旅人

「Ｘファイル」シーズン５、第15話のタイトルです。
今回の「Ｘファイル」は、舞台がいつもと少し違っています。




物語は
1990年ウィスコンシン州カレドニアから始まります。

廃屋と見紛うような一軒の家の前に、保安官の車が止まります。
その家に住む、エドワード・スカーという老人が再三の立退き勧告にも応じなかったため、
家主が保安官を連れて、彼のもとを訪れたのでした。
二人はその家の浴槽でミイラと化した遺体を発見します。
エドワード・スカーは保安官を襲って、足を撃たれ、階段から落ちました。
そして、「モルダー、モルダー」という言葉を残して死亡しました。




まだＦＢＩに入っていなかったフォックス・モルダーが一人の老人を訪れます。
彼の名はアーサー・デールズ。
かつて特別捜査官で、連続殺人犯のエドワード・スカーの捜査をしていた人物でした。

モルダーは「行動科学課で分析官をしている者」と名乗り、
「Ｘ－５２５６５２」と番号が付けられたファイルを見せます。
「Ｘファイルか・・・あんたは知っているのか？」
「未解決事件のファイルのことですよね」
モルダーは答えます。
「未解決とみなされた事件のファイルのことだよ」

モルダーはスカーのことを話します。先週、死んだ、と。
「死んだのなら、私に用は無いだろう」と追い返そうとするデールズに
「僕はモルダーと言います」
とモルダーは名乗ります。デールズの顔色がかわります。
「ご存知ですよね？　スカーも知っていたんです。なぜ？」

デールズは40年代、50年代にアメリカで行われた「赤狩り」のことを話します。
「何も得られなかった。そもそもの目的が、なにかを得ることではなかったんだ」
謎の言葉をモルダーに投げかけ、デールズはトビラを閉ざしてしまいます。




1950年代のＴＶニュースのビデオを見ていたモルダーは、そこに自分の父親が映っているのを発見します。

翌朝、コーヒーを持って再びデールズの元を訪れるモルダー。
追い返そうとするデールズですが、なんとかモルダーは彼の家に入り、彼から話を聞くことができました。

エドワード・スカーも、モルダーの父親も国務省の職員でした。
スカーは連続殺人犯となりました。
スカーの殺害方法は、内臓や血管など、柔らかい組織を皮膚を傷つけずに全て抜き取る、という不可解な方法でした。





１９５２年。
デールズと相棒のマイケルは、自宅にいたスカーを、家族の目の前で逮捕します。
その取調べの最中、スカーは首を吊って自殺してしまいます。
その訃報を家族に伝えるため、自宅前でためらっているデールズの目の前に、スカーが現れます。
スカーを追いかけるデールズですが、逆に襲われ、殺されかけます。デールズはスカーの口の中から巨大な蜘蛛の足のようなものがでてくるのを目撃します。
あわや、という所で近所の住人の大声でスカーは逃げ出し、デールズは一命をとりとめます。

その事件の報告書を書いたデールズですが、相棒のマイケルが「スカーの名前を消せ」と言ってきます。
マイケルはスカーの死んでいる写真をデールズに見せます。デールズがスカーに会った２時間前に写された写真でした。
デールズは司法省に呼び出され、報告書からスカーの名を消すように命じられます。
「納得できません」というデールズに
「納得なんて必要ない。命令に従えばいいんだ」という役人。

ドイツ人の医師が、スカーの方法で殺されているのが発見されました。
現場を検証していたデールズの前に国務省の役人がやってきて、医師の遺体を持ち帰ってしまいます。

その現場で、デールズは「一人で来い」というメッセージを書いた紙を拾います。
指定された場所に向かったデールズ。
そこにいたのは国務省の役人で名前は「モルダー」と名乗りました。

モルダーはデールズの身に危機が迫っていることを伝えます。
ドイツ人の医師にも伝えようとしたが、間に合わなかったと、彼はいいました。
しかし、二人が話している間に、デールズの相棒の身に危機が迫っていました。




この事件には政府が深く関わっていました。
政府関係者がデールズにこういう場面があります。
「勝つために真実を国民に知らせてはならない場合もある」

この時代はソビエト連邦との冷戦が続いていたんですね。






このエピソードの中で「Ｘファイル」のいわれが語られます。
未解決と思われる事件のファイルを、女性職員が「Ｘ」に分類したのがはじまりだったのです。
なぜ「Ｘ」なのか。
それは「Ｘ」のファイル庫が空いていたから。ほかのは一杯だった。
それだけの理由だったようです。

事務職員とデールズの以下のような会話があります。
「未解決事件はＸに分類しているんです」
「なぜ未解決事件だとＸなんだね？」
「ほかのアルファベットは満杯で。Ｘは空いてるから」
「未解決って誰が決めるんだ？」
「長官室の方で。いわば、お蔵入りですよね。誰も読まない訳ですけど、見るとおもしろいですよ」

そして、こんな会話も。

「どうやって医者を殺したんだ？」
「だからＸファイルなんです。わからないから」

これが「Ｘファイル」の出発点だったようです。

※ラインは [シリコンカフェ]のフリー素材を使用させていただきました。