怠惰なひな菊

漫画家・萩原玲二(はぎわられいじ)の怠惰なブログ(2006~2019)

ハウル・オーヴァドライヴ3

2006-03-03 00:20:59 | アニメーション


黒沢清作品の、一般的な評価は「わかりにくい」───だろう。

ある程度、映画史とやらに精通している者、あるいは蓮實重彦氏の映画評論のファンである者なら、『CURE』〔1997〕にしろ、『ニンゲン合格』〔1999〕にしろ、『ドッペルゲンガー』〔2003〕にしろ、こんなわかりやすい作品群はないと思うが、一般のお客からすればやっぱり「わかりにくい」。
しかしそれは、黒沢清監督の未必の故意というか、信条による“必然的わかりにくさ”であって、“偶然的わかりにくさ”ではない。

エンターテインメントとしてつくられ、大ヒットした映画で、そんな“偶然的わかりにくさ”をもった作品をおれは『ハウルの動く城』と、ハワード・ホークスの『三つ数えろ』〔1946〕しか知らない。
どちらの作品も、他意はなく、つくってるうちにいつの間にかわかりにくくなってしまったという点で、稀有の不思議ちゃん映画だと思う。

『三つ数えろ』は、ある登場人物が誰によって殺害されたのか説明されない(!)、前代未聞の映画である。
間違いなく、一度観ただけでは、何が何だかさっぱりわからない(笑)。

奇遇にも、『ハウル』の英語版で荒地の魔女を演じたローレン・バコールが、旦那のハンフリー・ボガート(フィリップ・マーロウ役)と主演している。

ホークスは後年『三つ数えろ』をTVで観て、「ストーリーについていけない。全く混乱させられる」と逆ギレコメントを残しているが(爆笑)、将来、宮崎駿監督も『ハウル』に対して同じことをいうのではないか?───と、わたくし一人妄想し、にやにやしております。



ここでホークスの言葉を───
「物事に何の説明も本当のところ必要はない」

つづく。



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