倶楽部 月世界

わたくし月世(げっせい)の短歌と句(俳句&川柳)、ブックレビュー、育児、グルメなどを綴ります・・・

本ヨミ備忘録~『ニシノユキヒコの恋と冒険』:川上弘美/ 『チャイ・コイ』:岩井志麻子 他

2011-04-25 21:52:23 | 本読み

川上弘美の短編連作集『ニシノユキヒコの恋と冒険』。

その中の『パフェー』より・・・

『 恋とはなんだろうか。人は人を恋する権利を持つが、人は人に恋される権利は持たない。

わたしはニシノさんに恋をしたが、だからといってニシノさんがわたしに恋をしなければならないということにはならない。

そんなことは知っていたが、わたしがニシノさんを好きであるほどはニシノさんはわたしを好きでないことがつらかった。

つらかったので、ますますニシノさんを恋しくおもった。』・・・

 ↑ by:夏美さん


おなじく『おやすみ』より・・・

『 ユキヒコがわたしに傾斜したのは、どのくらいの期間だったろう。

「マナミがいないと、僕は困る」と、ユキヒコは言った。ぜんぜん嬉しくなさそうに。しんそこ困惑して。

「いつもわたしはユキヒコのそばにいるよ」わたしは答えた。』 ・・・

・・・・中略。

『 答えながら、わたしは鼻をかんだ。涙がひとつぶかふたつぶ、出たのである。

ユキヒコがもうわたしに傾斜していない、ということがわかって、わたしはパニックに陥っていた。』・・・

 ↑ by:マナミさん


するり、と女性たちのこころに入り込んでしまうニシノユキヒコ。数多くの恋をしながらも常に「なめらかな上の空」で

やさしく、無邪気で、残酷で、淋しい。ほんとうの愛をおそれて、なのにほんとうの愛をもとめるオトコ、ニシノ。

なんとも微妙でかつ、魅力的な小説 さすがは川上女史。


おなじく『しんしん』より・・・

『 ・・・ニシノくんのことを私は愛しかけていた。今にも愛してしまいそうだった。

けれど、ニシノくんのことは愛さない。絶対に、愛さない。そう、私は決めていた。』

・・・・中略。

『 「もしかして、ちょっと、本気」私が聞くと、ニシノくんは目を伏せた。

「よくわからないんだ」ニシノくんは答えた。

「僕は、これまでそういうことにならないように、気をつけてきたから」

気をつけてきた、というニシノくんの言葉に、私は笑った。こんどはニシノくんも笑った。

私はそろそろとニシノくんから身を離した。今ニシノくんに近づいてはいけない。

本能が私にそう警告していた。今ニシノくんに近づくと、そのままほんとうにニシノくんを愛してしまう。

そして、もしかしたらニシノくんも、私のことをほんとうに愛してしまうかもしれない。』・・・

 ↑ by:エリ子さん



岩井志麻子『チャイ・コイ』。

非常に官能的であり、同時に淡々とした筆で性愛が書かれている。とてもやらしいのだが、またある意味やらしくない。

ベトナム、サイゴン川の熱気とどこか乾いた心情とエロスとが混じり合う、オトナの女性向けの小説。


以下 備忘録。(2010.11~2011.04)

*『ズームデイズ』/ 井上荒野

*『ひどい感じ 父・井上光晴』 / 井上荒野

*『眼の皮膚・遊園地にて』 / 井上光晴

*『不格好な朝の馬』 / 井上荒野

*『ヌルイコイ』 / 井上荒野

*『贖罪』 / 湊かなえ

*『永遠の朝の暗闇』 / 岩井志麻子

*『自由恋愛』 / 岩井志麻子

*『ルームメイト』 / 今邑彩

*『場所』 / 瀬戸内寂聴

*『夏の終わり』 / 瀬戸内寂聴

*『花芯』 / 瀬戸内寂聴

*『学園のパーシモン』 / 井上荒野

*『ひそやかな花園』 / 角田光代

*『雉猫心中』 / 井上荒野

*『空中庭園』 / 角田光代

*『女ともだち』 / 角田光代、井上荒野、栗田有起、唯野未歩子、川上弘美

*『蜜と毒』 / 瀬戸内寂聴

*『龍宮』 / 川上弘美

*『女徳』 / 瀬戸内寂聴

*『もう切るわ』 / 井上荒野

*『いつか陽のあたる場所で』 / 乃南 アサ

*『コトリトマラズ』 / 栗田 有起

*『蛇を踏む』 / 川上弘美

*『溺レる』 / 川上弘美

*『Nのために』 / 湊かなえ

*『ベッドの下のNADA』 / 井上荒野

*『対岸の彼女』 / 角田光代

*『東京ゲスト・ハウス』 / 角田光代

*『無傷の愛』 / 岩井志麻子

*『予定日はジミー・ペイジ』 / 角田光代




見事に女流作家ばかり。











『Pur Pur ピュールピュール』(芦屋)

2011-04-19 12:01:44 | Gourmet & Foods

                              ↑ 前菜:「焼き鯵とじゃがいもの冷菜」


去年春にオープンしたイタリアン。芦屋はイタリアンの激戦地。(イメージ的にはフレンチなのに)

北新地のワインバー『Purピュール』の姉妹店。なので、もちろんワイン充実

気楽に徒歩で行けるので、お昼間っから飲んでもよかったのだが、

友人が車だったし、やはり昼酒はまわるので、ノンアルコール。

住宅街の中にポツポツお店がエリア。界隈を知ってる人間でないと分かりにくく、

目立つ看板もなく、隠れ家のような佇まい。

前を通るたびに女性客で満席、お店前には自転車いっぱい で「はやってるんやなあ」って思っていた。

予約してランチにGO シンプルモダンで明るい店内。気が付くと女性客で満席。


ランチは、<ランチセット1890円> と<おまかせコース2940円>の二種。

どちらもスープ・前菜・パスタを4種類ぐらいからセレクト。コースだと多すぎの感じだったので、

ランチセットを315円upで パスタ→メイン に変更出来るのでそちらに。

(パスタでお腹がふくれるのが、あまり好きではないのであるパンをしっかり食べたいので・・・)

こちらのウリの「りんごバター」。突き出しのバゲットやパンに付けると、めちゃ美味

ほのかなりんごの風味とまろやかバターで、いくらでも食べられちゃう。

スープは「にんじんのポタージュ」をセレクト。りんごバターに気を取られ、印象薄かった・・・(汗)

            ↓


前菜はトップ写真の通り、私は「焼き鯵とじゃがいもの冷菜」。 友人は「前菜3種の盛り合わせ」。↓



鯵とじゃがいもの冷菜は、パッと見はテリーヌ? でも違った。

う~ん・・・インパクトのあるルックスだった割には・・・ 鯵がですね、青背の魚って生臭いから

香草やら柑橘いっぱい使うと思うのだが、どうにもすこうし生臭さがあったのだな

あっさりしているといえば、しているんだろうけど。ボリュームはすごくあって、ほとんどメイン状態。


で、メイン。ふたりとも同じのを選んだ。



↑「鯛とあさりと春野菜のアクアパッツァ」

鯛も結構大きかった、ええ。野菜も大ぶりだし。さすがに魚介からええエキスでとって

スープ美味やったし。

多分・・・このお店の特徴だと思うのだが、女性好みのナチュラルあっさり仕立てで、それは好感。

けれど、私の印象としては よく言えば「素材を活かした味付け」。悪く言えば「何か 足りない」。

南イタリアテイストの『ジラソーレ』のガツン とした料理が好きだからかな。


ドルチェ。 別料金(315円)でオーダー。数種類あり。 ドリンクは付いていた。



↑ 苺ソースのティラミス。 だったかな・・・

フツウに美味しかった。たださ、別料金の割には小ぶりで、それが残念。


全体的に、どのお料理も丁寧に作られていて、あっさりとしてそれなりに美味しい。

店内のインテリアも含め、(個室もあり)女性に人気なのも頷ける。

ただ・・・。単に好みの問題なのだろうけれど、私はもちっとガツンとしたイタリアンの方が好きだ。

『Pur Pur ピュールピュール』&『Pur』









「奈良」 ~唐招提寺&薬師寺~橿原神宮&考古学博物館~法隆寺

2011-04-06 15:29:30 | Others
       
                                        「薬師寺にて 薄墨桜」


ハチのインフルB型罹患で始まった、この春休み。

横浜の義弟家族の所に行く予定にしていたのだが、やはり これは延期に・・・

で、近場の奈良への一泊。

ホテルが「橿原神宮前」駅前なので、必然的に回る箇所はそちらの方に。

前に奈良は三人で、東大寺・興福寺周辺は行ったしね。


家から高速使ったら、西ノ京周辺(唐招提寺やら薬師寺やら)までわずか50分弱

◆ 『唐招提寺』 そ。世界遺産デス 金堂の平成大修理が終わったところ。



↑ 偉容に圧倒される。天平様式と、ギリシャの神殿建築技法との融合・・・。

これの大修理の模様が展示されていて、一度古いもの(奈良時代)を全部バラバラに外して、

耐震補強材を入れて、また一から元通りに組み立てる、という気の遠くなるような作業。

◆ 『薬師寺』 こちらも世界遺産&国宝盛りだくさん。



↑ 「東塔と金堂」 この日、説法をされていたため、すごい人出だった。

「玄奘三蔵院伽藍」内には、平山郁夫画伯の「大唐西域壁画」が展示されている。

多分・・・私は20年ぶりぐらいに、この二つのお寺に行ったのだと思う。

◆ 『橿原神宮』 初代天皇の神武天皇と皇后が祀られている。でも、明治時代の創建。

↓ とりあえず、社殿が圧倒的な大きさ。 後ろに見えるは、畝傍山。




◆ 『奈良県立橿原考古学研究所付属博物館』 ↓
http://www.kashikoken.jp/museum/top.html



↑ 各種埴輪の置いてある中庭

実は、期待以上に、面白かったココ

旧石器時代~縄文~弥生~古墳~飛鳥~奈良平安~以降のそれぞれの遺跡発掘品が、

良いコンディションで丁寧に、質の高い展示がなされている。藤ノ木古墳の副葬品など。

銅鐸や神獣鏡、ドでかい円筒埴輪、勾玉など見ていて飽きない。

好きな人は好きだろうし、そうでない人はつまらないのかも。ハチは、スタンプラリーに燃えていた

社会科見学にも最適やね。奈良っ子が羨ましい。  


◆ 『法隆寺』 こちらも世界遺産。 ちなみに、拝観料大人:1000円、小学生:500円 高っ



↑ 五重塔と金堂(裏より)

法隆寺と言えば、五重塔と「百済観音像」。立派な百済観音堂に鎮座されていた。

優美なお姿と慈悲深い表情・・・。さすがは、国宝中の国宝と呼ばれるだけある。


旅の一日目は、ポカポカ陽気。二日目は小雨混じりの思いっきり寒の戻り。

新小学二年生には、随分と渋すぎる行程であったが、

飲食店でもらった「ワンピースのルービックキューブ」と、買い与えた「バトルスピリッツのカード」と、

あちこちでお腹いっぱい食べたご飯、ホテル朝食バイキングで、満足だったらしい。(本人談)




↑ 「せんとくん」と「まんとくん」