ごとりん・るーむ映画ぶろぐ

 現在584本の映画のあくまで個人的な感想をアップさせていただいています。ラブコメ、ホラー、歴史映画が好きです【^_^】

300(スリー・ハンドレッド)(ザック・スナイダー監督)

2008-03-31 | Weblog
キャスト・ジェラルド・バトラー、レナ・ヘディー、デイビッド・ウェナム、ドミニク・ウエスト、ビンセント・リーガン
個人的評価:☆☆☆
コメント:テルモピュライの戦いといえばもう歴史的事実として確定している。映画「ラスト・サムライ」の中でトム・クルーズは明治政府との最後の戦闘の前に武将に扮する渡辺謙に「テルモピュライの戦いって知っているか」と問いかける。もちろん鎖国体制の中で最後の「サムライ」という設定の渡辺謙は知らないのだが、「王も含めて全滅した」といはなって明治政府と侍との戦いに臨んでいく…。この映画では「マトリックス」以上の特殊撮影ということで、ギリシア時代に開発された鉄器による刃物の切れ味をスローモーションで表現。そして青銅による「盾」の進化も映画の中では効果的に取り入れられている。「ギリシア・ローマの盛衰」(講談社)では、前6世紀から「民会」が行政権を確立し、王は軍の最高司令官にすぎなくなった過程を紹介している。映画の中でも王ではあるが、戦争をするかしないかで「民会」と「王」の見解が一致していないケースがでてくるが、これはスパルタ独特の統治体制だったようだ。時代はダレイオス1世のギリシア征服失敗のあと、クセルクセスのギリシア侵攻とスパルタのレオニダス王との戦いを描く…。とはいえやはり映画であるので史実とは多少異なってもビジュアルに「見せる」努力は一貫している。歴史に題材をとったアクション映画だが、下手な近代武器よりも戦闘シーンは激しく描写。また都市国家で成立するギリシアという「国」の特殊な事情と専制君主制度のペルシアとの対比がまたユニークな演出だ。
ストーリー;紀元前480年。ペルシア帝国の侵略が始まり、スパルタは抵抗を決意する。しかしスパルタ国内でもペルシア帝国とひそかに通じているものもおり、レオニダス王は精鋭300人を率いてペルシア軍100万人との戦いにいどむ…。

トランスフォーマー(マイケル・ベイ監督)

2008-03-24 | Weblog
キャスト:シャイア・ラブーフ、タイリース・ギブソン、ジョシュ・デュアメル、ミーガン・フォックス、レイチェル・テイラー、ジョン・ヴォイト、ジョン・タトゥーロ
コメント:予算がなければないなりに、面白い映画を製作してしまうのがプロデューサーの能力の一つかもしれない。超大作のように見えてかなり予算が苦しい映画ではなかったかと推察されるのだが、それをアイデアでこんな面白いSFアクション映画にしてしまうのだからやはりジョン・ブラッケンハイマー凄い。
 世界地図でみると物語の始まる設定がカタールというのもなかなか…。ドーハの悲劇で有名になったペルシア湾岸にある地政学的にも非常に重要な拠点だが、そことアメリカ東海岸が物語が進行するにつれて結びついていく。「世界地図」(成美堂出版)をみるとマクドナルドも7店出店している。反イラクの立場を取ると同時にその歴史には周囲の大国や小国との複雑な外交関係があったものと推察される。そこにいきなり「トランスフォーマー」が「登場」するという設定が面白い。
ストーリー:現在。中東のアメリカ軍の拠点カタールの空軍基地に撃墜されたはずの空軍ヘリ4500Xが16キロ、8キロと接近しているのが発見された。空軍基地のシャープ大佐は軍事ヘリに着陸を命令するが…。一方、アメリカ東海岸の高校生サム・ウイットウイッキーは車を購入するために1897年に北極を探検した曽祖父のアーチボルト・ウイットウイッキーについて調べ学習の結果をレポート。なんとかAをもぎとってボリビア・オートセールズ(中古車販売店)で中古車を購入する。この中古車で憧れの女性ミカエラとデートするのが目標だ。店主がいった「人と機械の神秘的な絆」を言う言葉を半ば信じたからかもしれない。さらに同時期、国防長官ジョン・ケラーは軍事ネットワークを狙った新たな攻撃に頭を悩ませていた。暗号分析官を一堂に集め、謎の信号の解読を命じる。同時にアラビア湾と黄海にアメリカ海軍を出動。ファイアウォールを10秒で突破した謎の「敵」は、スパイダーボット型のウイルスをばらまきつつ軍部の中枢部にまで進入してくる。カタール空軍基地からアメリカのネリス空軍基地に帰還したレノックス大佐は、謎の信号音の解読に成功したらしい分析官とともにフーバーダムに向かう。そして物語はフーバーダムで一気に解決するが、解決の後には壮絶な戦闘が彼ら全員を待っていた…。
(NSA)
 国家安全保障局の略称。映画の中で国防長官が分析官をみて「ずいぶん若いのもいるな」「全員優秀です。中には高卒でNSAで就職する者もおります」という台詞をいう。この映画以外にも「メン・イン・ブラック」「エネミー・オブ・アメリカ」「スニーカーズ」などにも登場してくる。国防総省の下部機関ともいえるし、ある意味では国防長官の直轄機関ともみえる。設立は1952年。ただしその存在はかなり長い間は秘密とされていたのは事実のようだ。
(40歳の童貞男)
スティーブ・カレル主演の実際の映画。キャサリン・キーナーも共演。映画の中で「これじゃ、50歳の童貞男になってしまう」という台詞の由来となる映画。
(ローレンシアン海溝)
 海底が細長い溝のような状態になっている場所。日本だと東北地方の沖合いにある日本海溝が有名。深さ6000メートル以下では海溝とはよばれない。「メガトロン」はこの6000メートル以上の深さと寒さの中に「廃棄」されたことになる。もし「2」が作成された場合には、メガトロンを再回収するのかあるいは、別のトランスフォーマーが登場するのかが注目。

デジャブ(トニー・スコット監督)

2008-03-15 | Weblog
キャスト:デンゼル・ワシントン、ヴァル・キルマー、ポーラ・パットン、ジム(ジェーームズ)・カヴィーゼル
 ひさかたぶりにヴァル・キルマーをみて、えらく太った…という印象。FBIの刑事役なのに明らかにメタボな体型になっているのが惜しい。各航空会社の磐石のセキュリティシステムは、映画の舞台を飛行機から国内フェリーに移した。これは成功だと思う。ゆったりと川を下り始める瞬間の大型フェリーの航跡が、犯罪者の悪質さを物語る。空母ニミッツの海軍兵が多数乗船していたという設定の中、ふらっとデンゼル・ワシントンが私服で人ごみの中から現れるのも「らしくて」いい。しかもFBIの捜査官ではなく、同じ連邦捜査官でもATF(酒類・たばこ・火器取締局)という日本ではあまりなじみのない捜査局の刑事役が、「なんでもなさそうで実はすごい刑事」という雰囲気を醸し出す設定。禁酒法の時代には「アンタッチャブル」の捜査官エリオット・ネスらが所属していた捜査機関でもある。アメリカ全土を当然守備範囲としているが、FBIへ「協力する」という色彩が強そうだ。実際映画の中でも捜査の指揮権はすべてFBIが握っているわけだが、デンゼル・ワシントンの演じる役柄から「smart」という評価が下され、捜査班の中心部に次第に移動していく。円形の人間関係のちょうど外側の部分から、次第に次第に中心に入り込んでいく様子は、ちょっとした「落下感覚」をともなっていて見ていて快感でもある。家族を持たない主義の孤独な刑事がどんどん「見えない中心部」へひきずられていく様子。ブラックホールに吸い込まれていってホワイトホールからまた飛び出してきた…といった逆順の感覚で映画のストーリーをなぞっていく。タイトルはデジャブなのに、実はラストまでデジャブが生じないというのも面白い。
 犯人役のジム・カヴィーゼルが「はまり役」で、「ハイクライムズ」「パッション」などで見せた「無表情っぽい演技」がさらに洗練。デンゼル・ワシントンとコントラストをなして映画を動かしていく。ポーラ・パットンもかわいいのだが、デンゼル・ワシントンの「中心部に吸い込まれていく演技」とジム・カヴィーゼルの「一つの場所に固定してしまう無表情な演技」の狭間でなんだか浮いていた感じもする。計画→実行→統制といったPDSサイクルを地でいこうとするジム・カヴィーゼルの場合には、監視カメラや火器そのほかについてもかなり詳細な検討を行う確信犯。この映画の中で一番「科学的」で時系列に生きた役を演じたともいえる。二人の俳優の間にぽっかり浮いてくる女優…にしてはもう少し…
ストーリー:空母ニミッツの海軍兵士らの慰安がニューオリンズのフェリーを借り切って行われることになった。定刻どおりにフェリーは出発するが、突然の大惨事に。ATFのダグ捜査官も出動して現場の分析にあたるが、事故とは思えない証拠類が多々発見される。そして、フェリーの大惨事が発生した川の「上流」で発見された女性の遺体には、別の殺人事件の可能性も浮上した。そこへFBI捜査官グループが密かに開発していた新型の監視カメラを持ち出してくるが…。

カポーティ(ベネット・ミラー監督)

2008-03-09 | Weblog
キャスト:フィリップ・シーモア・ホフマン、キャサリン・キーナー、クリフトン・コリンズ・JR、ブルース・グリーンウッド、マーシャル・ベル、エイミイ・ライアン、クリル・クーパー、カリフトン・コリング、ボブ・バラバン

コメントカポーティと「アラバマ物語」のハーパー・リーが幼馴染というのはこの映画で始めて知った。「冷血」は昔中学生の頃に読んだ記憶があるのだが、格調が高すぎてよくわからないまま…。チェロキー族を母親にもちあまりよろしくない教育環境で育ったペリー・エドワード・スミスを演じたクリフトン・コリンズの表情が素晴らしい。一方・フィリップ・シーモア・ホフマンはこの映画でアカデミー主演男優賞を獲得するわけだが、ちょっともう「ついていけない世界の演技」で、どうしてこういうロバート・デ・ニーロ的な俳優がアカデミー会員の受けがいいのかと不可思議にすら思う。カポーティの動作などをすべてチェックした役作りというが…。どうしても本当のカポーティのように演技しなくてはならないものだろうか、映画って…。それにしても「仕事」が仕事を再生産している当時の模様がうかがえる点ではこの映画は非常に興味深い。取材活動であるから、あれこれ人に会わなければならないが、ハーパー・リーの助けをえつつも、絶妙のスタンスで地元警察の刑事や刑務所に取材に入り込んでいく。過去の仕事をバネにして新しい仕事に取り組むスタイルはやはりカポーティに許された当時の特権なのだろう。映画の中で描かれようとしたのは結局「冷血だったのは、書いたあなた本人もでしょう?」という問いかけともなるという…。アメリカの知識層には非常に受けが良さそうなアプローチだ。

ストーリー:1959年11月。カンザス州の農家でクラッター一家4人が殺害される。「ティファニーで朝食を」で大絶賛をはくしたトルーマン・カポーティはニューヨーク・タイムスの新聞記事に目をとめ、取材にいく。ジョン・ヒューストンやハンフリー・ボガードといった俳優とも交際がある彼だったが地元の人間はなかなか心をひらこうとしない。そして1960年カンザスシティで偽小切手を使用した犯人が二人逮捕される。静かで保守的な社会を背景に、トルーマン・カポーティはノンフィクションノベルという新しいジャンルを切り開こうとしていくが…。

叫(黒澤 清監督)

2008-03-02 | Weblog
キャスト;役所広司、伊原剛史、小西真奈美、オダギリジョー、葉月里緒奈、加瀬亮、平山広之、奥貫薫、中村育二、野村宏伸
コメント: 「cure」「回路」そして学生時代にみていた「地獄の警備員」も含めて黒沢清監督は、独自のスタンスを時代の流れにゆらぐことなく貫く。分類すればおそらくホラー映画ということになるのだろうが、一種のラブストーリーともいえなくはない。エンターテイメントとしての要素も盛り込みつつ、ストーリーにも二重三重の仕掛けが施されている。70年代風の湾岸沿いの安アパートの中で描かれる世界は現実なのか夢なのか。作るわけでもなく壊しているわけでもなくただただ液状化していく脱力感がある意味心地よい。
コリン・ウィルソンの「世界残酷物語 下巻」(青土社)では、退屈感と疎外感を一つの集団殺人の要因としてあげている。この映画はある意味では徹底的に「疎外」された人間とその亡霊による連続殺戮事件だ。徹底的に疎外された人間の妄想が、「映像の一片」のみで結びついた結果、ラストのシーンにつながっていく。「すべてをなしにしたい」という欲望はデジタル社会特有の0か1かの発想にもつながるかもしれない。映画で設定されている15年という月日は、日本にとってはバブルの後始末から平成大不況をへて現在にいたる時間軸だ。混迷した日本社会の中でひたすら疎外されてきた人間が疎外感を快復していく物語。吉岡刑事だけが本当に免責されたのかどうか。「声にならない叫び」がラストで再び画面に現れるのがひたすら怖い。黒沢清監督がまた名作映画を一つ完成させた。キャスティングでは「学校の怪談」シリーズや昔の角川映画「レフト・アローン」などで無垢な青年役や教師役を演じていた野村宏伸が意外な場面で意外なはまり役で出演しているのが注目だ。経済学の分野からではトマス・ホッブズの「リヴァイアサン」から一つ引用させてもらおう。
「自然状態には、芸術もなく、文字もなく、社会もない。なにより恐ろしいのは、無残な死の恐怖と危険が常につきまとうことだ。畜生同然の人間の生は、孤独で貧しく、あさましく、そして短い」(リヴァイアサン)。
ストーリー:再開発が進む湾岸地区で身元不明の死体F-18が発見される。そしてその手口を真似た殺人事件が連続発生。そしてカウンセリングを受け始めた吉岡刑事は、悪夢にうなされる若い交通巡査をみて、自分の記憶をたどりながら、実行犯としての犯人を追跡しつつ、自分の悪夢の原因をも突き止めようとする。身元不明の赤い服を着た女性はなぜ殺害されたのか…。そして数々の証拠が刑事吉岡を容疑者リストに加えようとしていた…。