「毛細管現象」とは、細い隙間や管の中を、水が自然に吸い上げられる現象のことです。身近な例では、ストローで水を吸い上げる、ティッシュペーパーやスポンジが水を吸い込む、植物が根から水を吸い上げるなどがこれにあたります。
建築分野では、この毛細管現象によって予期せぬ不具合が発生することがあります。特に、屋根と土系舗装では注意が必要です。
①屋根で起きる「毛細管現象」と雨漏り
屋根材(瓦やスレートなど)は、雨水がスムーズに流れるように重なり合って設置されています。通常、雨水は屋根の傾斜に沿って流れ落ちますが、屋根材の間にできたわずかな隙間が、ストローのように雨水を吸い上げてしまうことがあります。
この現象によって、雨水が屋根の奥や上に逆流し、建物内部に侵入してしまうのが、毛細管現象による雨漏りです。
対策:タスペーサーによる「縁切り」
この雨水の逆流を防ぐための一般的な対策が、「タスペーサー」を使った「縁切り」です。屋根材の間に意図的に小さな隙間を作ることで、吸い上げられた水が外に流れ出る道を作り、毛細管現象を止める役割を果たします。
②土系舗装で起きる「毛細管現象」とひび割れ
公園や庭などに使われる土系舗装(透水性舗装材)は、通常、水が流れるように傾斜(水勾配)がつけられています。しかし、この舗装の排水口が落ち葉や土などで塞がれてしまうと、毛細管現象による不具合が起きます。
排水口が遮断されると、水はけが悪くなり、毛細管現象によって雨水が逆流します。この逆流した水が、土の粒子と粒子の間の非常に小さな隙間に入り込みます。その結果、舗装内部に水がたまり、乾燥や寒さによる膨張・収縮によって、ひび割れ(クラック)が発生する原因となります。
③どちらも「水の逆流」が原因
屋根も土系舗装も、毛細管現象による不具合は、水の逆流によって引き起こされます。
- 屋根の場合: 屋根材の隙間が吸い上げた雨水が、雨漏りにつながります。
- 土系舗装の場合: 排水口の詰まりが原因で逆流した雨水が、舗装内部のひび割れにつながります。
これらの不具合は、細い隙間での水の動きを理解し、適切に排水経路を確保することで防ぐことができます。そして、土系舗装の細かなひび割れは、排水を良好にするとともに、ひび割れには、土系舗装材をフルイにかけながら散布し、土系舗装材をひび割れに充填することで解決出来ます。一般的にひび割れの原因は気候による乾燥収縮と考えがちですが、排水に起因していることが多いので注意しましょう。
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