みどりの船

絵本と絵本まわりのこと、日々の雑感を少し。

フォックスおくさまのむこえらび

2006-11-28 | ユーモラスな絵本
 『フォックスおくさまのむこえらび
コリン夫妻/文 エロール・ル・カイン/絵
 やがわすみこ/訳  ほるぷ出版

エロール・ル・カインの繊細な絵には、思わず
ひきこまれてしまいます。
いばらひめ」や「おどる12人のおひめさま」など
姫物語も、美しくてきらびやか
絵の飾り枠など細かなところもみどころいっぱいで
とても好きなのですが、意外にはまってしまって
忘れられないのが、こちらの絵本。

フォックスおくさまは、だんなさまを亡くして
打ちひしがれています。
なぜって、亡くなっただんなさまというのが、
ただ者ではなかったから!

夫が亡くなったことが知れるやいなや、次々と
求婚者があらわれますが、そのたびに、
おしゃれなメイドのミス・キャットは、
おくさまのところに報告に行かねばなりません。

 「おもうしこみの とのがたが
  おだいどころで おまちです
  ・・・・・」

そのたびに、フォックスおくさまがおっしゃるには

  「しっぽ九ほん ふさふささせて
  えんじのけがわ きてらして?
  それにそろいの くつしたも?
  _ そのかただけが わたしのとのご」

そんな~ありえないっしょ!

しっぽ9本にえんじの毛皮、そろいのえんじの
靴下をはいた殿御なんて、なかなか簡単には
あらわれません。
最初は”ほかでもない”・・・オオカミ、
次に”ほかでもない”ライオン・・・
ひととおりの動物が終わってやっとキツネが
やってきたと思ったら、しっぽは
たったの1本きり。

ほんとうに、9本のしっぽをもったえんじの服と
靴下の殿御はあらわれるのでしょうか。

ル・カインの絵がぞんぶんに見せてくれる上に、
矢川さんの七五調が心地よく、ユーモラスな訳が
とても印象的です!

エロール・ル・カインといえば、ちびまるこちゃんの
さくらももこさんが、「憧れのまほうつかい」で
絶賛していることで有名なんですよね。
どこかオリエンタルな雰囲気が漂う、繊細だけど
神経質すぎない美しい絵。
絵を見ているだけで、動物たちの性格が容易に
想像できます。
「イメージの魔術師」とはよくいったもんですね。

幼少時、インドに住んでいたり、サイゴンや香港、
日本なども訪れていたことが、作風にも影響を
与えているのかもしれません。
東洋と西洋の不思議な雰囲気をあわせもつような絵。
姫モノの美しさとはまた違ったお楽しみ所満載です。

実は、、、、、。
画集「イメージの魔術師 エロール・ル・カイン」も
気になっているんです!
画集ですからね~。見ごたえ十分に違いない!

そういえば、軽井沢の絵本の森美術館では、
イギリス絵本展~古典絵本の源流を求めて~の
展示で、このル・カインの作品原画が出ているようです。
題名は「きつねおくさまの婚礼」
うぅぅ 行きたいっ!
・・・・けれど、冬の軽井沢って寒いんですよね
(ちなみにこの絵本の森美術館は、わたしも大好きな
 木葉井悦子さんの作品が常設されています!)
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ある日のコハ本

2006-11-27 | 子どもと楽しんでいる絵本
コハもいつの間にか2歳半になりました。早いです!

週末とても寒くて、再びコハに風邪をひかせては大変だと、
必要最低限の外出以外、うちにおこもり・・・。
となると、絵本の出番が多くなるんですよね。
うれしい悲鳴・・・であります。

*** 午前中 ***

 「あっちゃんあがつく

 ”あ”から”ん”まで(”ば”や”ぱ”など、濁点含む)
 おいしそうな絵が歌でつながるあいうえお本。
 つきみそばの「つ」 ざるそばの「ざ」の
 うどんやさんや、ラーメンの「ら」 ぎょうざの「ぎ」の
 ラーメンやさんはきっと一緒のお店ね・・・なんて
 細かいことまで楽しめます。
 「を」や「ん」など、苦しいページもご愛嬌

姉に続き、ついにコハも目覚めてしまいました。
厚さ2センチ、歌い通すのかなりしんどいよ~。

 「きのみのケーキ

ひなたぼっこのmarukoさんに教えてもらった絵本。
床やテーブルにぼろぼろこぼしながらも、
おいしそうなケーキができあがっていくのが
大好きなようです♪

午前中は、食べものの絵本ばっかり!!


*** 午後 ***

のりもの

これ、大のお気に入り。一人ぺらぺらめくっては
指さして何かぶつぶつ・・・。
本人の中で一番のお気に入りの乗り物は
”ゴミ収集車”です。
次に“ブルドーザー"”クレーン車”
それとは別格なのが電車(おばきゅうせん(小田急)
と中央線)・バス

 「はたらくくるまみちをつくる

あまりに上の図鑑に執着しているので、このしかけ
絵本を出してあげたら、こちらも気に入って
離さなくなってしまいました。
開くしかけが、クレーン車は上、ブルドーザーは横、
ショベルカーは下・・・と、車によって
工夫があるのが楽しい絵本。
このしけけ絵本、こだわりが感じられてなかなか好きです。

 「しょうぼうじどうしゃじぷた

1歳のころから、ただめくるだけで興奮していた
ずっとお気に入りの絵本。
おはなしが聞けるようになって、かーさんはうれしい。

昼寝前、こうしてみると、車関係ばっかりですね。
なぜかとっても好きなんですよ。なんでだろう?


*** 夜 寝る前 ***

 「くらいくらい

 まっくらくらくら くらーいくらい
 でんきをつけてちょうだい
 
 繰り返し文と、黒いシルエットのページをめくると、
 電気に照らされた動物たちの姿が出てくるところが
 とても楽しい。
 ”でんきをつけてちょうだい”と読むと、”ポチッ”
 と押したり、ひっぱったりしています。
 絵がまた、柳生さんですから・・・インパクト大!

 「わたしはとべる

これもずーっと好きな絵本。 (前の記事→

 「つきよ

最近のお気に入り。たぬきの位置をかならず確認しながら
いろいろ変わる月が気になって仕方ない様子。
半分、湖につかって泳いでいるところは、笑いながらも
「こわい」と言います。
たぬきの秘め事を共有できる感覚がうれしい、
静かで楽しい絵本。 色も好きです。

気づけばあらら、また長くなってしまった・・・
2歳半のある日の週末本記録でした。
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かもさんおとおり

2006-11-24 | 心があたたかくなる絵本
渡辺茂男さんの訃報を聞きました。
これまで手がけられてきたたくさんの創作絵本、
翻訳絵本を見ていると、好きななものがたくさん
あるなぁと思います。
これからも、ずっと読み継がれていく絵本たちを
生み出し、紹介してくださったことに、
あらためて感謝する思いです。
今日は追悼の思いもこめて。

 かもさんおとおり
ロバート・マックロスキー/作 わたなべしげお/訳
                   福音館書店

深い緑とおちついた茶の表紙、かもの親子が目を
ひく大判の絵本です。
中は、茶の単色で描かれる絵なので、一見地味に
思えるのに、気づけばすっかりかもの親子を見守る
ギャラリーのひとりになっています。
マックロスキーさんの絵って、やっぱりすごい!

マラードさんとマラードおくさんは、安全で子育て
しやすい場所を探して、ボストンの町までやって
きます。
あちこち目算をつけて舞い降りるものの、今ひとつ
気に入る場所が見つからず。
その夫婦のやり取りが、人間の夫婦のようで
ほほえましい・・・完全にマラードおくさん主導型!

ボストンの町をあちこち飛んでようやく見つけた
場所で、卵をうみ、8わのこどもたちが
生まれました。
ジャック、カック、ラック、マック、ナック、
ウァック、パック、クアックの8わ。
この名前を読み上げるだけで笑いが起こるのに、
いちいちその表情がおかしくて、目が離せません。

前に見つけた池までマラードおくさんが子ども
たちを連れて大行進をはじめると、
人のいいおまわりさん、町の人が協力して
見守ります。
なんてのんびりした空気。
古きよき時代のアメリカを感じる、車や人々の服装。
このお話は1941年に書かれた(65年前)
実際にあったおはなしだそうですが、
日本で読まれ続けてすでに41年!
長く長く楽しまれているんですね。

かものお引越しを、町ぐるみで見守るなんて、
今の時代でもできるかな。
東京でもそういえば、以前似たようなこと
ありましたけどね。

巻末には、ボストンの地図が載っていて、かもの
親子が通った道筋をたどることができます。

    * * * * * * * * * 

児童文学に貢献された灰谷健次郎さんの訃報も
前後して知りました。
子どもと関わる仕事についた20代に、『兎の眼』
『太陽の子』『わたしの出会った子どもたち』・・・
それこそ泣きながら読んだ覚えがあります。

とてもとても残念ですが、
お二人のご冥福をお祈りしたいと思います。

残してくださったものは大きいです。

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でんでら竜がでてきたよ

2006-11-21 | ドキドキ/五感を刺激する絵本
 でんでらりゅうば でてくるばってん
  でんでられんけん でーてこんけん
  こんこられんけん こられられんけん
  こーんこん 

この歌、わらべうたの明子さんのところで、
最近よく歌うので、すっかり馴染みになりました。
どうやら、NHK教育でもずっと流れているのだ
そうですね。
うちは、お出かけだったり、昼寝時間だったりで、
何かと時間があわないことが多くて、
タイムリーに見たことがなく、一度見たいと思って
いるのです
(両手をクネクネさせる踊りを見てみたい!)

歌にあわせて、左手をパーにして手のひらを上にして
かまえ、右手で、グー、親指、ちょき
きつね(人差し指+小指)と変えていく、指遊びを
します。
右が終わると、手をかえて左手で。
それが終わると、右左、交互にやるという高度技。

この歌は、長崎のわらべうたで、意味は諸説あるよう
ですが、調べたところ

  出られるものなら 出てくるけれども
  出られないから  出てこないよ
  来られないから  来られないから
  来ない 来ない

という意味のようです。
言葉遊びですね。意味があるような、ないような。

この歌、なんと昭和52年にレコードにもなっている
らしいということも、調べがつきました(笑)
あと、さだまさしさんが歌っていたこともあるとか。
意外に一部では、前から馴染み深いものだったんですね。

そういうわけで、うちでもすっかり馴染みなのですが、
文庫でおはなし会をしている友人が、先日
でんでら竜の本を、子どもたちに見せているのを見て
釘付けになりました。

 『でんでら竜がでてきたよ
おのりえん/著 伊藤英一/挿絵  理論社

読んでみると、『ももいろのきりん』のキリカよろしく、
紙に描かれたでんでら竜が、夜な夜な、ありこちゃんの
描いてくれる食べものを食べて大きくなり、
長崎に帰っていくというお話。
でんでら竜の口癖やら、わがままぶり、やりたい放題の
奔放さが、なんとも楽しいのです!

絵本のカテゴリに入れてしまいましたが、少しずつ
読むにもよさそうな分量の章立てで、
幼年童話の分類になるかと思います。


我が家は明日の水曜日も、きっと、にぎやかに
♪でんでら・・・ です。
  
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ku:nel今月号

2006-11-20 | 読書雑記
  マガジンハウス

今日はちょっと雑誌のお話。

すぐたまってしまう雑誌は、なるべく立ち読みで
と思うのですが、どうしても読みたくて
買ってしまうのが、”ku:nel”と”うかたま”

今月のku:nelのメイン特集は、『ムーミンの
ひみつ』。
ムーミン作者のヤンソンさんに、島の小屋を貸して
いたというグスタフション家の今の家長さんのお話と
美しいフィンランドや、小屋内・外部の写真が
たくさん載っています。
はぁ、写真が本当に美しい!
ヤンソン作品に、もっともっと触れたくなる特集です。

他にも、たまたま他のブロガーさんと話題になった
ミナ・ペルホネン の社員旅行記事(屋久島)

ふっくら黒豆の煮方(豆、好き!)/きのこ狩り

『マレー・スペースシューズ』という、魅力的な靴を
一足ずつ手がける、マリーさんの記事。

いつもの江國 香織姉妹の往復書簡。

いつもの川上弘美さんの読みきりに、
最後の半ページは、佐野洋子さんの文章。

前髪をパッツンとそろえた5人のショットも印象的。

なかなか興味深い記事 多しでした。
ペラペラっといかがでしょう。
ku:nelって、ほんとに写真きれいですね~。
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泣いたり笑ったり。

2006-11-19 | ケの日のこと
  
5キロほど続くイチョウ並木も色づきはじめ、深まってきた秋

ここのところ、コハルの言葉は急速に進歩して
たまっていたものがようやく出始めた感あり。

コハさん、先だって、父・姉と鎌倉へ行ったときに
乗った「小田急線」という私鉄電車が、
いたく気に入っています。
帰りにオットが奮発して、「ロマンスカー」(特急)に
乗せたものだから、よけいに思いはつのっている
ようで・・・。


私鉄沿線共通で使えるパスネット
写真は、小田急線ロマンスカーの絵柄


昨日、父親からもらい受けてから、肌身離さず
持ち歩き、ときどき出してながめては見入っています。

おばきゅ~せん のりたいねぇ。
 とーとーと、ねーねーと、おかーしゃんと、ねぇ。」
とにっこり。

へ?オバQ線!?・・・・・・・ 沈黙 → 一同大爆笑

おかしくて、以来、何度も言わせてしまう悪い家族。
コハはおかまいなし、今日も手に持ったまま
夢の中です。

          

昨日今日と、地元イチョウ並木沿いは、恒例いちょう祭り
でした。
昨日はいい天気で、たくさんの屋台や催し物、それに
負けない人出で大盛況。
農協が出している野菜は、特大大根100円、
レタス50円、ほうれんそう100円と、量も
お値段も納得のおいしさです。
帰ってきてさっそくしまっていたら、レタスからポトリ・・・
マメなコハルは、「落ちたよ~」とさっと拾って
とってくれました。
....が、次の瞬間、

「ぎゃーーーーーーーー」
と、大パニック。
ムニュムニュしたアオムシだったんですーーー。
私は、葉っぱが落ちたと思い込んでいるから、
気にもとめていなくて、その声にびっくり。

 

↑これをいきなりつまんでしまったわけで・・・
コハさん、大絶叫です。
わたしもあまり得意ではないのに・・・コレどーするのー?

この寒空に外に出すのもかわいそうだろうと
協議の結果、なぜか育てることになりました。
(いつもこうなる。なぜ~?
女性陣、全員ダメなので、オットがフンすての
世話係です。
しかし今日は一段とレタスを食べて、ちょっと
大きくなったんですよ。
まさに、「はらぺこあおむし」を生体験中・・・。
さてこれから、どうなることか。

今日は一日に3足も靴下に穴があくという不運の
コハさん。
穴から自分の指が見えただけで、なぜか大絶叫!
ほとんどパニックで、何を言っても聞かず大騒ぎです。
昨日のアオちゃんの後遺症でしょうか。
しまいには、わたしにも靴下をぬげと強要。
それは断固阻止したものの・・・
変なトラウマになってなければいいんだけど。
泣いたり笑ったり、激しく忙しい週末でした。
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あな

2006-11-18 | 心があたたかくなる絵本
 『あな

 片山令子/文 片山健/絵  ビリケン出版

顔だちが印象的なのうさぎさんが、一生懸命
掘っているのが『あな』
なぜ穴を掘っているかといえば、自分のからっぽの
気持ちを表現するためです。

朝からなんにもやる気のしないのうさぎさんが
最初にそのからっぽの気持ちをたとえようとしたのが
からっぽのコップ。次にバケツだったのですが、
どちらも、べとべとしていたり、うるさすぎたりで、
今ののうさぎさんのからっぽの気持ちをたとえるのに
ふさわしくないのです。

ふと気づいて、庭のシャベルでどんどん穴を掘るうちに、

「いいかんじ。こんな かんじなのよ。
 でも もっと おおきいんだ。
 おおきな からっぽなのよ」って・・・・

どんどんどんどん掘っていって、果ては、
ひんやりした穴の中に、ひっそりと
うずくまるのうさぎさん。

このシーン好きです。
そして、そこから見あげる空がいい!
きっと穴を掘ることで、からっぽの気持ちの半分は
解消されてしまったんだろうと思えるほど、
アタマの中では、次なる思考(妄想?)が生まれていて、
話があっちこっちに進んでいきます。

ラスト。冬を越えて春になって、のうさぎさんの
掘った穴のあとは、思いがけないサプライズを
もらたしてくれるんですよ。
これがまたいい

穴に入って自分だけの空間で、目を閉じて考えてみる
なんて、そんな時間を持てることが、今のわたしには
ちょっとうらやましいなぁ。

この絵本は、月刊誌「クーヨン」で掲載されていた
ものの絵本化だそうですが、この絵本のほかに5冊。

 『いえ』  『ともだち』  『ひとり

 『おひさま』  『みずうみ

全6冊。
どのお話も、どこか考えどころがあるお話ばかり。
どのお話も好きで、どれとは選びきれないです!
シリーズ通して、家財道具やお友達関係など
一貫性があるので、少しずつ読むのにもいい感じ。

このシリーズ、ペンギンハウスのペン長(店長)に
教えてもらったシリーズです。
ペン長が読売新聞に書いた、このシリーズの書評を
作者ご本人が ご覧になって、ご来店。
サイン本をたくさん用意してくださったのでした。
健さんのゆる~い感じの絵と、お二人の連名が
とてもよい感じのサインでしたよ!
片山さんご夫妻、案外近くに住んでらっしゃるのね。
 
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おおきなかしの木

2006-11-17 | とびきり好きな絵本
この絵本に出会って、早く書きたくて
仕方なかったのに、3週間もあたためてしまいました。

しみじみ好きな部類の絵本です。
大好きな「木」の話。

 『おおきなかしの木
エリザベス・ローズ/文 ジェラルド・ローズ/絵 
 ふしみみさを/訳  岩波書店

1000年を越す大きなかしの木が、
最初は、リスが落としたほんの小さなどんぐりから
はじまり、どんどん大きく・・・年輪を刻んでいく間、
その傍らではいろんな出来事が起こっていきます。

キツネやアナグマが巣を作ったり
切り倒した周りの木で、軍艦や宿屋を作る人がいたり
おいはぎがうばった宝を、うろに隠したり
恋人たちが、木の幹に名前を彫ったり・・・。

なにしろ美しくて圧倒されるのが、大きな木に
作られた、子どもたちの木の小屋です。
夕陽にそまったシルエットは、見ているだけで
胸がじ~ん。
木に小屋は、誰だって憧れる永遠の夢。

かしの木はそれらを全部、何も言わないまま
見ていたんだなぁと思うと、大きなものに
包まれる、えもいわれぬ安心感がわいてきます。

でも、このまま永遠に大きくなると思われた
かしの木が、ある日、落雷にあって火事に。
木のことを何も知らないお役人は、危ないからと
すぐに切ってしまいます。
昔、恋人がこの木に名前を刻んだことを
大切に思っていたルイーズさんは、
すでに108歳になっていて、それでも、
涙ふきふき木にお別れを言いに来るのです。

人間の人生は、木から見れば、ほんのいっときの
ことかもしれないけれど、そのわずかな点の時間を
共有できる喜びって、あるんじゃないかな。
それはもちろん、人同士でも言えること。

最後、燃えてしまったかしの木の切り株の上に
やってくるリスが、暗示的で、私にとっても
救いです。
なくなるものは何もないかもしれない。
場所をかえて、また新しくはじまっていくのかも
しれない。


先月、訳者のふしみさんのお話を聞く講座に出ている
最中に、刷り上りほやほやの状態で届いたこの絵本
ですが、見れば見るほど、スルメみたいにいい
味が出てきます
(ふしみさん講座の様子は、
深い緑も印象的だけど、黄色や赤の色がとてもきれい。
紙質も上々。好きな質感です。
「ジェラルド・ローズさんの初期の作品って、 
 いいんですよね・・・」とふしみさんが
おっしゃっていたとおり、絵も本当にすばらしいです。

このコンビ絵本では、今年初夏に出た

 
ウィンクルさんとかもめ』も、お気に入りの一冊です。
(ウィンクルさんの記事は



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ある日のコハ本

2006-11-13 | 子どもと楽しんでいる絵本
自分の持ち物は自分で管理したがる
コハルさん、自分の荷物は自分で持つし、
自分の絵本は自分の棚に置いてある
ものから必ず選びます。
その管理能力、姉にわけてやってほしいくらい・・・。




でも近ごろ、わたしの飾りだなから、飾ってある
絵本を取り出して見たがるようになって、
嬉しいやら困るやら。
一番気に入っているのが、上の写真の一冊。
『3×3・Three by Three』
 James Kr¨uss (ジェイムス・クリュス)文
 Eva Johanna Rubin 絵

洋古書の図書館廃棄本なので、詳しいことは
全然わからないのですが、このイラストに
ひかれて、大事にしている1冊。

なのに・・・表紙カバーをビリリ・・
それほどまでに、コハも気に入っているらしい。

 

出てくるものが、3(または3の倍数)なのです。
それと、太陽の顔が全部違って、そのデザインも
楽しい。
たぶん、そんなところに惹かれているのだと思います。
こんなわたしでも、絵を追っていけば、
およそのストーリーがわかる絵本。

3びきのねずみが、立派なうちに住んでいて、
外には輝かしいおひさまと、ユーモラスに
踊る3びきのネコ。
えさをつつく3わのめんどりもいて、
ねずみは、家の中から笑っています。
そのねずみのうちに、3びきのきつねに
追われた3びきのねこが入り込み・・・
3びきのきつねが入り込み・・・
3びきの猟犬が入り込み・・・
最後におうちは、追われた3びきの
ねずみたちのものに、戻りましたとさ
というお話(多分、おそらくです・・・

絵がまた、いいんですよね。
ちょっとお宝にしています♪

今日は、だらだら寝ながら、一日
絵本読んで過ごしていました。
昨日夜中に、嘔吐がはじまり、今日は一日
下痢だったコハさん。
絵本のお話をしにいかなくちゃいけなかった予定も、
保育所に預ける予定もすべてキャンセル。

しかも夜中、シーツを洗濯するときに、
はずしたおむつまで一緒に洗濯機に入れたらしく
(↑夫です!!) 朝、洗濯し終わって
取り出したときの驚きようったら
ティッシュの比ではなかったです。
散り散りに散った、高分子吸収体っていうんですか・・・
恐るべしですよ(泣)

そんなこんなで、なんとも疲れた一日。
胃腸風邪もはやっているんですよね・・・
どうぞ、みなさまもご自愛くださいませ。
コメント (24)
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11月おはなし会

2006-11-12 | 講座・おはなし会・企画展 他
11/11(土)地元図書館でのおはなし会。

11月のテーマは『あったかいおはなし』
少し肌寒くなってきたこの時期、体も心も
あったかくなるお話を集めて、おはなし会を
しました。

★ちびっこ向け(1.2.3歳)

   紙芝居『ころころこぐま

   『ねぇだっこ
                          
   
   おはなしかごオリジナルパネル
               『いろんな帽子

   『ろばのトコちゃんスープをつくる

   『ねんね
 
          

★すこし大きくなった子向け(4・5・6歳以上)

  
  パネルシアター『まっかな秋』

   『やきいもの日

   『きつねのおふろ

  手遊び 『やきいもじゃんけんグーチーパー』

   『ぬくぬく

   『ねえだっこして
 
           

学校行事と重なって、読み手が3人と少なくて大忙し。
いつの間にか、パネル担当になってしまっている
わたしは、今回も2つのパネルと、『ねんね』
『ろばのトコちゃんスープをつくる』を読みました。

先日お話を聞く機会があった、
ふしみさん訳のこのシリーズ、フランスでは
アニメになっているほど大人気のシリーズだそうです。
お話は短く、案外あっさり終わるのですが、
このトコちゃんの作るスープは、石や草や
砂のほかにお*っ* まで入った特製スープ。
なのに、ママはうっかりこぼしてしまいます。
最後のフォローがあったかい。もしかして・・・
わざとママはこぼしたの!?
トコちゃんの顔つきが最高で、日に日に愛着が
わいてきます。

 動物たちの愛らしい寝姿と、親子の
写真があったかく、この絵本を読み始めたら、
ちびっこたちもゴロゴロ・・・ ふふ かわいいですね。

紙芝居『ころころこぐま』は、この時期にしか
読めない季節モノ。
くまのこが、ころころ転がる丸いものをいろいろ
見つけているうちに、うっかり自分もころころ
転がっていくというかわいらしいお話。
途中にどんぐりの種類の紹介もあります。

まっかな秋の歌も、この機会に覚えなおしです。
この歌、しみじみいいですね!
ツタ、モミジ、カラスウリ、トンボの背中、
ヒガンバナ、遠くの焚き火も・・・みーんな真っ赤
なんです。
うちのそばは、銀杏並木が続いていることもあって、
どちらかというと、黄色。
どちらも、この季節ならではですね!

今回は、温泉話あり、こたつあり、焚き火でお芋
ついでにケンカの仲直りあり・・・と、
あたたかくなるお話三昧でしたが、
あかちゃんが生まれて、忙しいお母さんに
うったえかける ↓この2冊は
 
聞いていて、思わずぐぐっときてしまいました。
はぁ、切ない・・・。
『ねぇ だっこ』はおねえちゃんの視点から、
『ねえだっこして』はネコの視点からのお話。
みんなだっこ好きですよね♪
コメント (10)
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ある日のコハ本

2006-11-10 | 子どもと楽しんでいる絵本
コハルさん、2歳5ケ月ちょっと。
最近、静かだなぁ・・・もしやっ!とふと見ると、
自分で絵本をめくっている姿があって、
ちょっと成長を感じて驚きます。
そんなときは、フフフとにんまり、しずかにしずかに
ほおっておきます。

最近のひとり本の筆頭。
 その名も・・・
じぶんでひらく絵本」 H・A・レイ  文化出版局

各ページ、右に開く簡単なしかけの絵本の4冊組。
しかけといっても、右にめくるだけのひと手間
なので、小さなひとでも大丈夫。
コハはサーカスが一番好きなようです。

昨日は夕方ひとりしきこれを見たあと、
クルリン』にも夢中になっていました。
(以前書いたのはこちら 

 
なじみのクルリン人形の行く末が気になるらしく、
絵を追って、クルリンを見つけては大喜びです。
お話は長い絵本ですが、ひとりでもじっくり
絵を見て楽しんでいる絵本。

そして ** 寝る前の絵本 **

 

のせてのせて』  東光寺啓 童心社
すべりだい』    おおの麻里 こどものとも012
             (2006、12月号)
きゅっ きゅっ きゅっ』 林明子 福音館書店

今号のこどものとも012、すべりだい好きの
コハには、とてもタイムリーで、
大変気に入っている様子。
すべってくる動物たちの絵も、ちょっと
おちゃめです。
「すべりだい すべるの だあれ?」
「**です」  の繰り返しですが、
**をコハルですと言い換えてはニマニマ。

『きゅっきゅっきゅっ』も、ふだん自分が言われている
「あーあ」を、逆の立場で見ている感じ。
最後に並ぶ、大小のからっぽの器も好きなようです。
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ありがとうのえほん

2006-11-09 | 心があたたかくなる絵本
ありがとうのえほん
フランソワーズ/さく なかがわちひろ/やく 偕成社

このかわいらしいフランソワーズさんの絵本
心がふくふくする色合いと、やさしい
ありがとうの言葉があふれています。

身の回りのもの、ささいなことに込められる
ありがとう。
そういう気持ちは、いつも持っていたいと思います。

まりーちゃんで有名なフランソワーズさんの絵本で、
去年出た一冊。

実は、何か書き留めておきたいという衝動にかられて
ちょうど一年前の今日、この絵本たちから
ブログをスタートさせたのでした。
あまりの唐突さに、画像の貼り付け方だって知らなくて、
わけもわからないままいきなりのスタート。
何の迷いか、手持ちの絵本について何か書いてみたく
なったのでした。
ほんの数人の友人しか知らない地味なブログだったのに、
たくさんの方に見てもらい、コメントいただく
ようになって・・・
本当にいろんな出会いに感謝しています。

だから今日は『ありがとうのえほん』

このまま下の人の入園までは、(少なくとも)
続けられるといいなと思っていますが・・・
まずは1年続けられたことに感謝、感謝です。

これからも、絵本おたくのつぶやきのような記事を
ポツポツ書いていきますね。
よろしくお願いします
コメント (29)
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アップルパイをつくりましょ

2006-11-07 | ユーモラスな絵本
  『アップルパイをつくりましょ
マージョリー・プライスマン/作  かどのえいこ/訳
 ブックローン出版

副題 りょこうもいっしょにしちゃいましょ
とあるように、この絵本は、アップルパイの材料を
調達するために、世界をめぐってしまうという
大胆なお話です。

アップルパイはとってもカンタン!
でもそれは材料がそろっていたらのこと。
もし、マーケットがお休みだったら・・・
大急ぎで荷造りをして、ヨーロッパ行きの船に
飛び乗ります。

イタリアで小麦を、フランスでは卵(鶏!)を
スリランカのシナモン、イギリスのミルク(牛!!)
ジャマイカのさとうきび、バーモントでは肝心の
りんごを手に入れ、さっそくパイ作りです。

なんて楽しいんでしょう♪
しかも、それぞれ材料にするためのひと手間は、
はんぱじゃありません!

卵が割れるといけないから鶏まるまま、
ミルクは新鮮なほうがいいから牛まるまる1頭
お持ち帰りするという大胆かつ、軽快さ。
閉まっているスーパーにかかった看板も愉快です。

やっとできあがったパイには、バニラアイスクリームを
かけて食べるとおいしいのよね。
・・・と、再びスーパーへ行くも、
ふざけたスーパー店主は、まだ不在です。
さぁ、どうする!?

巻末には、お約束のアップルパイの作り方レシピつき。
見返しには、世界地図が描かれていて、立ち寄った
場所がたどれるようになっているのが楽しいところ。
おいしいもの好き、旅行好きにはちょっとたまらぬ
魅力のつまった絵本です。

それに、シナモンがクルンドという木の皮の粉だとは
知りませんでしたしね。
ひとつ賢くなりました!

          

我が家も今日のおやつは、りんごケーキ♪
(パイ生地までは気合入らず・・・)
アップルフレークをのせた、ハチミツ入りケーキです。



紅玉をたくさん買ってあったのに、作る時間がなくて
ようやくです。
残りは甘く煮て・・・気になっていたこと ひとつ終了。

コハルが起きたら、さっそくいただきま~す。
コメント (12)
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やねの上にさいた花

2006-11-03 | 心があたたかくなる絵本
  『やねの上にさいた花
インギビョルグ・シーグルザルドッティル/作
ブライアン・ピルキントン/絵
 はじあきこ/訳   さ・え・ら書房

この表紙を書店でひと目見たときから、どうにも
アタマから離れず、図書館から借り出しては、
延長しながら読んでいる絵本です。

この表紙のおばあさん、志村けんに似ていませんか・・・?

8時20分の角度の眉毛とか、瓶底の眼鏡とか、
おでこのあたりにすばらしくまっすぐとびあがっている
ほつれ髪とか、じっくり見るとしみだらけのお顔とか・・・
あまりに印象的で、興味がつきません(笑)

こんなに存在感ばっちりなおばあさんは、中のページでは、
がらっと印象がかわって、とても足の細いおばあさんで
そのギャップに驚きます。

名前はグンニョーナ。
やねに芝生をはったいなかの家に、牛1頭と、
めんどり6わ、羊2匹と、ねこのスニョールブルと一緒に、
ほぼ自給自足の生活をしていたグンニョーナ。
病気になったのがきっかけで、町に住むようお医者さんに
勧められ、ぼくの住んでいるマンションに越してきます。

最初のうちは、花の世話、展示会や博物館見学、
サクソフォンの練習と、やることがあったグンニョーナも、
だんだん元気がなくなって、意気消沈。
そんなときにふと出たぼくの提案が、グンニョーナを
ぐんと元気にして、グンニョーナ復活です!

奇想天外な展開が楽しい結末。
大家さんに怒られやしないかしらと、いらぬ心配を
したくなるほどです。

この絵本は、アイスランドの絵本です。
作者の名前も、文中の名前も、長くて覚えられないヨォ

北大西洋に浮かぶ島国アイスランドは、
ロンドンから3時間、ニューヨークから5時間の位置に
あるそうですが・・・まったく馴染みがなくて、思わず
アイスランド大使館のサイトを探してしまいました。
(工事中が多いのが残念!)

絵本の表紙カバーには、日本との共通点も紹介されていて、
島国、火山、温泉、漁業、捕鯨、長寿、治安のよさ、
軍隊をもたないこと、北部のミー湖にマリモが
生息していること(北海道の阿寒湖を思い浮かべます!)
などなど・・・。
HPには、日本にはない自然の風景として、オーロラ
白夜、大地のわれ目、氷河が紹介されています。
人口30万の島民のうち、4割は首都レイキャヴィークに
住んでいるそうで、それでも人口密度は
1平方キロメートルに約3人!
がぜん、行ってみたくなりました

絵本からも、そんなアイスランドの雰囲気が感じられて
とても楽しいです。
知らない国だったアイスランドが少し身近になりました。

コメント (20)
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ある日のコハ本

2006-11-01 | 子どもと楽しんでいる絵本
コハル2歳5ヶ月、今日の絵本を久しぶりに。

最近、昼寝前も、「どーれーしようかな・・・?」と
寝る前=絵本の時間と思い込んでいるコハです。

*** 今日の昼寝前 ***

 『はないちもんめ

水曜日はわらべうたに行くためか、この絵本を
持ってくることが多いのです。
相変わらず好きで、相変わらず「はるがくれば」(津軽民謡)
「ちょうちょう」「ぶんぶんぶん」を飛ばします・・・なぜ??
わらべうたを、いつの間にか、口ずさむように
なりました♪
この絵本は、某古本チェーン店で何百円かで求めた
ものですが、とてもお世話になっています。

*** 今日の夜の絵本 ***

 『くっついた

最近、とても気に入っています。
図書館で長く借りて、ついに購入しました。
絵もストーリーもシンプルで、**と**が
くっついた・・・とそれだけなのですが、最後の
お母さんやお父さんとほっぺたあわせてくっつく
ところが、大のお気に入り。
うれしそうなので、わたしもくっつきます(笑)

 『くんくん、いいにおい

この表紙にまず惹かれてしまいました。
新刊で紹介してもらったときに気づかなかったけれど、
この絵本、五感をテーマにしたシリーズなんですね。
鼻をくんくんさせながらにおいをたどっていく
のですが、
  やきたてのいいにおい
・・・・うれしいにおい
・・・・きもちいいにおい
・・・・たのしいにおい なつかしいにおい

文だけだとなかなか抽象的なにおいも、
絵がたくさん物語ってくれていて、
そのにおいが、どことなくただよってくるようです。
コハは、お買い物ページで、ネコが魚をくわえている
ところが大好き。
絵本を見ながら、いろいろ話がはずみます。

 『あかいふうせん

相変わらず大好きで、読めば2~3度もう一回という
ことになる絵本です。
いつ見ても美しくて、わたしも好き♪
(前に書いたのはこちら。
コメント (24)
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