柴野民三・文 茂田井武・絵 銀貨社
ただ今、第?期かのダイエット中につき、
いつでもお腹がすいています。
食べないダイエットはできないので、
三度三度はきちんと食べるけれど、内容と
量と調味料を調節中。
だから、この山ねこのくいしんぼぶりには、
半分あきれつつ半分うらやましさも交じる。
いいなぁ・・・・そんなに食べられて。
この絵本、最初のはじまりから、シュールさ
全開です。
なにしろこの山ねこ=ボンシイクの最初の言葉が、
「やれやれ、やっとぬいあがった」 で、
何を縫っているのかといえば、自分のお腹なのです。
それも食べ過ぎてはちきれてしまったお腹です。
13年と13ヶ月13時間もかかって、
やっと縫ったお腹。
その間なにも食べていないので、やっぱり
お腹がすいています。
自分のホテルを売ったお金で、旅に出て、
世界のごちそうを食べてやろうと考えたボンシイク。
汽車にのって、まずひとりパクリ。
そして、その荷物をパクリ。
この手ののみこんでいくお話は、他にも
ありますよね。
でも、恐ろしさや残酷さはなく、どこか
おかしさがこみ上げる。
悪意なくぺロリと飲み込んでいくのです。
そして自在に吐き出せるところがすごい。
セリフだって、ふるっています。
船を世話してくれた人にだって、感謝の言葉を
のべつつ
「たいへん せわになった。
おれいに たべてやろうか」
としゃらっと言うのです。
嵐にあって船をなくしても、へこまないどころか、
伴侶を見つけアイディアひとつで商売繁盛、
なんとたくましい。
まったく・・・ナンセンスでシュールな絵本です。
ボンシイクや奥さんになったメノドンモイダ、
船で回ったいろいろな国=コネラド国、アガイタ国、
ヤニンヤニ国。
名前のセンスがまたいいですよね~。
ノウイウコ、ヨイクトモシタワ
(わたしもとくいよ、こういうの!)
このえばなし文庫シリーズは、他に奈街三郎・
茂田井武コンビでも何冊かあって、コマワリ漫画風の
懐かしい感じが、また新鮮で楽しい絵本です。