車検にOBD検査導入を・・・という話は、すでに1995年頃から私が言い続けてきたテーマである。
その理由は、1994年に米国全土でOBDⅡ規制が導入されたので、それを視察した経験がベースになっている。
カリフォルニアでは1988年にOBD規制が始まっている。
それ以後、6年の経験を生かして「新しい規制」になったわけである。
私が訪問したスモッグ・チエック・ステーションの社長も「新しい規制に対応した機器はえらく高い」と言っていた。
日本でOBD検査を導入するのであれば1995年がチャンスであった。
欧州は2000年であるから1994年と2000年の中間の1997年当たりが適切と思われた。
しかし・・・・日本は規制緩和の大合唱の最中であり、1995年は大幅な車検制度の規制緩和が行われていたので、とてもOBDⅡ規制の導入など不可能であったのだろう。
その結果、日本の自動車整備市場だけがOBD検査もスキャンツールもない奇妙なものとなった。
さて、日本では車検といえば、あの国土交通省の車検しかない。
しかし、米国では運輸省の車検と、環境保護庁の行う車検と2つある。
後者が排気ガス検査の手段としてOBD検査を導入しているのである。
ドイツも同様に安全検査と環境検査の2つがある。
そして、ドイツでは2009年から安全検査にもOBD検査が導入されているのである。
さて、先日の日刊自動車新聞に以下のような記事がでていた。
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国土交通省は9日、自動車検査(車検)に車載式自己診断装置(OBD)検査を導入する方針を明らかにした。
排ガス浄化装置の劣化度合いをより正確に調べたり、衝突被害軽減ブレーキ(AEB)など先進安全装置の状態を検査するのが主な狙いだ。早ければ今年中にもOBD検査の導入に向けた調査を始める。
導入時期は明らかにしていないが、調査結果を踏まえて検討会を設置し、関係法令を改正して数年後の導入を目指すと見られる。
自動車整備業界もスキャンツール(故障診断機)導入などの対応を迫られそうだ。
OBD検査は、車検時にスキャンツールを接続し、検査対象機器の情報を呼び出したり、疑似信号を入力して動作確認したりするもの。
ドイツやベルギーなど欧米の一部では、すでに横滑り防止装置(ESC)の検査や故障履歴の確認などに使われている。
近年の自動車は、排ガス浄化や予防安全を強化する狙いで電子制御機器の搭載数が増えている。
また、国交省も大型車の一部にAEBなど先進安全装置の装着を義務付けし始めた。こうした機器は目視やブレーキテスターといった従来の機器では作動状態が正確に検査できないため、OBD検査の導入を検討することにした。
個人情報に配慮する必要はあるものの、検査や整備情報の二次利用もしやすくなりそうだ。
まず、今年末か来年早々にOBD検査の対象とする機器や対象車種、OBD検査による環境改善や事故防止効果などの調査に着手する。調査結果を踏まえたうえで、関係機関や有識者による検討会で導入に向けた議論を始め、必要に応じて関係法令の改正を目指す。
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国土交通省のホームページを見ても10月9日にそういう報道はない。
しかし、日が明確にされているということは、何らかの発表があったのだろう。
すでに「記者」を卒業してしまった私としては、知る由もないのだが、これが本当だとしたら、ある意味で感無量ではある。