GNOMESのフイールドノート (絵日記・絵本作りから)

デザイナー(ノーム)のつぶやき、ママチャリ通勤、東南アジアでの活動、ハイキングでの顛末、絵本作り、町会長の独り言など。

ノーム通信216

2014年07月05日 | ノーム通信
夜の訪問

 このところ、夜でも急な大雷雨は当たり前だから、遠出はしたくないのだが、さっき教授から電話があって、会いたいというから、行こうかと言ってしまった。電話を切ってから少々厄介なことだと思ったがどうしようもない、言っちゃったんだから。ちょうど部屋に来ていたアザット青年の家の先だから、帰るついでに一緒に彼の家までリキシャで行って、彼をおろしてから「また明日」と言って更に先に行く。もう真っ暗で、風も出始めた、モスクの前を通り、つき当たりひとつ前の道を右に曲がるあたりで、雨がポツリと来はじめる。もうそんなに遠くはないが、雨は一気に嵐になるから気がせく。リキシャの運転手は、どうせ、ぬれても問題ない腰巻とシャツだけだからいいけど。お客はそう言うわけにもいかないからなー。ようやく、暗い道から道へと抜けて、教授のマンションが見えてほっとした。逃げ切ったわけだ。運転手に25タカ渡して帰す。すぐに電話を入れて門の鍵を開けてもらわなければ。明るい声が聞こえて、ようやく娘さんが鍵を開けに来てくれた。

 まっすぐ書斎に行く。この間アザットと挨拶に来たときは、学生さんが来ていて作業をしていたが、今日はもうゆっくり話そうという態勢で、彼も、シャツに腰巻という普段着。まあ、まあまあと、まずは持参したウイスキーを開ける。始めは足元であそんでいた小さな息子さんも追い払われて、どんなウイスキーがいいかなどの話から、徐々に話は広がってゆく。

 少し前に、今の作業のことなどは話していたから、話は堅いところから少し離れてその周辺に漂い、当たり障りのない、身近な人達の人物評を穏やかにやりとりする。期待している人、心配な人、気になる人、喜び、不満、展望。そして、いろいろな人物とのからみで、今後私たちはどのようになっていくのか、どこを目指していくのか、その先はどうなっていくのかというあたりを、互いに心の奥で鋭く捕らえながら、表面をかすったり、深くえぐったり、わっと沸いたりしながら探り合う言葉のキャッチボールが続いてゆく。外は雨、飲みながらの話である。

 時間がゆっくりと過ぎ、時として昔の話が混じり、未来の話に興奮する。
「ところで・・」
と教授がかわいい笑顔になる。
「さて、さて、何を隠しているのですか?」
とこちらも笑顔になる。
話は、まあ、近くに隠れ家を作りたいというわけだ。
庭園があって、専門にも生かせる池があって、小さな隠れ家があればいい。そうなるともう、二人の少年である。夢はどんどん進み、図は引かれてゆき、ウイスキーは軽くなってゆく。

 結局11時くらいまでお邪魔して、教授とお子さんに見送られてリキシャの人となる。雨が止んで水溜りだらけの暗い道をゆったりと揺られて帰る。ゆられながら、さっき教授が話していた。「日本は自動車以外では目に見える存在感がないのが残念だ」ということを考えていた。そうは思わないんだなー。そんなものは必要ないんではないか。どこもかしこも、メイドインチャイナとコーリアでもいいではないか。そんなわずらわしいものはみんな任せて、人口も減るであろうが、その中で穏やかに、ゆったりと生きていけることのほうが大切ではないか。他から見えなくても、ひとつひとつ、しっかりと堅実にやっていくことのほうが大切ではないか。えらそうに見えなくたっていいんだよ。そんなことを繰り返し考えながら闇の中をリキシャに揺られて帰りました。雨上がりの、いい風の夜ですGNOMES
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