現場知略

株式会社自動車情報センター、白柳孝夫の取材メモです。

日産のフーガHV、11月より発売

2010年11月23日 21時02分54秒 | ハイブリッド車

日産は、かつてHVを販売していた。
2000年に発売した「ティーダハイブリッド」である。
全国で100台の限定販売であった。
このクルマを知人が保有しているが、今でも調子良く動いている。
限定販売の後は、本格販売へと進むと思われたが、トップの方針で開発は中断された。

こうして10年が過ぎ、再び日産から独自開発のフーガHVが登場した。
11月2日から発売する。
ハイブリッドシステムは「1モーター・2クラッチ方式」で、リチウムイオン電池を採用。
これにより、10・15モード燃費でコンパクトカー並みの 19㎞/ℓ を確保した。
最低価格は 577万5千円 からで、ベース車の「370GT」に比べ約 120万円高 となる。
1モーター・2クラッチ方式(インテリジェント デュアル クラッチ コントロール)
駆動と発電を1つのモーターで行い、エンジンとモーターをトルクコンバーターを介さずにトランスミッションに直接接続する軽量で高効率なハイブリッドシステム。
本システムは、2つあるクラッチの1つでモーターとエンジンを完全に切り離して、エンジンを停止させた静かで効率の良いモーター走行(EVモード)を可能にする。
このEVモードでの走行を、高速走行を含む運転領域まで拡大し、かつモーター走行を積極的に行うことで、クラストップの低燃費を達成している。

 

 


中古車市場の構造

2010年11月10日 01時34分12秒 | 中古車販売

 

年度上期の新車販売 は、対前年同期比16.8%増の254万台となった。
一方、中古車登録台数 は同0.4%減の191万台となり、上半期としては過去最低の台数となった。

一般に、中古車市場は新車販売が好調でないと活性化しないものである。
新車が売れる時には、今までの保有車両が下取りに出される。
これが中古車市場に流入するからだ。

しかし、本年度の上期は、事情が異なった。
政府のエコカー補助金は車齢13年以上の古い車両を廃車=解体して、
ハイブリッドなど環境性能に優れた新車を購入すると、一番多く、補助金が貰える仕組みである。
古いクルマをスクラップすることに補助金を付けるので、スクラップ・インセンティブとも言われる。
環境性能の低い古いクルマが、長期に使われていた欧州において採用されていた制度である。

この制度では、今まで乗っていたクルマをスクラップしたことが証明されないと補助金は出ない。
そこで、ディーラーでは、下取りした車両を、中古車市場に回さず、即座に自動車解体業者に渡して、スクラップにした。

この結果、解体事業者は多忙となり、中古車販売店はクルマが回って来ないので
玉不足=販売不振となった。
エコカー補助金制度は、8月に商用車が終了し、9月に乗用車も終了した。
すると、今後は新車を販売して、車齢13年以上の古いクルマを下取りしても、
即座にスクラップにする必要はなくなった。
これらのクルマも、従来どおり中古車市場に流入することになる。

8月の後半より急に解体業者に廃車が回って来なくなっている。
このように古い車両が中古車として売れるのか?

実は売れるのである。
統計上に現れる中古車登録台数は、全てがユーザー向けに販売されたものではない。
車両は所有者が変われば、登録が必要になる。
・ユーザーが中古車買取店に中古車を販売する。
・中古車買取店が、他の中古車販売店に販売する(業者間取引)
・ディーラー等が下取りした古い車両をオークションに出し、解体業者が落札する

これらも中古車登録台数に含まれるのである。
ユーザー向けに販売された中古車の台数は統計データには現れないので推計するしかない。
矢野経済研究所が実施した調査 では、2008年度推計で年間240万台となっている。

一方で、解体業者が、オークション市場で落札した台数(解体用落札)は30万台と推計している。
これは全オークション落札台数の6.2%である。