映画「善き人」を観てきた。本当は「マリリン 7日間の恋」を観に行こうとしたのだが、モンローの「美」をオブラートに包んだ何かスパイスの効いていない映画のような気がして、少し骨のある映画をと足が向いてしまった。
以前に「善き人のソナタ」という同じような題名の映画があったが、あれはベルリンの壁崩壊直前の東ドイツの「善き人」の物語だったが、これはナチス・ドイツの台頭し出したドイツでの「善き人」の物語だ。
大学教授のジョンは、病身の老いた母の看病とピアノを弾く事以外、一切何もしない妻の代わりに家事一切と子供たちの世話に奔走する平凡かつ善良な小市民だ。
ところが、自らが執筆した「安楽死」に係る小説がヒトラーの目にとまり、自分自身を取り巻く環境に変化が出てくる。
よりよい生活と出世のため、悩みながらも今まで忌み嫌っていたナチスに入党する。同時にそれはユダヤ人の親友・モーリスとの別れでもあった。
妻・子供とも離別し、母も亡くなり、彼は深い洞察もなく、親衛隊大尉としてユダヤ人の排斥を進めるナチスの日常に流されていく。モーリスの最後の願いー国外脱出も果たしてやれずに・・・モーリスは収容される。
そして、収容所に出向いた彼は、自分の行動の衝撃的な結末に涙する・・・
読売新聞の記者が「彼は善き人というより、意気地なしだ。親友の悲劇に怒りを覚えつつ、彼は何も出来なかった。彼の立場に立ったら僕も同じかもしれないけれど・・・共感できない。ただ苦しいものが残るだけだ」と・・・
同感だ。
勝手評価 ☆☆☆☆
観てきたと言ったら、妻「好きやねえ。その時代が・・・」・・・そんなことはない。その時代の映画が多いだけや。