場末の雑文置き場

好きなことを、好きなときに、好き勝手に書いている自己満ブログ。

「笑傲江湖」の林平之

2014年03月30日 | 小説

大分前に、「笑傲江湖」に出てくる岳霊珊というキャラクターについて書いた。(→「笑傲江湖」の岳霊珊

「岳霊珊」で検索してみたことがあるけど、この記事がかなり上位に来てびっくりした。
うちは過疎ブログだけど、岳霊珊たん萌えの人はもしかしたらこの記事を見たことがあるのかな。

「岳霊珊」で検索する人がまずほとんどいないんだけどな!

というわけで、今回は「笑傲江湖」シリーズ第二弾。林平之のことを書こうと思う。

……岳霊珊よりもっと需要なさそう。

例によって小説版の話。映像化作品のことは知らない。

「笑傲江湖」は、主人公がなかなか出てこない。第一巻だけ読んだら、林平之が主人公のようにしか見えない。
序盤では完全に林平之に感情移入しながら読んでいたので、視点が主人公の令狐冲に移動したあとも、林平之のことがずっと気になっていた。

林平之は金庸作品には珍しい(らしい)中性的な美少年キャラ。そして正義感が強い……はずだった。それが、どうしてあんなに変わってしまったの。
悲しかったよ。岳霊珊と幸せになって欲しかったよ。

作中では、さんざん男を見つめがないと言われていた(ような記憶がある)岳霊珊。
でも、私は岳霊珊の気持ちわかるよ。そりゃあ若いイケメンの方がいいに決まってるじゃない。令狐冲って、岳霊珊よりかなり年上みたいだし。

「笑傲江湖」は一応ハッピーエンドなんだけど、私にとってはあまりハッピーじゃなかったかもしれない。令狐冲や任盈盈よりも、岳霊珊や林平之のほうが好きだったから。

林平之はあんなに一途に思ってくれる岳霊珊を殺したクズ野郎なわけだけど、これ林ちゃんの気持ちになってみると、どうだろう。

両親を失い、信頼していた師匠にも裏切られた。誰も信じられなくなって、絶望していた。結婚する直前に去勢したのだって、悲壮な決意のはずだ。
そして、捻じ曲がってしまってもしょうがないくらいの経験を確かに彼はしているんだよな。

で、岳霊珊のことも信用できなくなっていた。父親とグルになってだましているとしか思えなかったんだろうな。
だから邪険に扱って、殺した。可愛さ余って憎さが百倍。
岳霊珊の本当の気持ちを知っていたら、こんなことにならなかったんじゃないかな。だからといって許されるわけじゃもちろんないけど。

林平之と二人きりで何度も密会してて、最後には結婚までしたのに、岳霊珊は処女のままお亡くなりになった。
もしかして、金庸先生って処女厨?
金庸作品は二作品しか読んでいないけど、日本のヲタクに似たメンタリティを少ーし感じたのでちょっとそう思ってしまった。


ヘンリー8世とエドワード6世

2014年03月25日 | 小説

前の記事で小説「ブーリン家の姉妹」の感想を書いた。
この小説の題材になっているヘンリー8世といえば、6人もの妻をとっかえひっかえして、いらなくなったら処刑したエロ鬼畜王だ。

腹心の部下なんかでも、ちょっと気に入らなくなったらすぐ殺す。
お気に入りだったクロムウェルも殺された。処刑するとき、わざと未経験の処刑人を雇って、苦しんで死なせるようにしたらしいけど、むごい。

強烈に嫌な奴なんだけど、高校生の頃世界史で習って一番インパクトが強かった王様がこのヘンリー8世。嫌いなんだけど気になる存在ではある。

そう言えば、「王子と乞食」の序盤も、ヘンリー8世時代の話だった。
主人公の王子は、3番目の妻ジェーン・シーモアとの間に生まれたエドワード6世。
最初はすごくワガママで嫌な子供なんだけど、宮廷の外の世界を見て変化していく、というお話。そりゃ親父があれじゃあクソガキにもなりますわな。

親切にしてくれた善良そうな一般市民女性が火刑に会うのを主人公が目の当たりにする、というショッキングなシーンもあった。
児童文学と思って甘く見ていたのでダメージでかかった。インパクトが強すぎて今でも忘れられない。

いろいろ経験を積み、人間的に成長して戻ってきたエドワードが立派な王になる、というところで物語は幕を閉じる。
ハッピーエンドに見えるけど、史実のエドワード6世は15歳くらいで早世してしまうことを知って、なんだか悲しい気持ちになったのを覚えてる。


「ブーリン家の姉妹」感想

2014年03月24日 | 小説

フィリッパ・グレゴリーの「ブーリン家の姉妹」を読んだ。

アン・ブーリンは割と嫌な女として描かれているけど、私はこのアン、嫌いじゃない。というより好きかもしれない。
アンはとても頭が良くて気性が激しくて、男性に従順ではない女性だ。意地悪で狡猾なんだけど、虚勢を張りながらも苦悩しているさまがものすごく伝わってくるし、彼女の末路を知っているだけに哀れさのほうが勝る。

それよりも、ヘンリー8世に本気で嫌悪感が湧いた。あまりにも自己中で。
でも、この描写でもまだ控え目なほうかもしれない。ヘンリーはかなりたくさんの人を処刑してきたけど、そのことについてはわりとさらっと流してあるから。史実の彼はもっと残虐で嫌な奴だったんじゃないかな。

面白い小説なんだけど、読んでいてだんだんやりきれない気持ちになってくる。結末はアレだし、人間の汚さが嫌というほど描かれていて。家の繁栄のために一族の娘を利用するだけ利用しておいて、立場が危うくなったらポイ捨てする親戚一同とかね。

アンは苦労して苦労して、何年もかかってやっと王妃の座をつかむけど、全く幸せにはなれなかった。それどころか、毎日不安に苛まれ、ストレスを溜める日々が続く。
ことさら偉そうに振る舞ったのも、その憂さ晴らしのためだろう。それでまたどんどん味方を減らしていくという悪循環。

幸せそうな人がほとんど出てこないんだよな。宮廷の人たちは、我侭で傲慢な王のご機嫌取りに終始している。ちょっと機嫌を損ねれば首が飛ぶから日常会話も命懸け。

映画版も見たけど、こっちはヌルかった。登場人物がみんないい人すぎてビックリ(ドロッドロだった原作と比べてのお話)。でも、これはこれで全然別物として楽しめたかな。

長い原作なら、映画版を思い切って別物にするのもアリだと思う。「ハリー・ポッター」なんて、原作に忠実にしようとしすぎて映画的なテンポが失われているように感じたから。

ただし、ドラゴンボールの改変は許せん。


官公庁にはワープアがいっぱい

2014年03月21日 | 政治・社会

役所の受付には、正規の職員なんてほとんどいない。
たとえば、区役所に行って住民票をもらってくるとき、受け付けてくれるのは派遣社員だ。その人の名札をよく見てみるとすぐに分かる。大体は派遣元の名前が書いてあるはずだ。

ほとんどいないっていうのは少し大げさかな。少し複雑な手続きになってくると、正規職員の割合は増えると思う。でも、よく接するのは大概非正規の人だと思っていい。ブラックジョークみたいな話だけど、ハローワークの相談員も非正規だったりするらしいし。
公務員の数が多すぎるなんて大嘘。外部の人間を入れないと回らない状況だ。もちろん、費用を抑えるためにやっているんだろうけど。

こんなことは何を今更、ってくらいの当たり前のことかもしれない。いや、そうでもないのかな。私も以前官公庁で派遣社員をやっていたけど、そのときよく公務員に間違えられていたからな。外部の人は意外と知らないのかも。

役所に派遣されてきている人たちの給料はものすごく低い。最低賃金ギリギリってことも珍しくない。私が役所に派遣されていたときの時給は千円未満。そして、多分この待遇は特別低い方じゃない。ごく標準的なレベル。
私はその頃親元にいたので、生活に困るということはなかった。だけど当時の仕事仲間には、その給料で一人暮らしをしているような人が少なくなかった。官製ワーキングプアというやつだ。

官公庁の仕事は、ニート脱出の第一歩としては悪くないと思う。大量に募集するし、職場見学(という名の面接)もないから、比較的入りやすい。残業が少ないから、資格試験の勉強中の人にもいいかもしれない。基本的には、条件が悪すぎて人には勧められないけど。


私は発達障害かもしれない

2014年03月20日 | その他

最近、自分は発達障害じゃないかと思いはじめた。
発達障害の人の特徴っていうのをいろいろ読んでみると、思い当たることが多すぎて。
元々私は空気読めないし、気が利かないし、コミュ力は著しく低い。もちろん友達も少ない。

たとえば、発達障害の人によくある特徴に、耳からの情報を処理するのが苦手(でも目からの情報処理は問題ない)っていうのがあるらしいけど、私はまさにこれ。
だから授業を聞いていてもあまり頭に入らなかった。教科書や参考書の内容を記憶するのは、むしろ人より得意なくらいだったんだけど。

柔軟性がなくて妙に一つのことにこだわるとか、同時に一つのことしかできないっていうのもあるらしい。それもまさに私の特徴だ。

そしてフラッシュバック。過去の恥ずかしいことを思い出していたたまれなくなることは、よくある。
人の気持ちも、分からない方だと思う。察するってことがまず苦手だし、人が自分に何を期待しているかを理解してその通りに動ける人なんて、私には超能力者に見える。この人私にイライラしてるな、っていうのだけは結構敏感に分かったりする。でもどうしたらイライラさせずに済むかまではわからない。

それでも、昔に比べたら信じられないほど社会に適応できるようになったとは思う。コミュ力の低さや不器用さは隠せなくても、周りから一応「普通の人」として認識されるようにはなったから。

小学生時代は人生で一番辛い時期だった。大人しいのにいろいろとおかしくて悪目立ちして。地味な普通の子になりたかった。人から普通だと思われたかった。

まず挨拶ができなかった。挨拶したい気持ちはある。でも、何故か声を出せなかった。喉の障害とかでもなく。普通の人はきっと、そんな簡単なことがなんでできないのかって、疑問に思うだろうけど。その「出てこない」っていう感覚がまるっきり理解不能だろうけど。

みんなで共同で何かの作業をやるってこともできなかった。明確な役割を与えられないと、どうしていいかわからなくなって、体が固まって。だから掃除の時間も、給食当番も、本当に辛かった。本当は何かしたい。でもできない。それで周りからはただ怠けてる、サボってると思われる。クラスメイトの中から私の「お世話係」が付けられたこともあって、屈辱だった。

これも鮮明に覚えてるんだけど、決まったやり方とちょっとでも違うことをすると、「~しちゃいけないんだよ」とかすぐ言ってくる同級生がいて。それも一人じゃなく。なぜだかわからないけど、それを言われるのがものすごく怖くて、萎縮してしまって。だんだん、何もできない、体が動かない状態になっていった。

期限までに提出しなきゃならない大事なプリントがあったり、イレギュラーなものを持ってこなきゃならなかったりするときも、忘れていしまうことが多かった。授業中にそれについての説明があったりはするんだけど、耳からの情報は処理しきれなくて、右から左に流れていってしまう。それで、期限までに提出しなかったり、必要なものを持って行かなかったりしたことがあとから親にバレて、ものすごく怒られる。

あのときは、自分のこういう感覚を理解できる人なんて誰もいなくて、自分が世界中から拒絶されているような気がした。人に好意を持つのも怖かった。自分がその人に受け入れられるはずがないのが分かってたから。フィクションの登場人物に対してさえ、同じような感じ。だから妄想で自分を受け入れてくれそうな人を作り出して、その世界にずっと逃げていた。人との関わりもだんだん避けるようになって、口もきかなくなった。

もちろんいじめられた。私のすぐ近くで「○○ちゃん(私の名前)って嫌だよね」って言われたりもした。3人くらいに誘われて公園にいったら、私から少し離れたところで、みんなで私の悪口を言っていたりもした。もちろん丸聞こえ。ばい菌扱いもされた。私の触ったものをみんなが意識的に触らないようにしていたり。当時の私は、それがいじめだなんて気付いてもいなかったけど。みんなに嫌われてる自分が悪いって、ずっと自分を責めていた。

学校ももちろん嫌いだったんだけど、家に帰るのも怖かった。いつまた怒られるかって、いつもビクビクしてて。友達のお母さんからの電話で、私がやらなかった課題のことがバレたことがあって、それ以来、家に電話がかかってくるたびにものすごく警戒するようになった。
心から落ち着ける場所は図書館くらいしかなかった。図書館にいれば本もあるし、人と関わらなくても済むし。

自分以外の全員が羨ましかった。本や漫画を読むのは好きだったけど、現代物のフィクションで描かれる人の悩みなんて、自分の悩みに比べればどれもちっぽけなものに思えて腹立たしくなった。自分の障害がもっと他人にわかりやすいものだったら、とつい考えてしまうこともよくあった。目が見えない人はどう頑張っても見えないことはみんな理解できると思う。でも、喋れないわけでもない人が挨拶もできないなんて、どういうことかわからないだろう。
怠けてる、甘えてるってずっと言われ続けたな、あの頃は。

それでも、勉強は比較的できるほうだった。自分をバカにするみんなを見返せる方法が、いい成績を取ることしかなかったから、勉強は頑張った。バカっぽく見られてたから、私のテストの点を見ると、大体みんな驚いていた。

昔、一度だけ脳検査を受けたことがある。小学生くらいの頃。それで、中枢神経の発達が遅れてるって結果が出たらしい。このことはすっかり忘れていたんだけど、最近になって発達障害のことを色々調べるようになってから思い出した。発達障害って中枢神経系の障害らしいので、もしかしたらやっぱりそうなのかもしれない。はっきり発達障害と診断されたわけじゃないから本当のところはわからないけど。