A Diary

本と音楽についてのメモ

たまには英語の訓練を

2006-01-11 16:16:06 | 日々のこと
日頃から「スタッフ」という言葉が気になる。

もし何かの案内に、たとえばお店やイベントなどの案内に、こう書いてあったとしよう:
『ご不明な点はお近くのスタッフまでお申し付けください』
本当に何か疑問なことがあったりして、あなたがその「スタッフ」に話しかけるのは何人だろうか?もちろん一気に何人もの人には声をかけられないから、きっと大勢いるスタッフ、少なくとも何人かいるスタッフの中の一人に質問することになるだろう。つまり、この場合のスタッフは一人の人間を指している印象がある。

次にもし、あなたが会社や何かの組織のリーダーで、外部者から「あなたの部署のスタッフはどのくらい技術を習得していますか」と質問されたとする。そのとき、場合によってはこんなふうに答えることもあるだろう:
『技術の習熟度はスタッフによってばらつきがあります』
こんなときに使う「スタッフ」という言葉も、メンバーの集団という集合体の意味ではなく、個々のメンバー一人ひとりを指し示しているような印象になる。

上の例で考えてみたように、日本語で「スタッフ」と言う場合、「ある組織のメンバーの集団」を意味する場合と同時に、そのメンバー個々人を指し示しているようなケースもある。そう、だから僕は間違って複数形で言いそうになるわけだ。ところが、英語ではstaffsと複数形にするのは基本的におかしい。

具体的には、たまに外国人の同僚や上司が職場を訪れるときがあって(一応外資系なので)、そのとき自分の部署を説明しようとしてstaffsと言いそうになる。「うちのスタッフは・・・」と説明しようとすると「Our staffs...」と言いかけてしまうのだ。気をつけてはいるけど、いつもけっこう何も考えずお気楽にしゃべってしまうので(正しい文法で・・・と思っていると何も話せなくなる)、実際には気づかずにたくさん間違っていると思われる。ところで、もし本当に「うちのスタッフは・・・」と言いたいのならば、実は「We...」もしくは「They...」で十分だと思う。

この「staffs」が間違いであるということは、ロンドンで知った。学校でも教えてくれているのかもしれないが、「受験」という目的のための勉強は、いったん目的を達成すると忘れるのも早い。ちなみに、
「The staff in the shop are friendly.」と言うべきであって、
「The staff in the shop is friendly.」ではないということも教わった。
まあ、実際にはコミュニケーションという観点から言えば、どちらでも理解してもらえると思う。英語は母語ではないのだから、このくらいのミスは勘弁してほしいところだ。

この「staff」と同じような使われ方をする単語はあと二つ、「police」と「people」がある。そういわれてみると、確かに「people」の後ろには複数形の動詞がくると教わったような気がする・・・もうかなり昔の話だ。見た目は単数形みたいなのに複数扱いになるとか、あれやこれや。

個人的な英語の苦手ポイントは3つある。
①動詞句(phrasal verb)
②前置詞
③単数・複数の考え方

まず①だが、これは結局慣用表現なので、ひたすら覚えていくしかない。「put up」「take up」「draw up」「mix up」「own up」「go up」・・・。この大変さは日本語だって同じ。たとえば「腰を掛ける」「腰を据える」「腰を折る」「腰を低くする」「腰が砕ける」・・・みんな文字通りの意味ではなく慣用表現になっている。母国語だと無意識のうちに身につけてしまっただけのこと。

②だけれども、これも大変。さきほど「The staff in the shop...」と書いたが、こちらのほうが「The staff of the shop...」よりも自然に感じられる気がする。どうしてだろう。INという前置詞はどういう意味で・・・とか、OFと言う前置詞はどういう意味あいで・・・とか、そういう「知識」としては理解しているのだけれども、感覚としてぱっと出てこない。体で覚えてないわけだ。僕がささやかながら気をつけている点は、日本語の「の」という助詞を、単純に前置詞「of」にしてはいけないということ。とくに場所を示すときに間違いやすい。(「マンチェスターは英国の都市です」→「Manchester is a city in England.」)

③は今日の「staff」のような問題。これもまた、知識としてはわかっていても、センスを体得しなければならないポイント。日本語には名詞にも動詞にも複数形がないので、そういう文法的「数」の意識がすぐには出てこない。

こういう上記の課題点に比べれば「仮定法」なんて易しい文法だ。一度ルール覚えれば、その後はそのパターンを応用していくだけ。単語もそうだけど、動詞句やイディオムのようにひたすら暗記が必要なものや、前置詞や数の考え方みたいに、体でセンスを身につけるもののほうが実際には大変。

最後に、ロンドンの英語学校にて僕のこういう弱点を相談したところ、先生から「じゃあ、こういうテキストで勉強してみたら」と勧められたのが以下の問題集。余計なお世話とは思いますが、もしご関心のある方がいたら、見てみてください。もちろんすべて今でも我が家にあるのですが・・・残念ながら冬眠中です。いつかまた練習しないと、と思いつつ。

☆動詞句について
Goodale, Michael.
Collins COBUILD Phrasal Verbs Workbook (Collins Cobuild Dictionaries):
HarperCollins Publishers, 1993.


Flower, John.
Phrasal Verb Organiser: With Mini-Dictionary:
Language Teaching Publications, 1993.


☆前置詞について
Keane, L. L.
Practise Your Prepositions:
Longman, 1990.


☆語彙について
Thomas, B. J.
Advanced Vocabulary and Idiom:
Thomas Nelson and Sons, 1989.


☆発音について
Baker, Ann.
Ship or Sheep an Intermediate Pronunciation: An Intermediate Pronunciation Course (2nd edition):
Cambridge University Press, 1981.


☆文法全般
Hewings, Martin.
Advanced Grammar in Use:
Cambridge University Press, 1999.