『高原好日』(加藤周一著、ちくま文庫)を読みました。
04年7月に信濃毎日新聞社から発刊された本の文庫化です。
文庫の「解説」を成田龍一さんが書き終えた08年11月3日のひと月後、加藤さんは12月5日に89歳で亡くなられました。
解説の「追記」で成田さんは、「戦後知識人として日本国憲法の精神について訴えかけ、それが根付きあたりまえになることを図っていた」と、04年の「九条の会」結成について記しています。
本書の舞台は、加藤さんが少年のころから夏を過ごしていた信州浅間山麓の追分村(現軽井沢町追分)。
ここで出会った多くの人々との愉(たの)しい交わりが語られます。登場するのは61人。
時にはこの地にゆかりの島崎藤村や佐久間象山との「会話」を楽しんだり、「平家物語」が描く巴御前も登場します。
ともかく、これだけの豊かな交友を回顧しながら、今と未来を見据えて語ることができる人生を私も創りたい。