日頃より「入学試験」については,自分なりに考えているのですが,これが一番というものには,なかなか辿り着けません.
LDニュースのおかげでどこかへ飛んでいったセンター試験ですが(入試センターはホッとしてるんじゃないか),
先日,
うぐいすさんから「センター試験の意義を述べよ」というコメントを頂きました.
確かに,意義がない試験は,それを行う理由がありません.
センター試験には,どんな意義があるのでしょう.考えてみました.
「入学試験」は,「授業中の定期試験」とは性質が違います.
違いは,「選抜の過程」が大きく入っているということです.
つまり,入試は,合否を判定して「選抜」をする試験だということです.
そのためには,受験生を,何かの順番で並べなければなりません.
大学入試の場合,とりあえず「高校までの学習課程における学力」を判定の材料にして,学力の高い順に並べることが一般的です.
最近では,上記学力以外の「何らかの能力」を判定基準にする場合もありますが,その場合でも,何らかの基準にもとづいて,並べます.
つまり,どの基準を採用しても,受験生を最高位から最低位まで並べなければなりません.
そのため,試験は,受験生がきれいに並ぶ(分散する)ように作る必要があります.
もし,受験生が分散しないような試験問題を作ってしまったら,合格判定の時に大変困ることになります.
例えば,受験生全員が同じ70点だったとしましょう.これでは選抜ができないので「今回は頭のサイズが大きい人から順に定員数を合格にしましょう」なんてことをしたら,受験生に対して「詐欺」になります.
定期試験では,同じ点数の人が多くても,困ったことは起きませんが,入試では受験生の得点ができるだけ幅広く分布することが必要なのです.
そういう意味で,センター試験は,おそらく世界で一番きれいに分布する(標準正規分布に近い分布をする)試験です.
センター試験の一番の意義は,ここにあります.
正規分布させるには,学力を十分に反映するような問題を出題すること(学力測定に関する妥当性の確保)と,受験者数がものすごく大きいこと(データの信頼性の確保)が必要です.
センター試験は,前者はしょっちゅう批判されていますが,後者については十分な数字を確保していると言えます.
(その2へ続く)