マキノ病院小児科ブログ

小児科からのお知らせです

肺炎球菌/肺炎球菌ワクチン

2010年01月28日 | ワクチン その他
このところ質問される機会が増えてきたのでちょっとお話してみます。

肺炎球菌とは?

子どもの細菌感染症の原因菌の中で肺炎球菌が最も多い細菌です。
肺炎や中耳炎を起こします。
そしてヒブと同じく髄膜炎の原因菌でもあります。
菌血症や敗血症の代表的原因菌ともなります。

肺炎球菌は本当にそこらへんにいる細菌です。
健康な小児の20~40%くらいが保菌状態(症状ないけど持っている)とされます。
保育園などの集団保育だと60%くらいの乳幼児が保菌していてもおかしくないとか。

91種類もの型(タイプ)があるそうで、色々な型に何度も何度も感染します。
重症感染を起こしやすい型やそうでない型などそれぞれ違いがあるとか。
それほど強い型でなくとも、本人の免疫が低下した状態などでは当然重症化する可能性もありますね。
ウィルス性の風邪をひいて長引いているうちに、二次感染と言って肺炎球菌にも感染し、
結果として肺炎になるということもあるわけです。

薬剤耐性菌(薬が効きにくい)が増えており、特に中耳炎がなかなか治らないなど問題となります。
肺炎や敗血症、あるいは髄膜炎で薬が効きにくいとなると大変困ったことになります。

これまで成人用の肺炎球菌ワクチンはあったのですが、
小児にはあまり効果の期待できないワクチンでした。
2009年10月に日本でもようやく小児用の肺炎球菌ワクチンが承認され、
この春にも接種ができるようになるそうです(具体的にはまだ未定)。

このワクチンの効果でおもしろいと表現するのはちょっと語弊があるかもしれませんが、
ワクチンを接種していない兄弟やお年寄りの肺炎球菌感染までも減らすという事実があります。
乳幼児が細菌の主な運び屋さんになっているから、感染源を断つということですね。

基本はヒブワクチンと同じく生後2ヶ月から接種ですが、2歳までは特に接種がお勧めかと。
5歳くらいまでは十二分に価値があるのではないでしょうか。
中耳炎をしつこく繰り返すなどあれば、5歳を越えていても問題ないかもしれませんね。

接種開始と同時に例によってうちのチビたちが実験台になってくれるそうです。
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