A Diary

本と音楽についてのメモ

安全の代償

2006-01-31 03:06:11 | 日々のこと
●行きは約12時間。帰りは約13時間。長時間の飛行機旅行は本当にしんどい。この時間は成田-ニューアーク間だから、まだ目的地には到達しない。さらにオーランドまでは3時間の空の旅。なんだか、その日一日は何時間起きているんだろうという状態になる。いつも思うのだが、飛行機の中で寝られる人が羨ましい。あるいは僕も、脱エコノミークラスを目指すべきだろうか。しかし、その道のりはオーランド以上に果てしなく遠いように思われる。

●出発前に自宅へ届いた旅行会社からの書類の一枚には、次のような告知があった:
「米国連邦航空省交通保安局は、保安対策としてアメリカ合衆国へ到着されるお客様に対し、受託手荷物(預け荷物)の検査を強化しており、施錠の有無に拘わらず、米国内全ての空港において無作為に開錠検査を実施しております。・・・スーツケース等の受託手荷物(預け荷物)は、施錠しない様にご協力をお願い致します。施錠されている場合、鍵を破壊して検査を行う場合があります」
僕のスーツケースはもう12年くらい使われているもので、さすがにちょっとがたついてきていて、蓋が簡単に開きやすいような気がしている。だから、開いてしまわない安全装置として施錠したかったのだが、まあ、仕方ない。勝手に開かないよう、祈るのみ。その祈りが通じたのか定かではないが(宗教心ゼロなので)、結果的には無事に旅行を終えることができた。しかし毎回こういう心配をするのは嫌だし、どこに行くにも使ってきた小ぶりで愛着のあるスーツケースだけど、そろそろ買い替え時なのかもしれない。

●前回アメリカを訪れたのは約4年前で、もちろん既にテロの後ではあったが、今回のように身体検査は厳しくなかったような気がする。覚えていないだけだろうか。日本で飛行機に乗るときに比べて、若干厳重だ。ニューアークの空港でも、オーランドの空港でも飛行機の搭乗前、いわゆる「エアサイド」に入る前に手荷物と金属探知機の検査があるが、金属探知機では上着(コートを着ていた)と靴(スニーカー)を脱ぐよう指示された。言われてみれば、厚底の靴のかかとに危険物を隠していた、なんて話を聞いた記憶があるような、ないような。この観点からすると、一昔前、日本の局所的な地域及び年齢層に流行した厚底サンダルなるものは、非常に怪しまれるに違いない。ともあれ、みんな金属探知機のゲートの下を、靴を脱いだ靴下姿でぺたぺた歩いている。

●入国審査でのこと。質問はいつものパターン。何しに来たのか、何日滞在するのか。僕には何回目の渡米か質問されたが、「a few timesだと思う」といい加減に答えて済ませてしまう(実際には4度目)。そして噂に聞いていた例の指紋押捺と顔写真の撮影。入国審査のカウンターの上に、ちょっとした四角の台があって、そこに指を載せてと指示される。その後、マイクのように伸びてきている小さいカメラを見るように言われて顔の撮影。おととし全ての一般旅行者の指紋押捺と顔写真の撮影を義務づけると米政府が発表したとき「絶対にアメリカに行くもんか」と思ったものだが、もはややむを得まい。万事休す。ということで、僕の指紋が唯一正式に保管されているのは米政府だけ。日本の警察当局のみなさん、僕に何か不審な点があったら、米政府に指紋を照会するように!

●しかし、人を犯罪者扱いするような、一歩間違えると人権侵害とも思われるようなこの指紋押捺制度だが、日本に居住する外国人にも義務づけられていたのを忘れてはいけないだろう。だから米政府ばかりを非難するのは酷なのかもしれない。また、アメリカ人は指紋を取られることに、そんなに神経質ではないのかもしれない。今回のディズニーワールドだが、四つある各テーマパークの入場ゲートには指紋判別機(らしきもの)が付いていて、それに指を乗せないと入場できないようになっている。まず入場券を差込み、そのあと、右手の中指と人差し指を機械に差し入れ、それからゲートが開くしくみ。これを日本のディズニーランドでやったらどうなるだろう。みんな「安全のため」なら納得するのだろうか。考えようによっては、入場の際の手荷物検査だって失礼な話かもしれないのに(これは確か日本でもやっている)。安全の代償というところか。

●ということで、帰国しました。しばらく旅行ネタが続くと思いますが、あしからず。よろしくどうぞ。