教務日記

山の小学校の教務主任です。学校の様子をお知らせします。

11月16日(水) 一行詩を味わう

2005年11月17日 | 図書館活動・一行詩

本校では、一行詩(5・7・5音の俳句形の詩)づくりに取り組んでいます。
生活の中の気づきや季節や自然を題材に1年から6年まで年間を通して行っています。
今日は、6年生の人たちの一行詩を読みました。みんなすばらしい出来栄えでした。すごい!
その中で、いくつか心に残ったものを紹介します。
  正三も じっと見つめる 秋の空   S君
この頃、空が青いなあ、と心から思います。
特に朝。そして突き抜けるような青い秋の空は、澄んだ迷いのないものに感じられます。正三は、この青空をどんな気持ちで見ていたのでしょう。
正三は、死について考え、迷い悩んだに違いありません。けれど、「出家しよう」と決心したときはどうだったでしょう。あるいは、「真心こめて力いっぱい取り組むことが人間の幸せ」であるとう考えにたどりついたときどうだったでしょう。
きっと、正三の心は、この青空のように固い決意に満ち溢れ、澄みわたっていたに違いありません。
今、S君は、どんな気持ちでこの詩を作ったのでしょうか。
正三が見たであろう則定の秋の空をじっと見つめ、正三の生き方に思いを馳せています。S君の心は今、正三のように澄みたり固い決意にあふれているのでしょうか。
それとも、S君自身の心が沈んでいて、正三を思い出して自分自身を励ましているのでしょうか。
S君の心を想像してしまいました。
  いちょうの葉 秋風受けて ひとり旅      Mさん
 とんぼたち おしゃべりしたり とまったり   Hさん
Mさんはいちょうの葉が散っていく場面を「ひとり旅」にとらえました。
また、Hさんはとんぼが飛んでいる場面をおしゃべりしているととらえました。
見えているものを自分なりに解釈し、意味付けているところがいいなあ、と思いました。
見ているものは同じでも、そのものをどう意味付けるか、感じるかは無限であり、そこにおもしろさがあり、その人の個性が現れますね。

友達が作った一行詩を読んでいろいろ想像したり、解釈するって楽しいですね。
6年生のみなさんありがとうございました。

職員室でE先生とこれらの句について話をしていたら、
「その場の様子が浮かんでくるものもいいですよ」と言って、前任校で指導した5年生の子の次の句を紹介してくださいました。

 あぜ道に くちなし 白くかがやいいて

まるで、一枚の写真のように鮮やかに情景が浮かんできます。くちなしの花って本当に真っ白ですよね。
私の家にもくちなしがあります。
「輝いて」の言葉に白さが表れています。
この子には本当に「輝いて」みえたことでしょう。
また、読み手に「あぜ道に」と空間をイメージさせておいて「くちなし白く……」と広角からピンポイントにぐっと絞り込むことによって、いっそうくちなしの白さがきわだって伝わってくる気がしました。

一行詩って、いろいろなおもしろさがあるんだ、と思いました。 ①読んだ人の気持ちを想像する。 ②作者の   意味付けを楽しむ。 ③切り取られた場面の美しさわ味わう。 

先生もひとつ、作ってみようかな。

                                       


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