『ミュンヘン』を観た。
連綿と続く争い、復讐。
ずっと昔から今もなお、人間が繰り返してきた愚かな行為。
やられたらやり返すでは、永遠に解決しない。
なんて、こんな恵まれた環境の平和な日本に暮らしている自分が簡単に
言っていいのか…。
でも、本当の平和って?報復や殺し合いからは何も生まれないよーっ。
スティーヴン・スピルバーグ監督が、実際にあったミュンヘンオリンピックで
起きたイスラエル人選手殺害事件を映画化したこの作品。
事の起こりは・・・
1972年9月5日未明。西ドイツのミュンヘンでオリンピック開催中に、
パレスチナゲリラ“ブラック・セプテンバー/黒い九月”が選手村に侵入し、
イスラエル人選手、コーチなど11人が殺害される事件が起こった。
それに対してイスラエル機密情報機関「モサド」が下した決断は報復だった。
暗殺チームが編成され、リーダーに選ばれたのは組織の一員のアブナー。
今までに人を殺したことも無く、現在妊娠7ヶ月の妻がいる。国のための
この極秘任務を引き受ければ、祖国から存在は抹消され、家族にさえ任務の
事情は話せず・・・でも、属するからには断ることも出来ない。
そして、「正義」、「祖国」のために引き受け、ヨーロッパへ渡る。
この、生まれてくる子供を楽しみにしている普通の男性が、暗殺チームの
リーダーに任命されてテロリストたち11人を一人一人殺していく・・・。
それが淡々と描かれる。
だけど、ものすごくリアル。
祖国のため、民族や宗教をかけての殺し合い?それは、こんな平凡な男性を
暗殺者にしてしまうのか。
スリル&緊迫感の2時間半だった。
で、妙にリアルで生々しかった・・・。
と言うのも、よくあるスパイ映画のようにスマートに次々と標的を殺していく
のではなく、ここに登場するモサドの報復チームはみんな普通の人っぽい。
そう、生身の人間なんだなぁと思わせる。殺しのプロとは対極の人にみえる。
だから、殺すという行為に慣れない。チームの仲間が殺されたら復讐してしまう。
(そのことに後で、復讐の無意味さによけい虚しくなるんだけど)
最初の一人を殺すとき、実は私は劇場にもかかわらず、悲鳴を上げてしまった。
それでも、だんだん殺すことへの感覚が薄れていくアブナー。
さらには、次第に自分たちが狙われていき、仲間を殺される。猜疑心で夜も
ゆっくり眠ることも出来なくなる。
そして、サイトにもあるように・・・
‘私たちは正しいのか?
果たしてこの任務に終わりはあるのか?
そして、愛する家族との安らぎの日々は待っているのだろうか・・・。’
と葛藤がはじまる。
ラストに世界貿易センタービルが映し出されるシーンは、監督のメッセージ?
アブナー目線で描かれているし、ミュンヘンオリンピックの事件は確かに
被害者なイスラエルだけど、報復することで、加害者にもなっている。
人を殺したことのない普通の人間がひとたび殺人に手を染め、そして訪れる
不安、苦悩、葛藤・・・
最後には報復は何の意味もない、そしてそれでは永遠に解決しないことに
気がつく。
この映画を観るまで、この事件のことも知らなかった自分。
世界中で、いまも同じようなことが起こっているのかなぁ・・・。
いろいろ考えさせられた。
そういえば、この当時の雰囲気?髪型や服装とかリアルでは知らないけど
懐かしい感じ。
参考文献:
『標的は11人―モサド暗殺チームの記録』
今は本名を変えて米国に住む、元暗殺隊長の告白に基づく凄絶な復讐の記録。
連綿と続く争い、復讐。
ずっと昔から今もなお、人間が繰り返してきた愚かな行為。
やられたらやり返すでは、永遠に解決しない。
なんて、こんな恵まれた環境の平和な日本に暮らしている自分が簡単に
言っていいのか…。
でも、本当の平和って?報復や殺し合いからは何も生まれないよーっ。
スティーヴン・スピルバーグ監督が、実際にあったミュンヘンオリンピックで
起きたイスラエル人選手殺害事件を映画化したこの作品。
事の起こりは・・・
1972年9月5日未明。西ドイツのミュンヘンでオリンピック開催中に、
パレスチナゲリラ“ブラック・セプテンバー/黒い九月”が選手村に侵入し、
イスラエル人選手、コーチなど11人が殺害される事件が起こった。
それに対してイスラエル機密情報機関「モサド」が下した決断は報復だった。
暗殺チームが編成され、リーダーに選ばれたのは組織の一員のアブナー。
今までに人を殺したことも無く、現在妊娠7ヶ月の妻がいる。国のための
この極秘任務を引き受ければ、祖国から存在は抹消され、家族にさえ任務の
事情は話せず・・・でも、属するからには断ることも出来ない。
そして、「正義」、「祖国」のために引き受け、ヨーロッパへ渡る。
この、生まれてくる子供を楽しみにしている普通の男性が、暗殺チームの
リーダーに任命されてテロリストたち11人を一人一人殺していく・・・。
それが淡々と描かれる。
だけど、ものすごくリアル。
祖国のため、民族や宗教をかけての殺し合い?それは、こんな平凡な男性を
暗殺者にしてしまうのか。
スリル&緊迫感の2時間半だった。
で、妙にリアルで生々しかった・・・。
と言うのも、よくあるスパイ映画のようにスマートに次々と標的を殺していく
のではなく、ここに登場するモサドの報復チームはみんな普通の人っぽい。
そう、生身の人間なんだなぁと思わせる。殺しのプロとは対極の人にみえる。
だから、殺すという行為に慣れない。チームの仲間が殺されたら復讐してしまう。
(そのことに後で、復讐の無意味さによけい虚しくなるんだけど)
最初の一人を殺すとき、実は私は劇場にもかかわらず、悲鳴を上げてしまった。
それでも、だんだん殺すことへの感覚が薄れていくアブナー。
さらには、次第に自分たちが狙われていき、仲間を殺される。猜疑心で夜も
ゆっくり眠ることも出来なくなる。
そして、サイトにもあるように・・・
‘私たちは正しいのか?
果たしてこの任務に終わりはあるのか?
そして、愛する家族との安らぎの日々は待っているのだろうか・・・。’
と葛藤がはじまる。
ラストに世界貿易センタービルが映し出されるシーンは、監督のメッセージ?
アブナー目線で描かれているし、ミュンヘンオリンピックの事件は確かに
被害者なイスラエルだけど、報復することで、加害者にもなっている。
人を殺したことのない普通の人間がひとたび殺人に手を染め、そして訪れる
不安、苦悩、葛藤・・・
最後には報復は何の意味もない、そしてそれでは永遠に解決しないことに
気がつく。
この映画を観るまで、この事件のことも知らなかった自分。
世界中で、いまも同じようなことが起こっているのかなぁ・・・。
いろいろ考えさせられた。
そういえば、この当時の雰囲気?髪型や服装とかリアルでは知らないけど
懐かしい感じ。
参考文献:
『標的は11人―モサド暗殺チームの記録』
今は本名を変えて米国に住む、元暗殺隊長の告白に基づく凄絶な復讐の記録。
平和ボケの国に住み、民族的な問題も宗教的な問題も深く考えたことのない私たちに言う権利があるかどうかは分かりませんが、それでも「報復からは何も生まれない!」ということを強く言いたいですよね。
あの時代を覚えているものですが、髪型といい洋服といいまさにあの当時はああいうファッションでしたよ~(笑)
残虐描写等が本当に生々しくてリアル。思わず顔をしかめてしまう箇所があったりとしますが、リアルに描く事で報復がもたらす悲劇性などを観客に強く訴えかけるようにしてるのでは?と自分は思ってしまいますね。
>平和ボケの国に住み
そうですよね、世界中にはまだほんの少年の頃から兵士となる子もいるのに・・・一般のただ平凡に暮らしたいだけの人間を犠牲にしてまで繰り返される報復。虚しいですよね。民族や宗教なども複雑に絡んで簡単には割切れないことかもしれませんが、平和の定義も考え方もそれぞれかもしれないけれど、でもやっぱり報復を繰り返しても解決はないですよね。
さりげに、食事とファッションでこの緊迫感から一時開放されました。
>リアルに描く事で報復がもたらす悲劇性などを観客に強く訴えかけるようにしてる・・・
↑なるほど、おっしゃるとおりですね。対してアブナーが訓練をつんだプロじゃないところが、更にそれを浮き彫りにしてるようにも感じました。
本当に、いろいろ考えさせられる作品でした。
いつもありがとうございます。
>遠い国のニュースを新聞で読む・ニュースで見る感覚に近いのかもしれない・・・
あまりにも淡々と描かれていたので、でもそれが私には妙にリアルで、おかげであっという間の160分でした。でも、同じくどっと疲れました。