「地震の目」などの独自理論で地震予測を研究し、著書などで発表している、琉球大学名誉教授の木村政昭氏という方がいます。彼のホームページなどでも地震予測が公開されているのですが、過去の予測実績を検証してみると、ほとんど予測が当たっていないことがわかります。以下に説明します。
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たとえば、木村政昭氏は、2010年の年初に、以下のような地震予測を発表しています(木村氏のホームページより)。

この予測図では、「近年予想される大地震」として、「M6.5以上」の地震を15個ほど予測(黒丸)しています。では、この予測から5年以上が経った現在までに起こった大きな地震を、この予測図は予測できているのでしょうか。
以下に、2010年から現在(2015年8月)までに、国内で発生した、M7以上の地震を重ねてプロット(赤丸)してみましょう。

…いかがでしょうか。プレート境界の、いかにも地震が起きそうな場所に幾つか予測を出していますが(黒丸)、実際に発生した大きな地震(赤丸)の震源と、ほとんど相関がないことがわかります。
この期間に、M7以上の地震は21回発生したのですが、的中と言えそうなのは、茨城県すぐ沖の地震(2011年3月11日、M7.6)と、沖縄本島の南東沖の地震(2010年2月27日、M7.2)の、わずか2つだけです。しかも、前者は東北地方太平洋沖地震の同日に起きた余震ですので、本震を予測できていない以上、これを的中とは呼べないでしょう。
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このように、木村政昭氏の地震予測図は、大きな地震をほとんど予測できていないことが分かります。東北地方太平洋沖地震という未曽有の大地震を予測し損なっているだけでなく、その他のM7級以上の地震も予測できていないようです。9月2日には新刊の書籍を発売されるそうで、相変わらず露出度の高い木村政昭氏ですが、地震予測の実績としてはこの程度なのだと認識しておくのが良いかと思います。
なお、これまでに出版された木村政昭氏の書籍においても、地震・噴火予測が全く的中していないことについて以下に説明してありますので、ぜひご覧ください。
木村政昭氏の地震・噴火予測は、信用できません
この1年後、東日本大震災が起きると、予測図がさらっと変わって、三陸沖に地震を予測していた形に修正されていたのを見て、個人的に凄い嫌悪感を覚えました。
この方は、プレート境界付近の、海溝型の大地震が起きやすいところにヤマをはるというスタンスなんですね。
なるほど南海トラフや東日本大震災のように、大きな地震が起きれば当たっているように見えるわけですね。
元から大きな地震が起きるエリアに、「2017±5年」といった感じで、わざわざ数字をつけてもっともらしく見せるという手法は、理論の是非以前に誇大広告以外のなのものでもありませんね。
もし彼が科学者であるならば、ここで上げた地震予測の根拠を、きちんと理論立ててご説明いただきたいところです。
もっとも、オカルト雑誌のゲストに、常連になられている木村先生に、それを求めるのは酷と言えるかも知れません(私事ですが、私はオカルト話は大好きです。しかし自分の頭の中で、科学的な話とエンタメを仕分けして混同することがないので、鵜呑みにされている方を見ると、真面目に引きます)。
過去に大きな地震の起きたであろう場所をいくつも挙げ、最大10年間の幅をもたせて、「地震の起きる可能性が高い」と警告する。どういう理論にもとづいているのか知りませんが、理論の蓋然性に関係なく、地球物理学を学んだことのない素人でも、似たような指摘はできるでしょう。
文系でも、自分の業績に勝手に手を入れることは「禁じ手」です。学者たるもの、誰にいわれなくても、そんなことはわかっているとおもっていました。
学会とかかわらなくてよい元教授だからやってしまったんでしょうか。もしこの方の予測が当たったとしても、私はこの方を信じることはできません。
お前が言うなと言うことなんでしょうけど、ポジションを村井さんに取られて怒っちゃったのでしょうね!
二人とも誰でも当たるような予言ですからね。
木村教授は、プラスマイナス5年って10年ですからもうギャグですよね。
木村氏は、九州西方に出した「M7.0±」の対応を、熊本地震ではなく2015年11月14日の薩摩半島西方沖M7.0としているようです。ご本人も、熊本地震を的中させたとは主張していません。熊本地震はあくまで、日向灘に予測しているM7の地震のほうの前触れだと言っています。
いずれにしても、この九州西方に出したM7の予測は、「的中」と判定しても良いと思ってます。ただし、その他のハズレの山を考慮すると、有意な予測能力は読み取れませんけどね。
とかく 週刊誌やミーハー調の民放TVは、表面的な派手さばかりを追い求め、その人の過去の主張など ほとんど検証報道しないものです。その点、マスコミなどに取り上げられた地震予測について、当ブログは詳細に点検しておられ、参考になります。
私事ですが、木村元教授とは過去、多少の縁があり、実直そうなあの方の批判は知りたくないのですが、事実は事実です。今後も、厳密に検証して頂きたいものです。なお、EM菌と結びつけて木村先生の大学をおとしめている投稿もありましたが、同じくあの大学の元教授で、日本の南極観測隊の隊長を2度も務められた木崎先生という りっぱな方もいらっしゃいます。まだ御存命だそうです。
地震の予知についてですが、私が直接 気象庁の ある研究員《理学博士(東京大学)》から聞いた話、「現在の科学では、地震発生の明確な予知は不可能」と、はっきり明言されていました。
御覧になった方もいらっしゃるでしょうが、昨年秋、テレビ朝日の朝の番組を見ておりますと、西村卓也という方が、京都大学防災研究所でGPSを使った地震研究を紹介されていました。国土交通省のGPSデータを蓄積して、それをもとに研究されているそうです。しかしそのデータは、今のところ20年分しかないそうで、とてもまだ今後の予測には活かせるデータ量ではないとも言われていました。それでも西村先生によると、「南海トラフで地殻のひずみがたまっている」ことは事実で、西日本でも、いつ地震が起こってもおかしくない旨を言われていました。
長くなってしまいました。また、このブログに来させて頂きます、よろしくお願い致します。