公文で九年

公文式教室を9年間経営していた学習塾経営者です。
公文教室とはどういうものか私の視点で公開したくなりました。

教室の生徒は、誰の生徒?

2006-08-04 | 現在の教室運営
指導者から言えば、「私の生徒」「うちの教室の生徒」だと思うのですが、
研究会から言わせると「公文の生徒」であり、公文の看板があってこそ、公文の教材があってこその生徒であり、指導者個人の生徒ではない、ということだそうです。
実は、このことも、私が公文教育研究会と縁を切ろうと考え始めた一因となっています。

教室をやっていると、様々な生徒・保護者のニーズに出会います。
学力の向上ということは勿論なのですが、そのために必要なことは本当に千差万別で、
ただ教室を決まった時間に開け、来た生徒に公文のプリントを渡していればいいというようなものではありません。
うちの教室は開設時から保護者の出入りが自由と言うこともあるかもしれませんが、
学校でのいじめ問題からご家庭内でのあれこれ、実に様々なご相談を受けます。
うちの生徒のことですから、できうる限りの対応はします。
確かに、公文の看板をあげていればこそ集まった生徒かもしれませんが、継続学習には
こちらの「うちの生徒」に対するフォローがあってこそ、と思ってきました。
教材の価値だけで公文を続けていけるのであれば、教室設置など必要なく、通信教育ででも
やっていけるわけでしょう?それこそ、Z会のようにでも。
自学自習教材、のはずなのですから。
ところが、実際には、「人の対応」を求めて教室を訪れる場合がほとんどです。
ですから、私にとって公文教材というのは、お預かりする子どもを育てる手段の一つにしか過ぎず、現時点で最良の手段とはいえ、公文の生徒をうちの教室で学習させているというような認識はありませんでした。
これは、大多数の指導者がそう思っているのではないでしょうか。
チラシの折込費も、アシスタントの人件費も会場費も皆、自分の教室持ちなのですから。
生徒が減れば、研究会では勿論、教材の不備のせいではなく、指導者の力量不足であるといってくることからしても・・・・

ところが、研究会では「公文の生徒」である、というわけです。
それがあきらかになったのは、三教室開設の方が、公文式をやめられた時の、事務局内の全指導者に送られたFAXによってでした。
「公文の生徒を私物化し、他の会社へ引き抜き・・・・・生徒は指導者個人の生徒ではなく、
公文教育研究会の生徒である・・・・」
え?なんのこと?
というのが、その文面を読んだときの第一印象でした。
あとから聞いた話では、事務局では局員総出でその先生の生徒の家に電話をし、戸別訪問を重ね、言語道断の所業をしようとしている先生であるから、惑わされること無く新たに近くに公文教室を設置するのでそこで公文の学習を継続して欲しいと伝えて歩いたとのこと。
で、引継ぎ教室のオープンにはたくさんの採点要員や局員をずらりと並べて、
公文を続ける生徒たちの対応に備えたとか。
結果・・・・・引継ぎ教室へはひとりとして生徒は現れず、全員がこれまでどおりの教室で新教材での学習となったそうです。
当たり前でしょ、先生の、指導者の生徒だもの・・・・
現在その先生は、自習式の教材で英国数の三教科の指導とともに、別枠で
英語教室も開設していて、(公文との契約があると、他の塾等はやれないのです)
会社にして経営しておられます。

その後、前述の知人、更にその友人で私も親しくしていただいているご近所の指導者が
公文とのフランチャイズ契約を打ち切り、独自の教室運営へと転換しました。
その際にも生徒宅への電話や戸別訪問、事務局内指導者へのFAX、同じような内容の
非難に満ちた文書が流れました。
その時点で、私の、
「あ~、もう、公文教育研究会とは縁を切る」という気持ちが決定的になったのです。
友人の場合には、なんと、生徒の保護者へ
「入金済みの翌月の会費は払い戻しを先生に要求してください、さもないと、そのお金は
全部先生のものになってしまいます・・・・」とまで連絡が行ったそうな・・・・

ついでに会費の集金関係について書いておくと、会費は、指導者が集金し、その中から
公文へロイヤルティを納め、その残りで諸経費をまかなうというシステムです。
だから、もともと、保護者から指導者への納入ということになります。
集めたお金をどう使うかは、個人事業主である教室経営者の勝手なのです。
再三、書いてきましたように、公文のシステムでは指導者は決して儲けることはできないばかりか、正当な労働対価さえも得られないのではないかと思っています。

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