識の中
ただ そこにあるだけの肉体に
そっと触れたのは 一瞬のことでした

ぬくもり 教える 人となり

思い出すのは幼いころのことばかり
春の兆しに 心が沈んでいた あたし
包んでくれたのは あなたでした

やさしさ 教える 人となり

あたしは きっと泣かないでしょう
あなたを 静かに胸に抱いたまま
生きていくのが あたしの祈り



100

2018年03月11日 | Weblog

もうすぐ消えゆく生命の灯火
そのぬくもりに触れることが
どうしても できなくて

幼いあの日 逃げ出した
ほろ苦い 思い出
結局 何も変わっていないね

怖くて すくんでしまうの

どうか わらっていて
しょうがない子だ と
あの日のように また
どうか わらってください

開かない目で 見つめて
こけた頬を 揺らして
か細い指先で 撫でて
あの日のように また
どうか どうか
行き場のなくした手を
やさしく 包んでいて



虫食い

2018年03月09日 | Weblog

蝕まれていくのを感じるのに
巣食う誰かが そこにいるかぎり
大声で泣き喚くことも 叶わない

あなたが信じ続けているものが
私にとっては何の意味もなさない

ように

私の痛みは あなたにとって ただの屑

ためらわないで
信じるのも 夢を見るのも 自由だ
真実なんて 一つなわけないだろう
その眸が映すものが 光でも闇でも
ためらわないで

何もないと嘆く涙を いつまでも
拭わずに 流させてあげたい

 涙は途中でとめてはいけない
  最後まで泣いてこそ
   ちゃんと枯れるから