海の物語・・ホームマリンアクアリュウム

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すばらしき和歌山の海 エッセー 第九章 湯浅栖原海岸 ~これこそスタンダードな日本の海~

2016-11-05 06:00:30 | 死滅回遊魚採集

すばらしき和歌山の海 エッセー 第九章 湯浅栖原海岸 〜これこそスタンダードな日本の海〜



江戸時代にみかん販売で紀州に金字塔を打ち立てた紀国屋文左衛門は今の湯浅周辺にその伝統を残し、地域の皆様が継いでいる。みかんを召し上がらない方もいらっしゃるとは思うが奈良に住んでいる私は季節になると有田市の「ありだっこ」まで買いに行く。そろそろミカンのシーズンになるので大変楽しみである。

和歌山県のみかんは日本でも出荷量は1位であり、歴史的に地域の皆様が改良を重ね、作出した名産品である。他府県産と比較してもその甘さと出来栄えの良さは群を抜き、特に有田のみかんは同じ県内の紀北のみかんと比較しても甘く、私の好みから言えばやはり有田のみかんが好きである。基本的にみかんは温暖な所でないと良く育たないという。和歌山の湯浅、有田の周辺は海に近く海も若干黒潮の暖流を受けているので冬は比較的暖かい。

 

和歌山県の橋本市に在住していた知人によると湯浅は温暖で、かつ、大阪方面からは電車の本数も多く大変住みよい街であり、密かに人気が沸騰している町と聞いた。和歌山で現職をリタイヤした人はこの湯浅界隈で住みたいと思う人が多いらしい。関東の湘南地区と比べようがないが、海が内湾で穏やかな風情が漂う雰囲気と、醤油のふるさとでもあり、海岸に沈む夕日を見ると湯浅、有田地区の評価はもっと高くなっても良いと思っている。

 

そこで、今回はみかんの里 湯浅・有田 栖原海岸のことを。


小学校のころ友達が夏休みに「あのな、湯浅の海を水中眼鏡でのぞくとでかい魚がいよった。目の前を一杯泳いで行きよるんや。」と目を輝かせて言っていたのを今になっても覚えており、色々ネットで調べたがこの湯浅の水中映像は実に少なかった。そのためいつか海の中にカメラを入れてやろうと思っていた。

湯浅は紀州で言えば中紀にあたる。まわりは内湾の海岸線に取り巻かれておりプライベートビーチ的な海水浴場もいくつか存在する。ただし前述のように黒潮の影響度は南紀から比較すると少ないのでサンゴ類はないと言って良い。(と思う)

グーグルで見ると湯浅は栖原海岸あたりがきれいで岩浜のような感じになっているのでここで撮影するのが良いかと思った。海岸に「栖原シーサイドハウス」さんというカヤックの専門店でレンタルや海の家も運営しておられるお店があるのでバイクで訪問し海の家としてお世話になった。



お店のご主人に話を聞くと沖合に見える刈藻島までは岸から3kmほどあるという。もっと近いかと思っていたがかなり遠い。しかしカヤックで行けば1時間もかからないらしく機会があればカヤックも乗ってみてくださいと勧められた。カヤックはまたの機会でお願いし今回は水中撮影なのでよろしくというとご主人はにこやかに気に入ったらまた来てくださいとおっしゃった。

さて、岩場の方に出向き水中にエントリーする。


 


海中はサンゴは皆無である。しかしサンゴは通常日本の海にはなのが当たり前であり、これが日本の海のスタンダードである。サンゴはないがホンダワラやウミウチワなどの海藻類は豊富で岩肌にへばりついている。結構透明度は産湯海岸ほどではないが高い方である。


その景観は海の草原のようでサンゴにはない独特の美しさがある。温帯の海の定番である。メジナ、クロダイ、二ザダイ、カゴカキダイ、カサゴ類、イトマキヒトデ、そして流れ着いたチョウチョウウオなども見られ肩の凝らないごく普通の海が広がっていた。



目の前にタコクラゲの赤ちゃんが必死で泳いでいた。タコクラゲは内湾性のクラゲで刺胞毒はない。観賞用としても販売されているが高価なものだ。しかし採ってやろうという気はさらさらなく傘を必死で動かし生きるけなげな姿に感動を受ける。



海岸には同じようにシュノ−リングを楽しむ人々も散見され良くみると銛でタコを捕獲していた。ここは採集して良いところなのかどうかわからなかったのでそのままやり過ごしたがタコなども個体は減少しているだろうから採るのは好ましくないかもしれない。

でも捕獲したタコを塩ゆでして酢につけてキュウリモミにするとさぞかしおいしかろうとうらやましくも思え、今年の冬もみかんが豊作でありますようにと海に祈って帰途についた。


(湯浅栖原海岸の章 終)



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