H's monologue

動き始めた未来の地図は君の中にある

使命の道に怖れなく どれほどの闇が覆い尽くそうと
信じた道を歩こう

Taroの”別解”

2024-04-20 | 臨床研修


献本御礼。志水太郎先生がNEJMのClinical Problem Solvingのケースを独自に論じた本です。

 

先生と初めて出会ったのはもう随分前のことですが,そのときのことは強烈に印象に残っています。

ずっとお手伝いをしている腎臓学会主催の『臨床研修医のための腎臓セミナー』の会場でした。当時,市立堺病院の専攻医だった志水先生が,休憩時間に彼の方から話しかけてくれたのがきっかけでした。

話をして何より驚いたのは,「将来どんな目標なの?」といった質問をしたときの太郎先生の返答でした。普通は専攻医の年代だと「何でも診れる内科医になりたい」とか「自分の目標とする専門医になりたい」くらいのことを答えそうなものです。(自分もたぶんそうでしたから)

でも彼がその時にはっきりと言葉にしたのは次のようなことでした。

  「世界に通用する医師を育てる医学校を作ることです」

これにはびっくりしました。少なくとも卒後数年の若者が言葉にすることではありません。でも彼はまっすぐに気負いもなくその言葉を発していました。そのことにまず驚かされました。

以来,何年が経ったでしょうか。これまで先生が異動されたことを伝え聞くたびに彼の言葉を思い出して,着々と目標に向かっているんだなと感じていました。そして今や獨協医科大学総合診療科の主任教授として後進を育てておられます。専攻医の頃に明確に言葉にした目標を実行しているわけです。本当に凄いことだなあと改めて思います。

 

この本を送ってもらって,ふと思い出して確かどこかにあったはず・・と本棚を調べると,出てきました。出会った当時に先生が送ってくれたお手製のマニュアルです。もらった当時すでに老眼が始まってきたオッサンには読むのがキビシイ(笑)。細かな文字でぎっしりと,後輩への教育の情熱が詰まっています。そして,その情熱が今回の著作にも引き継がれています。

 

まだ読み始めて半分ほどですが,いや凄いな・・と思います。これを機会に『診断戦略』ももう一度読み直そうと思います。そういえば,ここ10年位は「先生のロールモデルは誰ですか」と聞かれたら「最近の若い人たちです」と答えることにしています。自分よりも二世代くらい若い年代の先生達が,素晴らしい著作を生み出しています。そんな凄い人たちの先頭集団を引っ張っている志水太郎先生の新刊です。これは刮目して読むべし!

 

P.S.
内容とはあまり関係ないんですが・・・表紙を見て,てっきり医学書院からの出版だと思ったら南江堂からだったんですね。出版社を越えてデザインを統一させたのは,さすが先生のコダワリでしょうか。カッコいいです。

コメント
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