ラストのステップ25では、ワイヤーのD10を取り付けますが、劇中車には装備されていませんので不要となります。ガイドの組み立て指示はこれで終わりとなりますが、ガルパン仕様においてはあと一つ、ハウスポートブラケットの再現が必要です。
キットにおいては、車体側面のハウスポートブラケットは基部のみがパーツ化されています。
劇中車においては、さらにアーム部が付けられています。第二次大戦中の実車にも装備例が稀な部品ですが、ガルパンにおいては付いています。ケイ搭乗車やアリサ搭乗車との差別化のためでしょうか。
アーム部に使えるパーツは、キットにも他キットにも見当たりませんので、劇中車の形状を参考にしてプラ材で自作しました。基部の寸法に合わせて角材をカットし、両側に整形したプラ板を貼り付けました。その後、下端の棒を伸ばしランナーで追加しました。
これで、全ての組み立て作業が終わりました。
サーフェイサーを薄く吹きつけて塗装の下地を作りました。
車体色は、ケイ搭乗車やアリサ搭乗車のオリーブグリーンよりもやや暗めのグリーンです。カラーチャートで劇中車の色調を調べたところ、日本海軍機の後期機体色である濃緑色に近いことが分かりました。見ようによっては暗緑色にも近いですが、明度がやや明るいので、濃緑色と判断しました。
そこで、ミスターカラーの16番の濃緑色を使用して、吹き付け塗装しました。
転輪のゴム部分は、いつものようにポスカの黒で塗りました。転輪の塗装は筆塗りよりもポスカの方が楽ですし、丁寧に塗ればムラもはみ出しも余り出ませんので便利です。該当する色があれば迷彩にも使えそうですが、ポスカは原色カラーしか出ていませんので、戦車の塗装に使えそうなのは黒と白ぐらいです。
履帯のパーツは28番の黒鉄色で塗装し、鉄板部分をポスカの黒で塗りました。起動輪、誘導輪と共に履帯を装着したのち、サンドシールドのパーツを組み付けました。
塗装後の組み立てが完了しました。
車外装備品の金属部分は43番のウッドブラウン、金属部分は28番の黒鉄色で塗りました。
主砲の同軸機銃は28番の黒鉄色、前照灯は8番のシルバーで塗りました。
バックランプは、左側の上のみ47番のクリアーレッド、あとは28番の黒鉄色で塗りました。
デカールは、モデルカステンのガルパンデカールセットのお世話になりました。
ファイアフライ用の大きな2枚と、左側の二番目に大きな1枚の、計3枚を使用しました。
劇中車に合わせて所定の位置に貼りました。
つや消しクリアーを吹き付けました。落ち着いた色感になりました。
劇中のシーンを再現してみました。17ポンド砲の長身が目立ちます。カッコいいです。
シャーマン系列のなかでも外観がひときわ目立つと言われていますが、プラモデルで再現しても同様でした。
思ったよりもスマートなので、車長がやや長い点も実感として分かります。ボギーの間隔も広いため、足回りの印象もゆったりしています。
リア部分はキットよりもシンプルにまとめられます。ガルパン仕様のシャーマン系列の特徴の一つに数えていいと思います。
ハウスポートブラケットの存在感も、予想以上に確かです。劇中車の大きな特徴の一つですので、これを再現するかしないかで、完成時の雰囲気が大きく異なります。
かくして、サンダース大学付属高校チームのシャーマンファイアフライが劇場版仕様にて完成しました。製作日数は、2016年8月19日から8月30日までの12日でした。組み立てに8日、塗装に2日、塗装後の組み立てとデカール貼り付けに1日かかりました。
キットは、シャーマンシリーズの展開に熱心なアスカモデルの製品だけあって、必要なパーツはしっかりと揃えられ、VVSS等の細部の再現度も抜群です。タミヤ製品に劣らぬ分かり易さ、組み立て易さが特色で、サンダース大学付属高校チームの車輌のなかでは一番楽に作れます。改造も小さなものばかりで、ハウスポートブラケットの自作もそんなに手間がかかりません。
従来、サンダース大学付属高校チームの車輌のなかではケイの搭乗車である無印M4が作り易いと言われてきましたが、ガルパン仕様にこだわった場合においては、今回のアスカモデルの商品が最も楽に作れると思います。初心者向けのガルパン戦車プラモデルの一つに数えて良いでしょう。