中小企業診断士 福田 徹 ブログ

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低炭素社会への潮流と中小企業

2009年02月27日 | 福田徹の経営
 皆様、おはようございます。中小企業診断士の福田徹です。2月27日金曜日、今朝0時の東京・小平はくもり、気温は5℃です。

 昨日は中小企業基盤整備機構本部で開催された「排出権取引に中小企業はどう向き合うか」というセミナーに参加しました。 今日のブログでは、このセミナーの内容について整理して置きます。



 三菱総合研究所環境・エネルギー研究本部の地球温暖化戦略研究グループ主任研究員の橋本 賢氏によるセミナーのサブタイトルは「新たな制度とビジネスチャンス」です。

 セミナーでは、低炭素社会を志向する世界の潮流とオバマ大統領以降のアメリカ政府の変化を予測し、国内での動き、たとえば2008年10月から環境省による、「排出量取引の国内統合市場の試行的実施」などを概観しました。

 また、CO2排出権の市場について以下のような整理がなされました。CO2排出権の市場を大きく分類すると次の3つに分けることができるそうです。

(1)京都議定書に基づき国際間特に途上国のCO2排出抑制策に協力することによって、先進国(企業)が手にする排出権=京都クレジット(AAU、CER、JI)
(2)国内中小企業が行う排出抑制策に対して、国内大企業が資金・技術を供与することによって、国内大企業が得る排出権=国内クレジット(CDM)
(3)各個人が自らの意志でCO2排出削減費用を埋め合わせるために使用する排出権=オフセット・クレジット(J-VER、カーボンオフセット)

 中小企業は、このうち国内クレジット(CDM)制度を活用して削減活動を実施し、大手企業に排出枠を売ることが可能になっています。これは、中小企業にとって排出権取引に絡んだ大手企業との連携や国・自治体の排出量抑制施策の活用により老朽化した設備の更新を行う、チャンスとして考えることも可能です。

 また橋本氏は、世界中が低炭素社会を志向する中で、期待される新たなビジネスチャンスの着眼点について言及しました。
 橋本氏は、エネルギー流通システムの複層化が起こるために再定義が必要と語ります。複層化とは、石油だけでも原子力だけでも天然ガスだけでもなく、バイオマスエネルギーや風力・太陽光・太陽熱といったローカルなエネルギーを組み合わせて使うことでありもうすぐ近くまできている現実です。
 橋本氏は、こうしたシステムの転換を前提に、新しいエネルギーの商流に乗ることが一つの道であるとサジェストします。それは技術そのものに限らず、たとえばEVの充電スタンドや家庭用燃料電池など技術を組み合わせたビジネスモデルを考えて参入することの方が実質的だということです。

 さて、このセミナーでは排出権についての基本的知識を整理することができました。また、新たに始まる排出権取引制度の話や低炭素社会に向けた政策動向とともに、低炭素社会に向けた中小企業のビジネスの可能性を勉強することができました。


2月26日18:00 虎ノ門EXCELSIOR CAFFEにて、セミナー内容をまとめました。


セミナーを聴いても翌日になれば忘れてしまうことが多いです。
話を聴いたら、当日すぐに整理するに限りますね。


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