昭和建築学会


昭和の建築物や路上にあるオブジェなどを中心にご紹介します。

昭和建築学会 第96回 神戸東京12日間 その25 谷根千7 続・東京大学近く

2015年10月18日 | 建築

東大近辺、続きます。

 

 

焼き鳥屋さん、でしょうか。「鳥勝」。僕は焼き鳥が大好きなので、看板にある「丸焼」というのを食べてみたかったです。

問題は、この排気孔を通り越して煙突となっている青いトタン作りのオブジェ。

かなり、きっちりと設計されてできている模様です。

2階、3階を汚さず、ご近所様にも迷惑をかけず……、しかし、焼き鳥屋さんの前を通るときのにおいのときめきは残しておきたいですね。

 

 

元たばこ屋さん、と思ったら、「洋食 ライフ」の文字が……。

近づいてみましょう。

 

 

まあ、いずれにせよ、廃業し人も住まなくなって久しいようです。ご町内の掲示板、壁にもたせかけられています。

そのくせ、掲示板のポスターの類はけっこう新しめ。下町の義理人情を観じる物件ですな。

 

 

この写真を撮ったのは、11月下旬ころ。

「歳末・地域福祉たすけあい運動 12月1日~15日」

「もちつき大会 12月14日 午前10時集合」

ね、ちゃんと機能している掲示板なのですよ。

緑のペンキは、後ろの家屋より少し新しい感じさえします。

 

 

右手にまわってみましたが、クローザーがたぶんついているドア、もう使われなくなって久しいようです。

が!

このちりとりとほうきの真新しさはなんだ!? ママチャリも現役でしょう。植木もあって、人は住んではいるようです。

侮ってはいけませんな。

 

 

というわけで、少し戻って2階部を撮ってみました。

ああ、やはり人のいる気配。

 

 

少し歩きました。

タイル張りのわりといい感じの建物なのに、裏口の開き戸がけっこうずさんにつくってあって、投げやり風に「猫よけ」の障害物がつけられて

います。

下には、コンクリートブロックの割れたのが置いてあるし……、奥の緑の金網もかなりいい加減……。

今、開き戸といったけど、開き戸じゃないです。ついたてのようなもの。廃業した喫茶店からもらってきたのでしょうか?

 

 

なんと、スナックか何かだと思うのですが「ノマド」というお店が……。

旧制一校生のプライドを刺激する、哲学的な名前のお店。

あ、すみません。哲学的なのは「モナド」でした。(汗)

ノマドとは、「遊牧民」を意味するそうです。

調べてみたらこのお店はカフェとのこと。

無造作に巻き付けられている電気のコード、カラオケ関係のものではないのでしょうか……。

 

 

増築に増築を重ね継ぎ足すことによって、独特の美しさを見せる建物です。

3階部には、波形トタンの一個建てまで……。

このような建築を、「挿し木建築」と呼びたいとおもいます。

 

 

挿し木建築の右手、喫茶店です。どうやら現役のようですね。

常連さんだけで成り立っているお店といったところでしょうか。

この建物は挿し木建築には含まれませんが、左側壁面のコンクリートブロックの造型、おみごとです。

 

 

さあ、以前少しだけ紹介した、東京大学農学部の横にある謎の旅館「札幌旅館」です。

蔦がはびこってますね。人の手がはいっていない証拠です。

 

 

正面。

歓迎されてしまいました。

扉やその奥のカーテンの具合を見ると、中に人が住んでいるようですね。

灯籠がかわいいな。

 

 

 

見上げてみました。この写真だけだと、人は不在のようです。

 

 

玄関左手。

タイル張りがなにやらいわくありげ。

ともかく、旅館は廃業していてもいいから、

① 人が住んでるのかどうか。

② かつては、普通の旅館だったのか、連れ込み宿だったのか。

が、関心ごとです。

しかし、じっくり見てもかいもく見当がつきませんでした。m(_ _)m

 

 

アールの扉、美麗物件。

もうちょっと行くと、

 

 

アールの塀、おみごとです!

瓦屋根もあって、みごとな和洋折衷。

 

 

発泡スチロールの、(たぶん)不法な投棄。

 

 

街路樹を囲んでいた石の建造物。今はトマソンになってしまった。

 

 

同じく。これは阿部定タイプのトマソン?

 

 

 

木によけいなことをするから、枯れてしまうんです!プンプン

 

 

水を流し川に見立ててのことだろうけど、下水管で全部排水処理した方がいいですよ。

よけいなことをするから、こんな不細工なことしないといけなくなるんです。

この公園を設計した人、あまり優秀とは言えない……。

 

 

最後は、美しく(笑)

元は壺庭か壺庭になる運命だったかもしれないのに、ちゃんとブロックの柄もそろえてもらって蓋を閉めてもらってある物件。

こういうのを、都会の人の優しさという。本当かいな?

 


昭和建築学会 第95回 神戸東京12日間 その24 谷根千6 東京大学近く

2015年10月18日 | 建築

いつのまにやら、東京大学の近くにでてしまった。

路地を入れば、少し古い町並み、下宿街(?)かな?

 

 

こんな建築が今も現役。文京区はすごいぞ。おそば屋さんのようです。

 

 

J-SOBA、う~ん。中華そばなら、C-SOBA、スパゲティならI-SOBA……。

あまりおいしそうな店じゃないけど、この取っ手ドアがおそば屋さんなのにしっくりとなじんでますね。

そして何より、もり¥350、かけ¥300という学生プライス。多少まずくても、大学生なら通いますよ。

 

 

こんなところに、ねじ込めるだけ吸い殻をねじ込んだ灰皿。路上喫煙禁止だったかな、文京区も……。

 

 

何気ない路地ですが、建物の改築はしたけど、戦争中は爆撃を免れた証拠です。

 

 

ここは、本当に東京? 自転車のおいてあるところ、路地が変則的になってますな。

 

 

玄関の半分をビニールトタンで封鎖してありました。そして、それにして玄関の裸電球。電球の覆いがなくなって久しいのでしょうね。

 

 

先ほどのお宅、左側。鉢植え、消化器、ゴミ箱、重石のようなもの、昔、粉を挽いた挽き石みたいな石……。

こういう、お行儀よいカオスはつくろうとしてつくれないものです。

 

 

カメラをやや右へ。このオレンジ色の三角柱は何なのでしょう。硝子でおさえてあるし……。

水草を育てていたり、ミジンコを飼ってたり……、とか?

 

 

二階部。やはり波形トタンで覆ってありますな。しかも、戸袋にも波形トタンが。

 

 

ほんの少し移動。こんな古い木造建築、しかもいくら下町とはいえ文京区ですよ。

 

 

もの干し場の具合が、何とも伝統的な関東流というところでしょうか。それにしても家の前面すべてがドアというか戸になってますよ。

 

 

これもそう。よく見ると、デュシャンの「瓶乾燥機」のオブジェがそっと置いてありますな。

白いテーブルのようなものは、何でしょう?

 

 

錆びた波形トタン、そしてこの鶯色! すばらしい。1枚目は、汲み取り式のトイレの「ガラガラ」が今も健在。

2枚目、3枚目、もはや使われていないような、水道栓。でもちゃんと囲ってあって屋根まで作ってもらってあります。

「トマソンの空振り」といったところでしょうか。

 

 

何とも形容しがたい造りの屋根。二階部、というわけでもなく、一階と二階の間に作られた窓です。1枚目、特にその出っ張った窓を覆う屋

根の造りが美しい。窓自体もちょっと変わった造りですよ。

 

 

築後かなりたってから、ビニールトタンの庇をつけたくなったのでしょう。ビニールトタンの軽さに不似合いな頑丈そうな腕木です。

母屋の方もやはり、戸をビニールトタンで部分的に封鎖してありますね。

 

 

美麗角物件。なんと、角をきっちりドアにしちゃいましたか。出入りする人は、車や自転車に気をつけて下さいね。

 

 

律儀な造りの、お勝手口? 三河屋さんが出入りするところでしょうか。

土台の、コンクリートブロックの適当な雑さが泣けますな。青い苔まで生やしちゃって……。

 

 

珍しい木造三階建てを発見。犬矢来までおいて、一階部は食べ物屋さんのようです。

 

 

先ほどの建物の左に回ってみました。僕はそもそも犬矢来とは京都の町にしかないと思ってましたが、探せば東京にも結構あるんですよ

ね。この竹による独特の造形美、きれいだな。

行灯に目が行きがちですが、左奥のほうの、角石ですかね。真四角なのがかわいい。

 

 

これぞ、和洋折衷が成功した美しいお宅です。中央の窓(?)のところの瓦屋根、特に美しいですね。こういうのを見ると、昔からのお医者さ

んとか、歯医者さんではないかと勝手な想像をしてしまいます。

ほどほどに窓や石造りの母屋、塀は洋風、植木は日本風。

 

 

これも変わった造りの出入口です。引き戸なのに、立派なビニールトタンの庇。

引き戸上部の装飾窓が見所ですな。

 

 

左側にまわってみました。真面目なトマソンの写真を記念に一枚。

 

 

あれ? 先ほどの木造三階建てだったかな……。「はん亭」、かわいい名前です(笑)。

 

 

こんな写真ばかり見ていると、京都かなと思えてきます。「はん亭」さんは、串揚げのお店でした。やっぱり関西風やん。

 

 

華道池坊金錦水流本部教場、そして誰もいなくなった。まあ、ドーナツ化現象で、近所に住む元からの地元の人が少なくなって、

お花の教室も宿替えしたんでしょう。

それにしても、なにやら凝った造りになってますな。現役時代のこの教場を見てみたかったです。

引き戸、かなり破れてますが、南京錠がしっかり守ってます。

 

 

いや、南京錠じゃない! これってチャリの鍵じゃないですかね?

 

 

こういう石を見るたびに、古風だなあというのと、夏はぼうふらたいへんだろうなと、思います。

 

 

表札跡? 封鎖された郵便受け? この写真を撮ってからずいぶん経ったので忘れてしまいました(汗)

ともあれ、わりときれいなトマソン♪

 

 

姑と嫁夫婦が済んでいるなら、名字が二つあってもあたりまえなのですが、

こう、堂々と名字が並べられていると、訳ありかなと思ってしまう癖が、僕にはあります。

引き戸の右、これは現役の戸なのか、閉鎖された戸なのか忘れました……、

でもなかなかいい味出してます。

 

 

これぞ下町、昭和30年代でも通じそう。魚屋さん、新聞紙で魚をくるんでくれそう。

室外機は邪魔、ピザ屋のバイクはスーパーカブだともっといい(笑)

 

 

床屋さんお休みでした。この赤、青、白のくるくるは、最近凝ったものが多い中、まさしく正統派のくるくるですな。

ちなみに僕がゆく「ヘアーサロン 本橋」は、赤がなくて、青と白だけの、斜に取り付けられたくるくるです。

 

 

道を隔てて、ネイル屋さん。新規のビジネスですけど、徐々に下町に溶け込んでゆくのが、行く先楽しみ。

ピンクの店舗にあわせて、ピンクの自販機、うんうん、それでいいのですよ(笑)